第24話 クロースの成長と念願の……
「ノームよ! 千の石槍で敵を貫け!」
クロースの命令により地中から数十本の石の槍が飛び出し、空から襲い掛かってきたハーピーの群れへと次々と向かっていった。
《ピギィィィ!》
その結果、胸や翼へ石槍が突き刺さり十体ほどいたハーピーが地上へと落ちていった。
ちなみに千の石槍という技名は俺の千本槍を真似たらしい。千と名付けておいて数十本しか無いことまで真似なくてもいいんだが。
「アハハハ! まるでゴミのようだ! 私の精霊魔法は圧倒的ではないか!」
クロースは大量にCランクの魔物を倒せたことに興奮しているのか、腰に両手を当てながら寝物語で話した某アニメキャラのセリフを口にし盛大に笑っている。
そんな彼女へ突然両側面の森の陰から、十数体のハーピーが襲い掛かってきた。
「わっ! ノ、ノーム! み、右だ! 千の石槍を! 左はストーンゴーレムが牽制してくれ!」
クロースは慌てながらも精霊へと指示を出し、右側から来るハーピー群れに再び石の槍を放った。そして左から来るハーピーの群れに対し、前後を守らせていた2体のストーンゴーレムのうち後方を守らせていたをゴーレムを向かわせた。
その瞬間。それを待っていたかのように背後から数体のハーピーが低空飛行で迫ってきた。
「スケールトルネード!」
俺はアンドロメダスケールを展開し、クロースを包みながら突撃してくるハーピーを切り刻んだ。
「え? あ、リョウスケナイスだ!」
「ほら、防御は俺がやるからゴーレム側のハーピーを早く処理しろ」
「わかった! ノーム!」
俺の言葉にクロースは破顔し、ストーンゴーレムへ鋭利な羽根を飛ばしまくっているハーピーの群れへと石の槍を射出した。
それからしばらくして、襲い掛かってきたハーピーがほぼ全滅した頃にそれは現れた。
「リョウスケ! ハーピークイーンだ!」
「あれはBランクだから俺がやる。クロースは残りのハーピーを頼む」
クロースにそう伝えたあと彼女から数メートルほど離れ、左側面の生い茂る巨木の影から十匹ほどのハーピーを引き連れ現れた一際大きなハーピーへとペングニルを構え投擲した。狙うは頭と胴体だ。
「ダブル!」
掛け声と共に二本に分かれたペングニルが、ハーピークイーンの頭と胴体に突き刺さろうとしたその時。ハーピークイーンは身をよじり、左右にいたハーピー2体へ足の鉤爪を伸ばして引き寄せ盾にして攻撃を防いだ。
相変わらず酷えことするな。
盾となった二体のハーピーに刺さり貫通したペングニルを見たハーピークイーンは、一瞬驚いたような表情を見せたあと大きく翼をはためかせた。
その瞬間。通常のハーピーの羽根と違い、不可視の羽根が俺へと襲い掛かって来た。しかし俺はそれを無視してペングニルを構えた。
ハーピークイーンは襲い掛かってくる羽根を無視し、ペングニルを投擲しようとする俺の姿に驚愕した顔を浮かべたが、再び近くにいたハーピーを盾にするべく呼び寄せその後ろに身を隠した。
「無駄だ。ダブル! そしてロスト!」
俺はそれに構わずペングニルをハーピークイーンのやや下方向へ向けて投擲し、二本にした後にその姿を消した。
突然姿を消したペングニルにハーピークイーンは目を見開き、頭を周囲に振って投擲されたはずのペングニルを探していた。
《ピュギィィィ! 》
しかしその甲斐虚しく、クイーンは下から襲い掛かってきたペングニルにより腹部と胸部を貫かれ墜落した。
「剣山射出」
俺は突然ハーピークイーンが血を撒き散らしながら墜落していったことに驚いている残りのハーピーへと距離を詰め、その足元に地上げ屋のギフトを使い射出型の剣山を発動した。
混乱しているハーピーたちに地中から現れ射出された鉄槍を防ぐ手立てはなかった。
数打ちゃ当たる精神によって射出された数十本の鉄の槍は次々とハーピーたちの身体を貫き、その全ての命を奪った。
「凄いぞリョウスケ! Bランクの魔物相手に圧倒的だった! さすが私の婚約者だな!」
ハーピークイーンを倒しペングニルについた血を振り払っていると、後方から満面の笑みを浮かべたクロースが駆け寄ってきた。
「はは、クロースも見違えるほど強くなってるじゃないか」
俺の腕を抱きしめながら喜んでいるクロースを褒めると、彼女は照れくさそうに笑った。
ローラとの一件から十日ほどが経過し、神殿地下の改装とハンターたちへの周知を終え落ち着いて来たので、俺は朝からクロースを連れて彼女のレベル上げのために森へと来ていた。
いつもならシュンランとミレイア。そしてサーシャとリーゼロットも一緒なんだが、シュンランがレベル21。ミレイアがレベル19になったのに対しクロースはレベル12だ。そのためクロースがシュンランたちとのレベル差を縮めたいと頼んできたので二人で狩りに行くことになった。
