第29話 長寿の秘薬と涙目のクリス

 

くろっぷさんよりシュンランとミレイアのファンアート頂きました。くろっぷさん、素晴らしいイラストありがとうございます。


 近況ノートにリンクを貼っておりますので、ご興味のあある方は是非ご覧ください。

 https://kakuyomu.jp/users/shiba-no-sakura/news/16817330650522902992


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「ごちそうさま。今日はシュンランが当番だったっけ? ありがとう、美味しかったよ」


 朝食を食べ終え、今日の朝ごはんを作ってくれたシュンランへと礼を言う。


「フフッ、お粗末さま。でいいんだったか? 」


「ははっ、そうそう。おっ、ありがとうミレイア」


 小首を傾げながら俺が教えた言葉を口にするシュンランに笑顔で頷くと、ミレイアが食後のコーヒーを持って来てくれた。これは缶コーヒーの中身をカップに移し温めたものだが、我が家ではそれが普通となっている。バージョンアップすればコーヒーメーカーも設備に出てくると思うんだけどな。それまでは本格的なコーヒーは我慢だ。


 ミレイアは彼女自身と俺とローラにはコーヒーを、シュンランには熱いお茶(烏龍茶がお気に入りだそうだ)。サーシャとリーゼには午前の紅茶で、クロースとラティにはホットココアを用意しそれぞれの席に置いていった。


 皆がミレイアに礼を言うのを眺めつつ、俺はゆっくりとコーヒーを口に含んだ。うん、寒い朝には温かいコーヒーは格別だ。


 あ、そうだ。


「リーゼ、そういえば帝国がどうなっているか続報はあるか?」


 病院に帝国の貴族の一族がお忍びでやっては来ているんだが、どうもルシオンを怖がっていてあんまり詳しいことは教えてくれないんだよな。


「うーん、皇帝の近衛が全員処刑されたことくらいかしら? 」


「近衛を全員処刑したのか!? なんでまたそんなことを? というか皇帝は死んでないんだろ? 回復したら不味い事になるんじゃないか? 」


 あの皇帝のことだ。勝手に自分の子飼いである近衛兵を殺されたら怒り狂うだろう。それに近衛のほとんどが高位貴族の出だ。実家も怒り狂うんじゃないか?


「それが近衛がルシオンの生き残った親衛隊を殺したらしいのよね。その復讐だって言ってたみたい」


「それは……」


 軟禁されている間に部下を殺された復讐か……それなら気持ちはわからないでもないが、皇帝が病気で臥せっている時にそんなことして大丈夫なのか?


「近衛の実家の高位貴族はカンカンみたいよ? 領地に戻っている第二皇子のメルギス殿下の所に使者を送ってるみたい。ルシオンは国中から美女をかき集めて毎日酒池肉林の生活で、内政は新しく宰相になったフルベルク公爵に丸投げ。皇帝の友人で四公の一人だったシュバイン公爵も裏でなにやら動いてるみたいだし、内戦が起こるのも時間の問題かもしれないわね」


「なんというかルシオンらしいというか……」


 皇帝代理になって諸侯をまとめるどころか反感を買うとか。しかも自分は酒池肉林に耽っているとかもう……やっぱアホだなあいつ。


「王国の王妃様も呆れてるみたい。それでも一応国境の兵を増員しつつ、帝国の動向を見守るそうよ」


「帝国で内戦が起こっても王国は関わらないようにしてくれるといいんだけどな」


 馬鹿に関わるとロクなことにならないからな。


「それは大丈夫よ。帝国の混乱を狙ってって意見が王国貴族の中であるみたいだけど、国内の聖光教の信徒の動きも抑えきれているわけじゃないし」


「それもそうか。帝国侵攻中に信徒が蜂起したら大変なことになるもんな」


 王国の各街や村の一般人の重病人を年末に受け入れた。どうも一般の国民が王国が聖戦に参加しないことで、教会の司教たちに扇動され反乱を起こそうとしたらしい。しかし真聖光教こそが女神様の加護を受けた教えであり、その証拠に真聖光教会にはあらゆる病を治せる聖女がいると各領主が説明したらしい。


