第13話 ハニートラップ
8月も中旬に差し掛かろうとしている頃。
新たに壁の外に作った区画に、今度やってくる3つの里のダークエルフたちの住居を建て終わった俺は酒場へと向かった。
「いらっしゃ……あ、オーナー!」
酒場に入るとお盆を持ったダークエルフのネルースさんが、ムスッとしていた表情から一変。可愛らしい笑みを浮かべながら駆け寄ってきた。
《お、おい見ろよ! ネルースちゃんが笑ってるぞ!》
《ばっか、そんなわけねえだ……本当だ》
《嘘だろ? いつもムスッとしていて、ぶっきらぼうな接客態度の彼女が笑うなんて》
《まあそれを言ったらこの酒場で働いているダークエルフの女はみんなそうなんだけどな》
《でもみんなムチムチのいい女なんだよなぁ》
《なんだよ、オーナーが来たんじゃねえか。ダークエルフの恩人だからな、そりゃ笑みくらい浮かべるさ》
「こんばんはネルースさん。ローラはもう来てます?」
近くのテーブルから聞こえてくるハンターたちの話し声に、やっぱり愛想は悪いままなのかと思いつつも、目の前で笑みを浮かべ立っているネルースさんに確認した。
ネルースさんは16歳の若いダークエルフの女性だ。銀色の髪をおさげにしていて顔にそばかすも残っていることから素朴そうに見える子なんだが、ダークエルフだけあって魅惑的なスタイルをしている。そのギャップが良いとハンターたちの間では人気があるらしい。
「ローラさんたちはもう個室にいらっしゃいます。ご案内しますね」
そう言ってネルースさんは俺の腕に自分の腕を絡め、酒場の奥にある個室へと案内してくれた。
《お、おい見ろよ! オーナーのやつネルースちゃんに腕を組んでもらってるぞ! 羨ましい! しかもローラさんたちが入っていった女性専用の個室に向かってるぞ!》
《まあまあ、いいじゃねえか。オーナーには俺たちも世話になってんだしよ。それにあのクロースの相手をしてんだぞ? 少しくらい羽を伸ばさせてやれよ》
《あー、そうだな。あの女だけはねえわ。短気だし脳筋だしオープンエロ過ぎだし。オーナーもよく我慢、てか制御できてるよな》
《前にオーナーに聞いたんだが、オーナーは孤児だったらしくてよ。世話焼きな性格もあって、手の掛かるクロースのことが孤児院にいた妹たちみたいで可愛いんだってよ》
《なるほどな。実の妹を可愛いと思ったことはねえが、孤児院の年下の子たちならそう思えたりするのかもな》
移動中に前に一緒に飲んだハンターがこっちを見ながら話していたので、片手を上げて挨拶する。そういえば前に俺の出自とか話したな。それにしてもローラたちが入った個室とか言ってたのは聞き間違いか? 今日はローラと二人で飲む約束だったはずなんだけど、もしかして誰か呼んだのかな?