付いて来たいというサーシャたちは断った。シュンランとミレイアがおらず、猪突猛進なところがあるクロースがいるのに戦闘能力の低いサーシャを守ることに自信がなかったからだ。リーゼロットがいたとしてもCランクの魔物がいるエリアに行く予定だったので、万が一のことを考えて連れてこなかった。サーシャはギフト以外は一般の兵士と変わらない身体能力だからな。
「もうレベル12だからな! ストーンゴーレムも2体同時に操れるようになったし、操りながら別の精霊魔法も使えるようになった。兄上との特訓の成果だ」
「そうか。頑張ったな」
そう言ってクロースのシルバーグレーの長い髪を撫でた。
毎日ダークエルフ街区の外れでスーリオンと訓練しているのは知っていた。スーリオンがクロースの成長の早さに自信がなくなったとか言っていたしな。
スーリオンでさえストーンゴレーム1体を操りながら、精霊魔法を発動するのが限界らしい。それをクロースは2体同時に操れるわけだし。短剣術でも技術面では勝てるが、スピードと力で負けてしまうと悲しそうに言っていた。
スーリオンになぜクロースが急激に強くなったのか聞かれた時は、シラを切るのに苦労した。レベルアップのことを正直に話したとしても、男のスーリオンじゃどうしようもないことだしな。余計落ち込ませてしまうだけだろう。無いとは思うし友人として信じてはいるが教えたあとに、では私もリョウスケとなどと言われたら友達を失う。教えない方がいいだろう。
「でもさすがにハーピーの巣の襲撃はキツかったぞ。魔力がもうほとんど無くなってしまった」
「レベル上げにはちょうどいいと思ってな。オーガ相手よりはハーピーの方がクロースの精霊魔法と相性がいいし」
空を飛び遠距離攻撃を持っているハーピーだが、強靭な肉体と素早さを持つオーガに比べたら圧倒的に打たれ弱い。防御面さえ俺がカバーすれば、ハーピーの方が対空精霊魔法が使えるクロースは戦いやすい。
「それはそうだけど、精霊魔法を使いまくってもうクタクタだぞ。でも今夜が楽しみだな。3つくらいレベルが上がるかも」
「そのぶん身体の痛みも3倍だけどな」
1レベル上がる時の痛みより、当然一気に複数レベル上がった時の方が身体の痛みが強い。レベルが低い時はなおさらだ。俺もシュンランたちをオーガキングが率いる群れから助けた夜はキツかったな。あの時は声を出すこともできなかったし。
「うっ……リョウスケが手を握っていてくれるなら我慢する」
「ははは、側にいるよ」
可愛いやつめ。今夜はクロースの日だし、ずっと手を握っていてやろう。
「なら我慢できる! 強くなるためだしな! 私が里の皆や新しく来る同胞を守るのだ!」
「そうだったな。もうすぐやって来るんだったな」
もうすぐ魔国から600人近くのダークエルフがやって来る。竜王に頼んで移動に必要な金貨を支度金として立て替えて渡してもらっているし、彼らが生活するための家と当面の食料も準備できている。もう十日もしないうちにやって来るだろう。
一気にダークエルフが3倍の数になることに不安を覚えないこともないが、ダークエルフ街区の統治に関してはクロースの部族を長として新しく各族長の合議制にするつもりだ。増強されるダークエルフ警備隊もスーリオンをトップとして運営することになってるし、道の敷設など土木工事もスーリオンの里の者が責任者となって新しく来た者たちをまとめる。それ以外にも酒造りや燻製作りなど仕事もある。少なくとも魔国にいた時より生活水準が上がるだろうし、不平不満が出ることはないだろう。
大昔にエルフと揉めていた時代のダークエルフは割と好戦的な種族だったらしいが、精霊の森を追われ迫害を受けながら魔国に受け入れられ、魔王が倒されてからはデーモン族に奴隷のような扱いを受けてだいぶ大人しくなったらしいしな。里同士で争ったりもしないだろう。
「もしも生意気な奴がいたら、私と兄上が教育するからリョウスケは安心していいぞ。リョウスケに逆らう奴はこの短剣で切り刻んでやる」
「ま、まあダークエルフ内のことは族長と二人に任せる。それよりまだ昼を過ぎたばかりだけど魔力切れならもう戻るか? それとも休憩所で少し休んでまた狩るか?」
休憩所とは森にある大岩をくり抜いた空間に作った1KDKの部屋だ。この休憩所の存在は、俺と恋人たちとサーシャとリーゼロットしか知らない。もともとは緊急事態があってその日のうちに帰れなくなった時の為に作っておいた物だったが、最近は休憩所としても使っている。
「休憩所に行く! せっかく二人なのだ。二人の方がレベルが上がりやすいのだろう?」
「ああ、人数が少ない方が上がりやすいな」
「ならもっと狩ってレベルを上げるぞ! 早くシュンランに追いつきたいのだ。そうしないと私の頭がいつか割られてしまう」
