第3話 包囲



 ——滅びの森 野営地 ラギオス帝国第一皇子 ルシオン・ラギオス——




「チッ、雑魚に好き放題やられやがって」


 朝日に照らされる野営地で、魔物によって薙ぎ倒された数多の天幕を見渡しながらそう愚痴った。


 それらの天幕の側には、複数の兵士の死体が転がっている。そのどれもが欠損が激しく、恐怖に支配された表情のまま絶命していた。


 昨夜より酷い状況だ。準備はしていた。昼の行軍中にDランクの魔物が出てくるようになったことから、野営時には警戒の兵を多く出し、鎧を着用したまま寝るように指示をした。しかしそれでもオークにオークキング。そして灰狼に森熊を加えた300を超す魔物の3度に渡る襲撃には手こずった。


 苦々しい気持ちで野営地に戻ってくると、俺の姿を見つけたシュバインが駆け寄って来た。


「ルシオン様、被害状況の確認が終わりました」


「そうか。昨夜と今日でどれくらいやられた?」


「はい、死者530、負傷者1200、内重傷者560、逃亡及び行方不明者が400ほどとなります」


「たった二晩で3割近く減らされたってのか? それに逃亡だぁ? だから領兵なんかいらねえって言ったんだ」


 俺の率いる精鋭部隊も30ほど死に150ほど戦闘継続が不能になったが、逃亡者なんて一人もいねえ。弱い上に臆病な農民なんか連れてくるから被害が増えんだよ。


「それに関しましては言い訳もしようもなく……まさかあれほどの数の魔物が二日続けて襲撃してくるとは」


「それだ。いくらなんでもおかしくねえか? 過去に森の中に砦を築こうとした者たちが、魔物の群れに襲撃を受けたことは知っている。だがそれは森の木々を大量に伐採をしたことが原因のはずだ。親父が皇帝に就任した時に建築した砦も、建て始めるまでは魔物の群れの襲撃なんか無かったって話じゃねえか。それを野営していただけの俺たちがだ、なぜ二日も続けて魔物の群れの襲撃を受けるんだ? しかも昼にはやって来ず深夜だけだ。何か魔物を呼び寄せる原因があるんじゃねえか?」


 親父が砦を建築した時はもっと多くの兵を動員したと聞く。それなのに現地に着くまではそれほど被害はなかった。被害が出たのは建て始めた時からだ。


「そのことなのですが、前線で生き残った者から気になる報告がありました」


「気になる報告だと?」


「はい。魔物が襲撃に来る直前に、目にも止まらぬ速さで野営地に向かってくる人影を複数見たらしいのです。これが本当であれば、今回の魔物による襲撃は人為的な物ではないかと」


「なんだと! 魔物の襲撃が人為的な物だと!?」


 人間があれだけの数の魔物を引き連れてきたということか? 確かに一晩に二度も三度も数百単位で魔物の群れ、それも多種多様な魔物が襲ってくるのはおかしい。だが麻痺蜘蛛の巣が張り巡らせられている夜の森の中を、緑狼や灰狼よりも速く走って数百体の魔物をここへ誘導できるもんなのか? 飛行系の魔物も大量にいたんだぞ? そんなことが本当に可能なのか? 


「普通であれば不可能です。ですが砦には魔族のハンターもおります。竜人族であればあるいは……」


「竜人族か、確かに空を飛べばできそうではあるが……いやだがそれだと飛んで離脱する時に飛行系の魔物もついて行くんじゃねえか?」


「それは確かに……ですが現状でそれ以外は考えられません」


「どうやったかはともかく、つまりは砦の奴らの悪あがきってことか。ふざけたことしてくれやがって! おいシュバイン、ここから目的の砦までは半日の距離だったな? すぐに出発の準備をさせろ。舐めた真似をしてくれた奴らを女以外皆殺しにしてやる」