そうして酒場の一番奥に着くとそこには広いカウンターがあり、ダークエルフの女性たちや棘の警備隊の非番の子たちが忙しそうにコップに缶ビールや酎ハイを注いでいた。そしてカウンターの中心に一人、静かにグラスを磨いているダークエルフの男がいた。
「スーリオン、今日も店番か?」
「ああ、リョウスケか。カルラに頼まれてな。シュンランたちも警備隊の寮での女子会というものに参加するのだろう?」
「ああ、ミレイアもクロースもだよ。だからローラに誘われて飲みにきたってわけだ」
「フッ、そうか。また飲み過ぎてローラに家まで運ばれないようにな」
「それを言うなって。あいつ底なしなんだよ」
そんな話をしながら俺はカウンターの奥にある女性専用の個室へと案内された。個室は女性専用意外にも全部で6つあるのだが、どうやら今日は俺たち以外に個室を利用している人はいないようだ。利用料が結構高いしな。狩りで大物を狩った時に打ち上げをするくらいしか需要がない。
「それではごゆっくり。また酔い潰れたら私が介抱しますから」
「あはは、なるべくお世話にならないようにするよ」
なぜか唇を舐め熱っぽい表情を浮かべながらウインクをするネルースに、俺は頭をかきながらそう答え部屋をノックした。
《開いてるわよ》
すると中からローラの声が聞こえて来たので扉を開け中に入った。
個室は日本のパーティ用のカラオケルームくらいの広さで、中央のテーブルを囲むようにソファーがある。10人くらいはゆったりと飲むことができる広さだ。そのうえ個室にはトイレもあり、いちいち部屋の外の共同トイレに行かなくて済むようになっている。
そんな個室に入るとまず最初に目に入ったのはテーブルの上に置かれた大量の酒とおつまみだ。そして次にソファーに座ってこちらに笑みを浮かべている3人の女性の姿が目に映った。
「いらっしゃいリョウ。今日はご一緒させてもらうわ」
「リョウスケ遅いわよ。待ちくたびれたんだから」
「フフッ、今夜はリーゼとサーシャも呼んだの。楽しい夜になりそうね」
リーゼロットとサーシャとローラだ。彼女たちはいつも通り緑のチュニックと白のワンピースにちょっと露出の多い修道服姿で俺を出迎えた。
「そ、そうだったのか。なら最初に言ってくれれば良かったのに。何も隠すようなことじゃ無いだろ?」
俺はこの三人のメンツを見て顔が引き攣るのを必死に耐えながら笑顔でそう答えた。
マズイ! これは絶対シュンランたちの身体能力の秘密を聞き出そうとしている!
ローラと二人で飲んでいる時も何度か聞かれたことがあった。だが俺はどんなに酔ってもそれだけは口を割らなかった。
そんな中、抜き打ちでこのメンツが揃っている場所に誘い込まれたということは、今度は三人がかりで聞き出そうということなんだろう。
そういえば一昨日にクロースがこの三人と飲んだと言ってたな。まさかバラしてないだろうなと心配したが、クロースはそんな話題は出なかったと言っていた。一番口を割りやすいクロースになぜ聞かないのか《いぶか》しんだが、この様子じゃ本当にクロースからは何も聞いてなさそうだ。それとも確証を得るために俺から聞き出そうとしている?
「たまにはシュンランたちがいない時に飲むのもいいと思ったのよ。ローラが今夜リョウと飲むって聞いたから、急遽たち私も参加させてもらったの」
「突然決まったということか。それなら仕方ないな」
俺は内心の疑心を隠し笑顔で答えた。
「なによ、私とリーゼが一緒じゃ不満てわけ? ローラと二人の方が良かった?」
「そ、そんなことないさ。お酒は大勢で飲んだ方が楽しいからな」
ローラと二人の方がマシだったに決まってんだろ!
「それならいいのよ。ほら、ぼさっと立ってないで座りなさいよ」
「あ、ああ」
「リョウ、そこじゃないわ。こっちよ」
「そこなのか?」
俺はソファーを移動させたのか、ベッドのようになっている席を指定され戸惑った。
その席の両サイドにはローラとリーゼロットが足を崩して座っており、その手前にサーシャが腰掛けていた。
「フフフ、そうよ。今日はリョウスケにはハーレムの王様気分を味わってもらおうと思ったの。たまにはこういうのもいいでしょ? それとも家ではシュンランたちにしてもらってるの?」
「い、いや。そんなことはないよ」
ローラの言葉に図星を突かれたが、俺は精一杯表情を取り繕って誤魔化した。