 そこでなら証明してみせろということで、各街や村で死にかけている重病人をこぞってこっちに送って来た。それで一時的に聖光教徒の反乱は収まっている状態のようだ。治療費は王国が全額負担してくれるらしいのでこっちとしては構わない。本当に完治したら王国が各街や村から徴収するだろうしな。


 そういうわけで、その送られて来た彼らが完治し街や村に戻るまでは真聖光教のことは信じてもらえないだろう。そんな時に侵略戦争なんて危なくてできないのは確かだ。


 まあしかし送られて来た患者の中に、心臓の病気の他に痴呆症まで発症している爺さんがいるんだよな。朝食ったものを毎日昼になると忘れるとかこれはもう間違いないだろう。一応話はできるから手遅れになるほど進行はしてないとは思うけど。いや確かに病人なのは間違い無いんだけどさ、聖光病院は老人ホームじゃないんだけどな。看護師をしてくれているダークエルフのおばちゃんたちには苦労をかけるよホント。


 でも心臓病はともかく痴呆症は脳の病気だと思うんだが俺のギフトで治せるのかな? 症状が進行して俺やクリスの言葉が理解できなくなったら難しんじゃないだろうか? 健康な時の自分を思い浮かべてもらわないと治しようがないしな。なをとか治療が可能となる時までは、現状維持のままでいて欲しいもんだ。


「まあ帝国はそんな感じで混乱してるから、すぐにここに攻めては来ないと思うわ」


「安心してください勇者様! もしも帝国が攻めて来ても獣王国が全力でお守りします! それに私もシュンランさんやミレイアさんたちのような戦妃となれるよう訓練に励んでます! すぐに勇者様をお守りできるようになりますので待っていてください!」


「そ、そうか。ありがとうラティ」


 訓練しても戦妃にはなれないんだけどなという言葉を呑み込み、俺は若干引き攣った笑みをラティへと返した。周囲を見るとシュンランやローラたちも苦笑いをしている。みんな頼むからバラさないでくれよ? 俺も酒には気をつけるからさ。


 ラティも一緒に狩りに連れていってはいるが、周囲が既にレベル20超えととてつもなく強くなっているからサーシャたちの時のように疑われることはないだろう。本人はサーシャにすら身体能力で負けて落ち込んだりもしていたが、何気に負けず嫌いなのか毎日訓練に精を出している。


 そんな健気けなげなラティを、どうせいずれ正式な婚約者にしなきゃいけないんだから早く手を出して戦妃になれるようにしてやれと思うかもしれない。俺も頑張っている彼女を見ているとそう思う時もある。けど、いくら実年齢が17歳とはいえ、どうみても中学生の見た目なんだよな。胸もお尻もぺったんこの彼女に、さすがに手を出すのはマズイのではと思ってしまう。ハーレム作っている色狂いが何を今更と思われるかもしれないが、子供に手を出すのにはいくら俺でも抵抗があるんだよ。


 そんなラティとのやりとりの後、帝国の件は今まで通り様子見だなということで話は終わった。


「さて、それじゃあ各自それぞれの仕事に向かうとするか」


 テーブルを見渡しながら皆へと声をかけると、それぞれ部屋へと着替えに戻っていった。


 ちなみにラティはサーシャたちの部屋で同居している。最初の頃はサーシャとリーゼを抱きに行っている時に、行為中の声が聞こえたのか顔を真っ赤にしてネグリジェ姿で参戦しようとして来て大変だった。まだお互いのことをよく知ってからだとかなんとか色々と理由をつけて自分の部屋に戻ってもらったが、今後気を使わないといけなくなるなと呟くとリーゼが風の精霊魔法で音を遮断できるというのでやってもらうことにした。これがあれば屋外でもリーゼとできるなと思ったのはナイショだ。