「お、お待ちくださいルシオン様。現在負傷者の救護をしているところです。それに兵たちはここ二日まともに寝ておりません。せめて昼までは休息を」


「んなことすりゃ砦に着くのが夜になるだろうが! それで戦闘中にまた背後から魔物の群れに襲われたらどうすんだ!?」


「それはそうですが、兵の士気が……」 


「兵の士気なんか知ったことか! 兵には昼までに着いて短期決戦で砦を落とすと告げろ! 途中で逃げるような奴は帝国に戻ったら敵前逃亡で処刑する! 直ぐに進軍の準備をさせろ!」


「……わかりました。負傷者とその護衛を残して進軍させます」


「それでいい。早くしろ」


 俺がそう告げるとシュバインは指揮所へと戻っていった。


 あの様子じゃついて来れるのはシュバイン直属の騎士と雑兵で3000ってとこか。7000いたシュバインの兵が半分以下になったな。まあいい、最初から俺の軍だけで落とすつもりだったんだ。邪魔な雑兵がいなくなった分、動きやすくなった。滅びの森の中に建てた砦程度、俺と親衛隊の雷のギフトで門を破壊して終わりだ。


 それから朝食を終えた頃、俺は準備を終えた軍を率いて進軍を開始した。



 ♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎



「なっ!? これが砦だと!?」


 森を半日近く移動し左手に見える巨大な岩山沿いに進み拓けた場所に出た俺は、前方に高く分厚い壁に囲まれた砦を見て固まった。確かに15メル《メートル》ほどの高さの壁があり、その手前にも深い堀があるとは聞いていた。だがまさかこれほど壁が分厚く、何百メルもある大きな砦だとは想像していなかった。


「報告には聞いていましたがこれほどとは……」


「いくらダークエルフがいるからってこんなもん短期間でどうやって建てたんだ? 帝国が総力を上げても5年以上は掛かるぞ?」


「わかりません。考えられる可能性としては、リョウスケというここの責任者が関係しているのかと。相当な土のギフト使いであり、魔導技師でもある彼ならばあるいは」


「これほどの物を短期間で造れるならますます捕らえておきてえ男だな。ん? チッ、ご丁寧に門の前にも分厚い石壁を用意してやがる」


 さすがにあの石壁は俺と親衛隊の雷撃じゃ破壊できねえか。


 ん? あの壁沿いに建っている二つのでかい石柱はなんだ? 頂上が丸く穴が開いてるところを見るとやぐらか? にしては少ねえな……それに門の横に設置するならともかく、あんな離れた場所に建ててどうすんだ? 


 そういえばここはフジワラの街とかいう名称だったな。規模や外壁の高さと分厚さには驚いたが、砦として建てたわけじゃねえ上に戦争の素人が作ったならこんなもんか。


 こっちにはシュバインが大量に用意したハシゴがある。シュバインの放ったハンターに偽装した密偵の話では、砦の中にはハンターがほとんどいないらしい。女だけの警備隊とダークエルフと少数の竜人のみなら、中に入っちまえばこっちのもんだな。


 それにしても……王国は馬鹿だ馬鹿だと思ったが、砦の周りをこんなに伐採して何を考えてやがんだ? 見たところ100メル《メートル》くらい伐採してるぞ? これじゃあ万を超える軍を布陣して総攻撃をしてくださいと言っているようなもんじゃねえか。本当に帝国に攻められることがねえとか思ってたってのか? 相変わらず頭の中がお花畑な国だぜ。


「ルシオン様。軍をどのように布陣いたしましょうか?」


「確か戦えるダークエルフの数は百かそこらだったな?」


「はい。ですが最近少し増えたようです。どれほど増えたのかまでは確認できませんでしたが、戦える者は300はいないと思います」


「だったら正面から力攻めするか……いや、逃さねえためにも包囲して一斉に攻めた方が良さそうだな。シュバイン、数百程度でいい。後方の岩山にも兵を配置して包囲しろ」


「はっ! 仰せのままに」


 その後、俺たちは軍を進め砦から150メルほど離れた森の中に本陣を布陣した。前線に行きたかったんだが、シュバインのクソジジイが猛反対したことで、やむなくこんな後方で指揮することになった。本当に邪魔な野郎だ。親父の親友であることと帝国一の諜報能力がなきゃ、戦死したことにして殺してやりてえくらいだ。