みんなでお風呂に入った後に、ベッドの上で全裸の恋人たちと一緒にお酒を飲んでるなんて言えるわけがない。
「ならいいでしょ、早く来なさいな」
「そ、そうだな。それじゃ失礼して」
リーゼロットがバンバンと叩くソファーへと向かい、靴を脱いでその上であぐらをかいた。
それと同時にローラとリーゼロットが両サイドから俺にしなだれかかり、サーシャは顔を真っ赤にしながら俺の正面で女の子座りをした。完全包囲された状態だ。逃げ場はない。
「それじゃあいつも通りビールからいきましょう」
「私はアカヒビールがいいわ」
「私はバドにしよっと。リョウスケもバドでいい?」
「あ、ああ。飲みやすいのからいこうかな」
「はいこれね。それじゃあ今日もお疲れ様。カンパーイ!」
サーシャが缶ビールを注いだグラスを受け取った俺は、彼女の掛け声で皆と乾杯をするのだった。
過去に経験したことのないほどの長く苦しい戦いが今始まった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「フフフ、ねえリョウスケ。グラスが空よ? サーシャ、ニホンシュをお願いできるかしら?」
「わかったわ。リョウスケ、はい。私が注いだのよ、一気に飲みなさい」
「いや……ちょ……ちょっとペースが」
飲み会が始まり2時間ほどが経っただろうか。俺は朦朧としてきた頭を振りながら、ワンピースがめくれ青い下着がチラチラと見えるサーシャによって差し出されたグラスを手に持ちテーブルに置こうとした。
「いいからいいから! パパッと飲んじゃいなさいよ。ほら、おっぱい揉んでいいから」
「私のもいいわ」
「うぐ……」
しかし両隣にいたリーゼロットとローラに、手を服の中に強引に引っ張られ小ぶりだけど柔らかいおっぱいと、大きく揉み応えのあるおっぱいを揉むことになり両手が塞がった。そのタイミングでサーシャがグラスを俺の口元に運んで傾けた。両手が塞がっている俺は飲まないわけにはいかず、そのまま一気に飲み干すことになった。
「ぷはっ! ちょ、ちょっと……休憩……を」
俺は一気に酒精が全身を回るのを感じ、二人の胸から手を引っこ抜いて両手を前に突き出した。
ヤバイ……あたまが……くらくらす……る。
「あら? もう休憩? そうね。なら質問に答えてくれたらいいわよ」
ローラがはそう言いながら修道服の前を開き、俺の頭を抱いて露出した胸に押し付けた。
「しつ……もん?」
やわら……かい……いいきぶん……だ。
「そう、クロースの身体能力と魔力のこと。短期間で信じられないくらい上がってるわよね? それってリョウスケが何かしたの?」
「い、いや……俺は何もしてない」
キタッ! そう思った俺は強く目を瞑り、精神力を総動員して思考が乱れないよう集中した。
「本当? 勇者の加護とか祝福とか、そういうのがあるんじゃない? エルフの戦妃であるエレンミアも、魔力が相当高かったと聞いたわ」
「王国の戦妃ティファ様もよ。身体能力がとんでもないって聞いたわ。私と同じ支援系のギフト持ちなのに、Aランクのドラゴンとだって戦えたって聞いたわ」
「勇者の伴侶である3人の戦妃だけで吸血鬼族を壊滅させたらしいし、やっぱり何かがあると思うのは当然じゃないかしら?」
「さ、さあ……所詮は言い伝えだからな。色々尾鰭がついてるんじゃないか?」
俺はローラの胸から顔を離し、三人へとそう答えた。
「尾鰭ねぇ、リョウは誇張されていたって言いたいのね」
「ちゃんと記録が残ってるんだから、そんな説明じゃ納得できないわ」
「現にクロースだけじゃなくてシュンランとミレイアも身体能力と魔力が異常に高いのに、いつまでも秘密にできると本当に思っているのかしら?」
「…………」
三人の追撃に俺は無言で返した。
何か口にすればするほど不利になると思ったからだ。ここまで来てクロースの話が出ないということは、本当にクロースは口を割っていないんだろう。あのクロースがバラさないでいられたってのに、俺がバラすわけにはいかない!
「あら? リョウはダンマリ?」
「ちょっとリョウスケ! は、早く話しなさいよ! でないと……」
リーゼロットは面白そうな、何か企んでいるような笑みを向け、サーシャはなぜか焦って涙目になっている。
なんだ? なにがあるってんだ?