 部屋に戻っていつものスーツ姿に着替えた俺は、シュンランたちと一緒に部屋を出てエレベーターへと向かった。同じ階に住む竜王は最近はリキョウ将軍たちを連れ、女神の街に行って訓練がてら魔石を集めてくれている。おかげでBランクの魔石の貯蓄は順調だ。次のバージョンアップ、ヘヤツク2020になったら間違いなくBランクの魔石が必要になる。それまで貯蓄しておかないと今後マンションを建てれなくなるし、設備の更新や車も買えなくなる。


 クッ、駄女神め。良い設備や嗜好品を手に入れたかったら、強い魔物を倒さざるを得ないように上手く誘導しやがって。だがまあいい。15階建てまで建てれれば十分だろう。Bランクの魔石なら高ランクハンターと俺たちで必要数を手に入れることは可能だ。


 バージョン2020で止めると俺が住んでいた時代より10年ほど設備は古くなるけど、別にそこまで不便は感じないはずだ。そりゃ2030年の設備があればいいけどさ、さすがにAランクの魔物を大量に倒すのは無理だ。その辺はのんびり魔石を集めて、寿命で死ぬ間際に20階建てでも建てればいいだろう。生涯を掛けて頑張ったと認めてもらえるはずだ。


 そうそう、その寿命だけど無限袋には長寿の秘薬のレシピがあり、必要な素材も一番入手困難な古代竜の心臓を含め全部揃っていた。それであとは調合するだけなんだけど、これが少し問題がある。というのも竜王曰く調合のギフト持ちを妻にしないと、長寿の秘薬の調合は無理だと言われた。というのも古代竜の心臓やその他希少素材を調合するには、それはもう相当な精神力が必要になるらしい。勇者も高レベルの調合のギフト持ちの妻に調合させたらしい。


 勇者の奥さんってエルフと竜人と王国の王女の3人じゃなかったの? と聞いたが、実は長寿を望まなかった妻が他にもいたらしい。それが調合のギフト持ちの女性だったそうだ。なぜ長寿を望まなかったのかは竜王も知らないらしいが、彼女は普通に年老いて死ぬことを望んでいたんだろう。最期は勇者に看取られてこの世を去ったそうだ。


 子供はいなかったのかと聞いたが、彼女との間に子はできなかったらしい。勇者って種無しだったんだろうか? もしかして転移の影響で? それとも駄女神が勇者の子孫をこの世界に残さないためにそうしているとか? 確かにレベルシステムが遺伝したらこの世界のバランスが崩れそうだけど……あの駄女神考えてないようで考えているところがあるからな……不安だ。


 まあ子作りのことは作ろうと思った時に改めて考えるか。駄女神に聞けないんだから今考えても仕方ない。問題は長寿の秘薬の調合だ。勇者の妻にしないといけないということは、ほぼ間違いなく調合のギフトを持つ女性を娶ってレベルアップさせないと手に入らないということだろう。つまりそれまでは加齢を止められないということだ。


 シュンランやリーゼやクロースとは寿命が大きく違うので、早いとこ欲しいのは確かだ。しかしそのために調合のギフト持ちの女性を口説いて抱くのも気が引ける。


 俺も27歳になったが、レベルアップの影響か見た目は5年くらい若返っているように見える。そのうえ体力はもちろんのこと、精力も十代の頃の比ではない。繁栄の秘薬無しでも恋人たちを1度づつ抱くくらいの精力は余裕である。これなら30になっても問題ないだろう。


 というわけで無理に探すのではなく、しばらく出会いがあるのを待つことにした。出会いが無ければ王妃に頼んでお見合いでも設定してもらおうと思う。調合のギフト持ちは割と多いらしいので、きっと好みの女性と出会えるはずだ。


 え? また増やすのかって? いやもうさ、6人が7人や8人になっても変わらないと思うんだよ。恋人が多いと色々と気疲れはするけど、浴場で全員のお尻を並べてとか最高の体験ができるんだ。しかも日本じゃ滅多に出会えない名器揃い。多少の気疲れは喜んで受け入れるさ。