 本陣には全員が雷のギフト持ちである俺の親衛隊が300。シュバインとその護衛の騎士団が同じく300ほどおり、シュバインの騎士団は後方の警戒を行っている。


 森の外の砦の東側には俺の兵が2000と少し。北側と西側にはシュバインの兵がそれぞれ1200。南側にある岩山には300ほどが配置される手筈となっている。


「ルシオン様! 兵の配置が完了いたしました!」


「わかった。ならとっとと終わらせるとするか」


 伝令からの報告に、俺が総攻撃の号令をかけようと腕を上げた時だった。


「お待ちくださいルシオン様。総攻撃の前に降伏の使者をお送りください」


 隣にいたシュバインが降伏の使者を出せとかふざけたことを抜かしやがった。


「降伏だぁ? そんなもんさせる気はねえ。男はリョウスケとかいう魔導技師以外は皆殺しだ」


「ここは王国の砦ですので国際条約通りにいたしませんと、竜王が口を挟むキッカケを与えることになります」


「これは領土侵略への反撃だ! 奪われた領土を取り返すための戦いに、たとえ竜王だろうが口出しできるわけねえだろうが!」


 この土地には千年前に帝国に従属していた国があったらしい。それはつまり帝国の領土ということだ。王国も千年前のボロボロの羊皮紙を取り出してきて同じ主張をしているが、そんなもん関係ねえ。帝国が領地だと言えばそこは帝国の領地だ。そこに勝手に街だか砦だかを建てた王国に非がある。


「それはそうですが、万が一ということもあります。敵には竜人のハンターもおりますので空を飛んで逃げるられる可能性があります。国際条約を守らず殲滅したことが魔国に知られ、竜王の耳に入れば後々面倒なことになりかねません」


「クッ……どいつもこいつも竜王にビビりやがって」


「お気持ちはお察しいたします。ですが竜王は勇者とともに人魔戦争を戦った御仁です。魔国と獣王国を動かせる発言力を持つ上に、強力な神器を持っておりますれば」


「クソが! 王国を滅ぼした後は獣王国も速攻で滅ぼしてやる! その後は魔国だ! あのゾンビみてえな竜王に引導を渡してやる」


 王国と獣王国を滅ぼせば奴らを奴隷にして魔国と対等以上に戦える。青龍戟の威力は凄まじいらしいが、竜王は寿命を遥かに超えたヨボヨボの老人だ。王国から同じ神器である玄武の鎧を奪えば恐れることはない。神器さえあれば俺がいつまでも生にしがみついている竜王をぶっ殺してやる。


「では降伏の使者を送ります」


「好きにしろ」


 チッ、まあいい。降伏したなら夜襲をした奴らを差し出させてその場で処刑し、残りの男どもは戦争犯罪人として鉱山に送り込んでやる。女は俺と兵の慰み物にした後は娼館送りだ。


 どっちにしろこの砦にいる奴らの未来は変わらねえ。



 ♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎



「1万と聞いたが随分と減っておるのう勇者殿」


「そうだな。思ったより少なくなってるな」


 第二フジワラマンションのバルコニーから包囲をしようと展開していく帝国軍を眺めながら、俺は隣にいる竜王にそう答えた。竜王の後ろには護衛のリキョウ将軍たちが控えている。


 ざっと見た感じじゃ包囲しているのは5000ちょっとって感じか。岩山の裏側や森の中にもいくらかいるから全部で6000てとこかな。3割削れればいいと思っていたが、予想より多く削れたみたいだ。そのうえ二日徹夜させられたせいで兵の動きは鈍い。士気は最悪だろうな。