「フフフ、仕方ないわね。それじゃあリョウスケにはもう一段上の接待を経験してもらおうかしら?」
「もう一段上?」
ま、まさか脱ぐんじゃないだろうな? 恥ずかしがりのサーシャも? それなら涙目になってるのも納得だけど……ど、どうする? いや、そういうのは俺は好きじゃない。彼女たちが脱ごうとした瞬間に、もったいないが力ずくでこの部屋から出よう。
そうこれから起こりうることを想像し覚悟を決めていると、ローラがスッと立ち上がった。それに続いてリーゼロットも立ち上がり、俺の足元にいたサーシャも顔を真っ赤にしながら膝立ちになった。
ま、まさか本当に脱ぐつもりか!?
そう思い俺も逃げるために足に力を入れた時だった。
「ちょっと着替えてくるから待っていてね」
「え? 着替える?」
ローラの言葉にフッと足に入っていた力が抜けた。
着替える? なんで?
「そうよ、すぐ戻ってくるから帰ったら駄目よ?」
「ううー……早く話さなかったことを恨むから」
リーゼロットが少しフラつきながらそう言ってサーシャの腕を引いて立たせ、サーシャは涙目で俺を恨むと言って二人に連れられ部屋の外に出て行った。
なんだ? 何をしようってんだ?
だが何をしようと無駄だ。レベルアップの秘密を話すわけにはいかない。たとえ長い付き合いであるリーゼロットとサーシャでもだ。
はぁ……狩りに連れて行ったのは失敗だったかもな。目の前でクロースの成長を見たらそりゃ疑うよな。
今更ながら自分の思慮の浅い行動に後悔をしていると部屋のドアが少しだけ開き、そこから照明のスイッチへと手が伸び明るかった部屋が薄暗くなった。そしてドアが大きく開き、そこからローラを先頭にリーゼロットとサーシャが部屋に入って来た。
「なっ!? そ、その格好……」
俺は三人の姿を見て目を見開き絶句した。
そりゃそうだ。ローラは前も後ろもバックリ開き、ショーツが見えるんじゃないかってくらいの深いスリットの入っている黒のドレス姿で、リーゼロットは紫のチャイナドレス姿だ。しかも髪までお団子にしている。金髪エルフがチャイナドレスだぞ!?
そしてトドメにサーシャだ。なんと彼女の姿はミニスカメイドだ。しかもうつむいて恥ずかしそうにスカートの丈を両手で下に引っ張っている。王女がミニスカメイドというギャップに、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている姿。
これらは計り知れないほどの衝撃を俺に与えた。
「フフフ、お気に召したかしら?」
「ふふっ、こういうの好きなんでしょ? シュンランから聞いて魔国の商人に作らせたの」
「あう……」
そう言いながら俺の両サイドに座りしなだれかかるローラとリーゼロット。そして足元で女の子座りをしながらうつむき、両手でスカートの丈を引っ張り気にしているサーシャを前に俺は固まっていた。
「さあ、飲み直しましょうか。リョウスケ」
「夜はまだまだこれからよ。私も酔ってきちゃったみたいだから、リョウに襲われても覚えてないかも」
「ご、ご主人……様……な、なんなりとお申し付けください」
「あ、ああ……」
妖しい笑みを浮かべながら胸を押しつけ足を絡めるローラとリーゼロットと、二人に仕込まれたのかメイドになり切ろうとしているサーシャを前に、俺はかすれた声で返事をすることしかできなかった。
か、勝てるのだろうかこの三人に……
俺の戦いはこれからのようだ。
——フジワラの街 酒場 リーゼロット——
「も、もうかんべん……して……く……れ……ぐぅ」
「ハァハァ……どうやらここまでのようね」
私は目の前で仰向けになって寝てしまったリョウを見てそう呟いた。
ふと自分の身体を見ると、胸もショーツも剥き出しになるほどチャイナドレスが乱れていた。
危なく襲い掛かりそうになっちゃったわ。私とローラの胸を交互にずっと舐めるんだもの。
「そうね。こうなったら何をしてももう起きないわ」
ローラは所々にキスマークがついている両胸をドレスの中に戻しながらそう答えた。
私の胸にはキスマークはない。やっぱり大きいのが好きなのかしら?