 ちなみに先代勇者が材料があるのに長寿の秘薬を余分に作り置きしてくれていなかったのは、調合の過程でどれくらい寿命を伸ばすか設定することができるかららしい。先代勇者や戦妃がどれくらいの延命を設定したのかは竜王も知らないそうだが、竜王は先代勇者がいなくなった後の世界を監視するために、寿命が3倍になるよう設定してもらったそうだ。確か竜人の寿命は300年だったはず。竜王が秘薬を何歳の時に飲んだかは知らないが、あと100年は確実に生きそうだな。


 そんなことを思い返しながらマンションのエントランスを出ると、シュンランとミレイアとクロースと軽くキスをして別れた。彼女たちは新年を迎えてからは、こっちの生活に慣れてきた新参のダークエルフのたちにマンション管理の仕事を教えてくれているんだ。


 ちなみに男のダークルフにはスーリオンたち警備隊が、街の外で車の運転の教習を毎日のようにしている。車両の数を増やして欲しいという要望があって、今では警備と輸送用のためのジープが20台ある。その他女神の街との巡回バスに使っているワンボックスカーが2台あり、結構な車両数となっている。まあ巡回や輸送中での魔物との戦闘で結構な頻度で破損しているが、これも必要経費と割り切っている。治癒水をかなりの量を渡していることもあり、死人が出ていないのが救いだ。


 シュンランたちと別れた俺は聖光病院へと向かった。1月も下旬に差し掛かろうとしている今日は、王国の各街や村から来た最初の病人を受け入れてちょうど1ヶ月が経つのでその治療のためだ。王国全土から来た重い病気を患っている村人たちは全部で50人ちょっとだが、来た日にちがズレているので今日から毎日数人ずつ治療をする予定だ。そのうえ以前より増えたお忍びでやって来ている帝国貴族や帝国の商人の一族などの治療もあるので、しばらくは俺もクリスも忙しくなるだろう。


 四肢の欠損の治療を全て引き受けてくれている獣王国から来た大司教には助かっている。治療の無い日や暇な時はめいっぱい上級治癒水を作ってもらってるし。助かっているのは確かだ。


 が、感謝はしていない。というのもあの男は最初はクリスの力(俺のギフトだけど)と、水道水が全て聖水であることに感激していたが、慣れて来た途端に四肢を欠損した女性ハンターに治療費を負ける代わりにと手を出そうとしたからな。


 近くにいたシスターがすぐに教えてくれたから良かったものの、下手したら聖光教と同一視されるところだった。当然大司教にはミレイアの新しい魔法技の的になってもらった。自分で四肢の欠損を治せるから良い実験台になってもらったよ。ミレイアも怒ってたから容赦なかった。他の司教や司祭たちにもその光景を見学させたから、同じことをしようとは思わないだろう。今後は大司教の側には聖騎士を置いておくつもりだ。変なことしようとしたら迷わず腕を切り飛ばすように言ってあるから大丈夫だと思う。



 病院に着き重病患者が入院している階へとエレベーターで向かい、中央のナースステーション代わりとなっている部屋に顔を出すと、そこには病院建設初期からいる恰幅の良いダークエルフのおばちゃんが書類仕事をしていた。


「おはよう。ん? クリスはまだ来てないのか?」


「おはようございます勇者様。聖女様はつい先ほどまでいたのですが、いつの間にかいなくなっていまして。患者さんの様子を見に行ったのかもしれません。戻って来るまでこちらで休んでてください」


「そうだな。探しに行って行き違いなるのも面倒だし、ここで待たせてもらうよ」


 相変わらず患者想いの優しい子だなと思いつつ、ナースステーション奥の休憩室に入り看護師の皆のために特別に設置した自販機でコーヒーを買った。そしてバルコニーに出て、携帯用灰皿を取り出し煙草に火をつけながらプルタブを開けた。


 バルコニーからはダークエルフ街区とフジワラの街が辛うじて見え、フジワラマンションの地下駐車場からハマーが出て来る姿が見えた。恐らくローラが運転しているんだろう。サーシャたちを誘って外に巡回にでも行くのかもな。