「なんじゃ、これではワシの出番は無さそうじゃの」


「竜王に出られると困る。第一皇子と一緒にいる公爵とは面識があるんだろ?」


「まあの。昔王国との戦争の仲裁に入った時にの。シュバイン公爵は野心のある男じゃがなかなかに交渉上手じゃったな」


「だったら姿を見せないでいてくれ。リキョウ将軍たちが手伝ってくれるだけで十分だ」


 まだ竜王が味方していることは帝国には伏せておきたいしな。


「つまらんのう……じゃが中に入られた時は戦うぞ?」


「中に入られたらな」


「余裕じゃのう」


「まあな。さて、そろそろ包囲が終わりそうだ。俺は外壁の上に行くから竜王はダークエルフ街区にいてくれ。リキョウ将軍、帝国軍が撤退したら後は頼む」


「承知しました」


「それじゃあ配置につくとするか」


 リキョウ将軍の返事を聞いた俺は、つまらなそうにしている竜王を尻目にそのままバルコニーから飛び降りた。


 マンションの前に着地すると、そこにはサーシャ、リーゼロット、シュンラン、ミレイア、クロースの他に、カルラを始めとする棘の警備隊の皆がそれぞれ武器を手に戦闘準備を行っていた。


「サーシャ、危なくなったら先に第二フジワラマンションの地下の抜け道から脱出するようにな? 間違っても戦おうとするなよ?」


「わかってるわよ。ギフトをみんなに掛けたら大人しくしてるわ」


「ふふふ、私がいるから大丈夫よ。いざとなったらサーシャを抱えて飛んで逃げるわ」


「そうしてくれリーゼロット」


「任せて。だからリョウも無理しないでね? 熱くなって敵に突撃したらダメよ?」


「ははっ、そんなことしないって。リーゼロットも無理をしないようにな。多くの敵が壁を乗り越えてきたらすぐに撤退するように」


「わかったわ」


「ならいい。それとクロース、帝国軍はここを包囲するつもりだ。念の為ダークエルフ街区に向かってくれ」


 リーゼロットとの会話を終えた俺は、後ろで意気揚々と短剣を振り回しているクロースへと声を掛けた。


「な、なぜだ! 私もリョウスケと一緒に外壁の上で戦うぞ!」


「的になるから駄目だと言っただろ。敵が万が一壁を超えてきた時のために、ダークエルフ街区にいる者たちと一緒にいてくれ」


「鉄のゴーレムに隠れながら戦うから大丈夫だ!」


「鉄のゴーレムじゃ雷撃を防げないだろうが」


 一緒に感電する未来しか見えない。


「じゃ、じゃあ石のゴーレムで戦う!」


 そう言ってクロースがなんとか食い下がろうとした時だった。彼女の背後からシュンランの戟が襲いかかった。


「こらクロース! 包囲されてるのだ。わがままを言わずに涼介の言う通りにしろ」


「アイタッ! シュ、シュンラン! 戟で殴るとか私の頭がへこんだらどうするのだ!」


 戟の刃の根本部分で叩かれたクロースは、涙目になりながらシュンランに抗議した。


 ゴン! とかものすごい音がしたけど、レベルアップしたクロースなら大丈夫だろ。


「拳で殴っても最近効かないようだからな。いいから早く行け。もう一度殴られたいのか?」


「わ、わかった! す、すぐに行くから!」


「まったく、相変わらず緊張感のない子だ」


 再度振り上げられた戟から逃げるように走っていくクロースの背を見送りながら、シュンランはため息を吐きながらそう口にした。


「うわぁ痛そうだったぞ今の。しっかしクロースは相変わらずだな」


「カルラたちが甘やかすからだ。いい加減私たちのプライベートなことをクロースから聞くのはやめて欲しいんだがな」


「だってシュンランはどんなに飲ませても教えてくれねえじゃねえか。クロースの話は男に抵抗があるうちの子たちにはいいリハビリになるんだよ。いやぁしかし毎晩濃い生活を送っているようで……おっと! それじゃアタシたちも配置に着くとしようかね。リョウスケ怪我すんなよ?」