「うう……もうお嫁にいけない……ぐすっ」
リョウの膝の上ではメイド服の隙間からさんざん胸を揉まれ、太ももを触られていたサーシャが泣きそうな顔をしている。
さっきまで『も、揉んでくださいご主人様』とか、顔を赤らめながらリョウに迫ってたのになんで泣くのかしら? まあ私とローラがそうするように説得したんだけど。でも本当に嫌ならやらないわよねぇ? 意外とムッツリなのよねこの子。
でもその甲斐はあったわ。
「クロースたちのあの力の秘密は、間違いなく夜の営みね」
「それしか無いわね」
私の確信めいた言葉にローラが頷く。
直接リョウがそう言ったわけじゃない。いわゆる消去法という手法を使って主に私とローラで、クロースたちの身体能力と魔力増量の原因を考えられる限り質問し続けた。
リョウは何度も答えを拒否し黙ったりしたけど、ローラが胸の谷間にお酒を溜めて飲んでと言えばフラフラと誘われるように顔を埋めて飲んだわ。そして思考が鈍化したリョウは答えてくれる。私も口移しで何度もお酒を飲ませたわ。まさかファーストキスをこんな形ですることになるとは思わなかったけど、私も酔ってたし好きな人が相手だからまあいいか。
サーシャにもやらせようとしたけど、あの子は緊張してそのまま飲んじゃって使い物にならなかった。だからリョウの膝の上に上半身を預けさせて好きに触ってもらうことにした。あの子が一番触られてたかもしれないわね。下半身が大変なことになってそう……私もびしょびしょだし。そりゃそうよ、初めて男の人に胸を舐められたんだから。しかも上手いし。
でもローラは凄かったわ。下半身にまでリョウの手を誘導してた。リョウの手が濡れているのを見て、あんなことまでさせるなんてって経験の差を見せつけられた気分だったわ。
でも頑張った甲斐はあった。
最初は加護的な物を勇者が与えると思ってたんだけど違った。確かにそれだと人魔戦争の時に3人の戦妃だけってのがおかしいものね。次に勇者に愛されると祝福的な力を得ると思ったんだけど、これも微妙に違う感じだった。
となるとやっぱり愛を形や行動にした物。夜の営みなんじゃ無いかって結論に至ったので聞いたらこれまでよりも少し強く、そしてハッキリと否定したのよね。
こうして消去法で最後に残り、そして最後までリョウが
この情報を得るまでに失った物は多い。
私のファーストキスもそうだし、初めて男の人に身体を触られたサーシャもよ。
「まさか私たちがここまですることになるとはね」
「だからクロースから聞いた方が早いって言ったのよ」
私の呟きにローラが呆れた顔で答える。
「それはそうなんだけど……あんなこと言われたら聞けないわよ」
そう、一昨日の夜にクロースを今日と同じようにローラに誘ってもらった。
私が誘うと絶対断るしね。あの子はダークエルフ族の調整役だから。過去にダークエルフを迫害していたエルフを恨んでいる人は多いもの。リョウに近い彼女がエルフの私と仲良くなんてできるわけない。いつも私に絡んでくるのもそれが原因なのはわかってる。そうすることでダークエルフたちを上手くまとめているのだと思うの。だからしょうもない言いがかりでも相手にして、不仲を演出してるわ。たまに演技なのか本気なのかわからない時があるけど……演技よね?