「ふぅ……クリスのやつまだかな」


 煙草を二本ほど吸い終えた俺は、休憩室に戻ったが未だにクリスの姿が見えない。


「トイレでも行くか」


 朝からコヒーを二杯飲み、もよおしてきた俺は各階に設置してある共有トイレへと向かい男子トイレへと入って用を足した。


 すると女子トイレから、何やらくぐもった女性の声が聞こえて来た。


 重病人ばかりが入院しているこの階の共有トイレは、看護師以外はほとんど利用しない。だがほとんどであって、たまに無理をして自分でトイレに行こうとする患者も中にはいると前に聞いたことがある。そんな時はたいていがトイレの中で倒れていて大騒ぎになるそうだ。


 看護師の数は十分にいるはずだが、彼女たちも寝たきりの患者の下の世話や食事の世話で忙しい。そしてちょうど今の時間は食事の時間だ。となれば誰かがトイレで倒れていても気が付かないだろう。特に今は真冬だ。病室はエアコンで暖かいが、廊下やトイレは寒い。放置して体温が下がり病気が悪化したら命に関わる。


 そこまで考えた俺は慌ててズボンのチャックを締め、声のする隣の女子トイレへと駆け込んだ。


『あ……う……んんっ……ハァハァハァ……』


 すると一つだけ扉が少し開いている個室から女性の呻き声が聞こえた。かなり苦しそうだ。恐らくトイレの途中で苦しくなり、なんとか鍵を開けたがそこで力尽きたのだろう。俺は慌ててその扉の前まで駆け寄り、半開きの扉を勢いよく開けた。


「ああっ! 勇者様! スーハースーハー……イ、イク! イクゥゥーーーッ!」


 そこには修道服の胸元を大きく開けて巨大なおっぱいを飛び出させたクリスが、大股開きで両足をピンと張った状態で便座に座っていた。しかも右手には先日俺の部屋からなくなったパンツを持っており、それを鼻に押し当てながら左手を何も履いていない股間に押し当てていた。そんな彼女は普段の清楚な表情からはかけ離れた口を開け涎を垂らしただらしない表情で、しかも身体をピクピクと痙攣させている。


 俺は目を瞑って痙攣している彼女の姿に、冷や汗を流しながら何も見なかったことにしようと思いそっと扉を閉めようとした。が、投げ出された彼女の足に当たり扉は閉めることができなかった。しかもその感触に気づいたのかクリスの身体がビクッとなり、便座に背を預けて脱力していた上半身が勢い良く起き上がった。


 マズイと思った俺は、扉をそのままに身体能力全開でその場を離脱した。


 くっ、気付かれたか? いや、ギリ大丈夫だったはず。あそこは女子トイレだし、看護師さんと間違えてくれているはず。


 その後、ナースステーションの休憩室のソファーで、ドキドキしつつも平常心を心掛けて待っていると真っ赤な顔をして涙目のクリスが現れた。


 あーこりゃ気付かれてるぽいな。いや、例えそうでも何もなかったように振る舞えば大丈夫だ。そうだ俺は何も見ていない、アレは幻だったんだ。何より彼女も無かったことにしたいはず。


「よ、ようクリスおはよう。それじゃあ治療に行こうか」


「……はぃ」


 よし、少し言葉がどもったが、彼女も俺の思惑に気づいてくれたみたいだ。平常心平常心。いつも通りいつも通り。


 それからお昼までクリスと一緒に各部屋へ治療に回ったが、最後までクリスは赤面したまま一言も話さなかった。


 参ったな。こりゃ明日から顔を合わせずらいな。


 しかしまさかクリスが俺のパンツで自慰をしていたなんて……匂いフェチってやつか? てことは毎朝訓練の後にやって来て、汗を拭ったタオルを持って帰るのも俺の匂いを嗅ぐため? あの清楚なロリ巨乳シスターが俺の体臭に興奮してるとか。しかもパンツってやっぱ俺のペニグルの匂いを……だよな? あ、やばい、そう思うとなんだか俺も興奮してきた。こりゃますます明日から顔を合わせずらくなっちまった。シュンランかローラに相談……はできないよなぁ。


 うーん、気不味い。本当に参ったなこりゃ。

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