「あはは、大丈夫だ。それじゃあ街の防衛を頼んだ。シュンラン、ミレイア。行ってくるよ」


 俺は戟を振り上げようとするシュンランから逃げるように警備隊を連れて決められた外壁の前に向かうカルラに答えた後、シュンランとミレイアへとそう告げた。


「ああ、気をつけてな涼介」


「涼介さん、無理して怪我しないようにしてくださいね」


「ははっ、大丈夫だよ。俺のギフトのことは知ってるだろ? 遠距離からのどんな攻撃も俺には通用しないさ」


 大丈夫だ。帝国軍で確認されているギフトは地水火風の四属性と雷だけのようだし、弓に関しても正規軍は鏃に魔物の牙を使っていない。そんな物を使っているのはAランクのハンターだけだ。となれば俺の火災保険バリアを貫ける攻撃手段を持つ者は帝国軍にはいない。


 それでも一応は外壁の上の壁に隠れながら攻撃はするけど。


 俺はシュンランとミレイアを軽く抱きしめ、その隣で両腕を前に突き出しているリーゼロットに苦笑しつつも同じく抱きしめたあと外壁へと向かった。


 外壁の下へ着くと、そこでは弾薬庫前でダークエルフたちが慌ただしく準備をしていた。そんな彼らに頼むぞと声を掛けながら新設した階段を登った。


 階段を登ると砲台となる石のドームの入口が見えたので中を覗くと、そこには全身鎧の上からゴム製のピンクのカッパを着たスーリオンが、機関銃を構えて外壁の外を見ていた。スーリオンの隣には弾帯を手に持って射撃の補助をするダークエルフの男性がいる。二人とも俺が覗いていることに気づいていない。どうやら緊張しているようだ。


「スーリオン、寒くないか?」


「!? リョウスケか。驚かすな」


「ははっ、悪い悪い。それより寒くないか?」


 俺は内側が氷漬けにされているドームを見渡しながら、スーリオンに再びそう尋ねた。


 この氷は帝国軍が近づいてきたタイミングで、ローラに頼んで全ての砲塔に施してもらったものだ。なぜ氷漬けにしたかというと、機関銃を連射するとドーム内に熱が籠り長期戦になった時に辛いだろうというのもあるが、それよりも機関銃を連射することで銃身が熱くなり撃てなくなるからだ。


 そのためドーム内には常時2丁の機関銃が置いてあり、銃身が熱くなったら氷の上において冷やし、もう一丁の機関銃を使うことになる。


「大丈夫だ。だいぶ暖かくなってきたしこの重装備だからな。ちょうどいいくらいだ」


「ならいい。遠慮なく撃ち込んでくれ。頼むぞ」


「まかせてくれ。この街は俺たちが守る」


「無理はしないでくれよ? 敵が外壁を登ってきたら機関銃を持ってここを放棄すること。いいな?」


「……わかっている」


「ならいいんだが」


 本当にわかってるのかね。なんだか機関銃を持って外壁の上で戦いそうで怖いな。


 俺は一抹の不安を抱きつつ、正門の上へと移動した。


「やはり大将は森の中っぽいな」


 魔物探知機を見ると、街から80メートルほどの距離で包囲している青く点滅した点がある。そして正門の前に展開している兵の後方で、青く点滅した点が数百ほどあった。恐らくこれが敵大将の陣だろう。


 サーシャは第一皇子は常に最前線で戦うとか言っていたが、今回は違うようだ。恐らく一緒にいるシュバインとかいう公爵に止められたんだろう。


 まあいい、今回は俺たちの力を帝国に見せつけることが先決だ。大将をどうにかするのは敵が崩れた後だ。


 そうして外壁の上で一人姿を晒していると、包囲を完了した敵軍の中から鬼馬に乗った騎士が一人だけ近づいてきた。


 恐らく降伏勧告か何かだろう。


 そんなものする気はないが、一応相手をしてやるとするか。


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