そんなクロースから秘密を聞き出そうとするのは良心が痛んだけど、ローラが秘密を知りたく無いの? と言うから仕方なくクロースを飲ませて聞き出そうとした。
けど……
「私もびっくりしたわ。まさかダークエルフのクロースが、リーゼのために精霊の森を取り返すなんて言うんだもん」
「私なんて泣いちゃったわよ」
意外だった。クロースがもっと強くなって精霊の森を取り戻すからと。その時はリーゼたちエルフもまた一緒に森に住もうって。
まさかクロースの口からそんな言葉が出るなんて思わなくて泣いちゃった。そんな私に照れ隠しなのか、『オパの実で偽乳が欲しいんだろ? 貧乳も大変だな』とか言ったあの子にイラっとしたけど。
「まああんなことを言われたら聞きにくいわよね。私もどうぞもっと強くなってオパの実を取ってきてって言いそうになっちゃった」
「ふふ、そうね。ローラには悪い事したけど、やっぱり聞けないわよね」
「別に気にしてないわ。こうしてリョウスケから聞けたんだし」
そうローラはなんでもない事のように言った。
ローラってほんとクールよね。リョウに触られている時もなんだか楽しんでた感じだし。確かまだ21かそこらよね? 私より年下なのに、なんなのよこの余裕。
「で? どうするの? 今確かめてみる?」
私は仰向けに倒れているリョウの股間を見ながらローラに聞いた。
しかし凄いわね。ズボン越しなのにあんなに大きくなってるなんて。
「さすがに初めてをこんな形でするのは嫌ね。別の方法を先に試してから、その後はリョウから手を出してくれるようにしたいわ」
「「えっ?」」
ローラの言葉に私とサーシャの声が重なった。
今なんて言ったのこの子? 初めて? ローラが?
「なに? 私が経験ないのがそんなに意外?」
「え? あ、いえ……そうじゃなくて、その……ほら、南街の酒場でいつも一人で飲んでたって聞いたから。そういうのはほら、いい男に口説かれるのを待つ女性がすることじゃない?」
「そ、そう。それにリョウスケに触られても余裕があったように見えたから」
「失礼ね。私はこれでも枢機卿の娘なんだけど? 箱入りとまで言わないけど、結構大事に育てられてきたのよ? 南街のことは……そうね。色々教会に対して不満があったから、絡んでくる男を待ってたわ。負けて求められたなら抱かれてもいいとは思ってたし、あながち間違いじゃないわね」
「そ、そうなんだ。ごめん」
「ごめんなさい」
そういえばこの子いいとこのお嬢様だったわ。しかも父親は教会のナンバー2だったはず。でもこの子がしたことで失脚したんだっけ。
でも未経験であれだけリョウに触られたり舐められたりしても受け入れるだなんて、やっぱりこの子もリョウのことが……
「いいわよ、よく言われるし」
「ほんとごめんね。それよりさっき別の方法を試すって言ってたけど、何をするつもりなの?」
「夜に営みでは男が出す物を体内に入れるわけよね? それなら何もここに入れなくてもいいかもしれないじゃない」
ローラはそう言って自分の下腹部に手を置いた。
「え? そこ以外にどこに入れるって言うの? まさかお尻?」
さすがに処女のままそっちは抵抗があるわ。クロースは気持ちいいって言ってたけど、順序ってものがあるわよね。
「い、嫌よ! そんなの絶対イヤ!」
あら? クロースが話していた時に興味津々で聞いてたくせに、ほんとサーシャはムッツリよね。
「そ、そんなことはしないわよ。ここよここ」
ローラも流石にお尻は恥ずかしいのか、少し顔を赤らめながら自分の口に指を差した。
「え? 口?」
「の、飲むの?」
「ええ、体内に入ると言う意味なら同じことでしょ?」
「そ、それはそうだけど。肌に塗るとかは?」
「それは何度もやったけど駄目だったわ」
「「何度もやった!?」」
再びローラの衝撃発言に私とサーシャの言葉が重なった。
「何を驚いてるのよ。リョウスケは飲むとスケベになるのは今日のを見てわかってるでしょ? 今まで何度も二人で飲んでるのよ? 胸を舐められているうちに挟んでって言われたから、やってあげたことくらいあるわよ」
「は、挟む……」
ローラの言葉に私はその光景を想像し、そして自分ではできないという屈辱を感じた。
サーシャは空いた口が塞がらないって感じね。魚みたいに口をパクパクさせてるわ。
「そういうわけだからまだしてない精飲を試そうと思ってるわ」
「せ、せいいん……で、でもローラは平気なの? リョウのをその……」
「ええ、好きになった男のだもの。そもそも好きでもなければ指一本触らせないわよ。私をなんだと思ってるの?」
「あ……ごめん」
そっか、やっぱりローラもリョウが好きだったのね。そうじゃないかと思ってたわ。
「わ、わたしは……わたし……」
あー、サーシャが好きでもない男に指一本触れさせないって言葉に反応して、何か言おうとしてるけど言えないって感じね。あれだけ触らせておいてリョウを好きじゃないとか言えば、誰にでも触らせるの? ってなるし。でも素直にリョウを好きとは認められないしってとこね。めんどくさい子よね。
「いいわ、それより私だけやるってことでいい? 変化があったら教えるから」
「え? 私もやるわ。こういうのは人数が多い方が正確な結果が出るし」
すごく興味があるのは確かだし。クロースは美味しいっていってたもの。で、でもそのためにはリョウのアレをアレしないといけないのよね。上手くできるかしら?
あら? サーシャは色々想像したのか今にも倒れそうなほど顔を真っ赤にしてるわね。どうせ私たちがやればこの子もやるでしょう。ムッツリだし。
「じゃあみんあんでやると言うことでいいわね。3回くらいは普通にいつも出してるから大丈夫だと思うわ」
そう言ってローラは手慣れた手つきでリョウのズボンのチャックを下ろし、手を入れて目的のものを引き出した。
「お、大きい……こんなに大きい物なの?」
「私に聞かないでよ。私もリョウスケ以外のその……こうなってる状態のは見たことないわ」
私の問いかけにローラは視線を逸らしながら答えた。
やっぱりローラだって恥ずかしいみたいね。あまり表情が変わらないからわかりにくいのよね。
「そ、それでそれをどうすれば……」
「こうするのよ」
そう言ってローラはリョウのを握った手を上下に動かした。そしてその上から唾液を垂らし、ドレスの胸をはだけさせ両胸を出して挟み込み上下に動かし始めた。
さ、参考にならないんだけど!?
しかしそんな私の心の声など聞こえないとばかりにローラはリズミカルに胸を上下させていく。
リョウの顔に視線を向けると、すごく気持ちよさそうに緩んでる。
隣を見るとサーシャが真っ赤にした顔に手を当て目を塞いでいる。
ちょっとサーシャ、指が隙間だらけよ?
「う……あ……」
しばらくローラが胸で扱いていると、リョウの眉間にシワが寄った。
「今ね」
ローラはそう言って挟んでいたリョウのモノをそのまま口に咥え込み、少しして彼女は目を見開き苦しそうにしつつも喉を動かしていた。
数秒ほどそうしていると、ローラはリョウのモノから口を離した。
彼女の唇の端からは、白い液体が溢れでている。
「ん……ちょっと量が多かったわね。そう……これがリョウスケの」
ローラは眉間に皺を寄せながらハンカチで口元を拭い、そのあとリョウへと視線を向けた。その目は恋している女の目に私には見えた。
「す、すごいわね貴女」
「うう……」
「何度も言うけどリョウスケのだからよ? 誤解しないで欲しいわ。それでリーゼはやるの?」
「や、やるわ。でも挟むのは無理よ」
「大丈夫、手で私がやってたようにすればいいから」
「そ、そうね」
でも手だけだとタイミングの逃すかもしれないわね。ローラみたいに何度もリョウのを出したことないし。確か口に咥えて舌を動かすってカルラが言ってたわね。試してみようかしら?
私はリョウの足もとに移動して少し小さくなった彼のを手で握り、上下に動かしたあとそっと口を近づけるのだった。
この後、サーシャもなんだかんだ言ってやって、全員がリョウのを体内に取り込むことに成功した。あとは魔力や身体能力が上がるのを待つだけね。
それにしてもクロースは美味しいとか言ってたけど、ぜんぜん美味しくなんてなかったわ。ただ、好きな人のを舐めたり飲んだりするのは、とてもえっちな気分になった。今夜ちゃんと寝れるかしら?
でも一回で大丈夫なのかしらね? もし駄目だったら何回かやらないといけないわね。
次はどんな衣装を用意しようかしら?
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