「シュンランのゲンコツに耐えられるようにするよりも、彼女を怒らせないようにする方法を考えろよ。クロースは口が軽すぎだぞ」
クロースが夜のことをあっちこっちでしゃべるのは俺は男だからまだ我慢できるが、シュンランとミレイアのこともうっかり話すからな。シュンランからゲンコツを喰らうのは当たり前だ。
「つい話の流れで話してしまったのだ。別に私はリョウスケに縛られて目隠しされたり、ウサギの耳を付けてシタ事を他人に知られても平気なんだけどな。あっ! そういえばハンターが貴族はメイドを鞭で叩いてすると聞いたぞ。リョウスケがしたいなら、メイドを服を着るから鞭で叩いてもいいぞ? リョウスケに尻を叩かれた時は気持ちよかったしな!」
「あ、うん。いや、鞭とかはちょっと。ってそういうことじゃなくて、夜のことをうっかり他人に話すのをだな」
「なんだ? 私は平気だぞ? リョウスケは尻を叩くだけで満足なのか」
「……もういい。休憩所に行こうか」
「休憩所でしたいんだなわかった! なら早く行くぞ! 確かあっちだったな!」
「…………」
俺は話がまったく通じないクロースにため息を吐きつつ、ダークエルフたちによって舗装された道をマウンテンバイクに乗って休憩所へと向かうのだった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「あら、お帰りなさいリョウスケ。ずいぶん疲れた顔をしているわね」
クロースとのレベル上げを終えて街へと戻り、スーリオンのところに行って来るというクロースと門の前で別れるとローラに話しかけられた。
「ああ、ただいま。ちょっと色々あってね」
まさか休憩所でシャワーを浴びたあと、アンドロメダスケールを使って叩きながらシテ欲しいと言われるとは思わなかった。クロースのお尻を切らないように神経を使って疲れた。
「強い魔物でもいたの? 日帰りできる距離にいる場所に、貴方が苦戦する魔物がいるとは思えないのだけど」
ローラが少し驚いたように聞いてくる。
「いや、今日はクロースと二人で狩りをしていたんだ」
「ああ、あの子元気だものね。フフフ、夜も大変みたいね」
そう言ってローラは唇を軽く舐めたあと両腕を組み、修道服ごと豊満な胸を押し上げた。
「そ、そんなことはないさ」
俺はローラの胸を見ないようにそう答えた。
というかクロースのやつローラにまで話してたのかよ!
「フフッ、カルラよ。あの子がこの街のことやリョウスケたちの事を色々教えてくれるの」
「な、なるほど」
ローラは酒場によくいる。というか捕虜収容施設を出てから毎晩いるように思える。そこでカルラに色々聞いたんだろう。
まずいな。さっそく変態だと思われているかもしれない。この世界にはコスチュームプレイとか目隠しプレイとか無いからなぁ。
「修道服の予備があるけど欲しい?」
「え? あ、いや遠慮しておくよ」
くっ……俺が修道服を欲していることをなぜ知ってる? まだ衣料品店のマーラさんにしか手に入るか聞いていないのに。カルラの情報網恐るべしっ!
「そう……私を口説いてみる? そしたら修道服を着た女が手に入るわよ? 」
ローラはそう言って右足を前に出し、修道服に入った深いスリットから太ももを覗かせた。
「か、からかわないでくれ。それよりこれから酒場に行くのか?」
俺は太ももを凝視しそうになるのを懸命に堪え、話題を強引にそらした。
「フフフ、ええ。ビールを飲みにね。あれ冷たくて美味しいのよ。高いからあまりたくさん飲めないのだけど」
「気に入ってもらえて良かったよ。値段はまあここでしか飲めない酒ということで」
「そうね。あれほど美味しいお酒はここ以外じゃ飲めないものね。高いとは言ったけど、もしも王国で同じお酒があっても王族以外は飲めないでしょうね。庶民が飲めるだけでもありがたいわ」
「輸出は考えてないけどな。それより南街の教会から連れて来た子たちの様子は? 何か不足している物はないか?」
3日前にローラのところの聖騎士が、南街の教会から5人の治癒のギフト持ちの女性を連れて来た。彼女たちは最初かなり驚いていたが、もう落ち着いたかな?
「最初は聖水が調理場から出ることに混乱していたけど、なんとか慣れてきたみたいよ。ふふっ、それでも聖騎士たちと同じくトイレを流す度に泣きそうな顔をして出てくるけどね。毎日祈りと治癒水作りを頑張っているわ。下級の治癒水ばかりで申し訳ないけど」
「十分さ。格安で手に入るだけでもうちへの好感度が上がるしな」
治癒水はクリスを始め今回連れて来た女性たちに毎日作ってもらっている。中級はクリスだけしか作れないので1日頑張っても5本だけだが、下級は1人10本作れるので毎日40本できる。これを神殿と聖水利用料として格安で売ってもらっている。
下級治癒水を本来教会やギルドで買えば銀貨5枚だが、うちの仕入れ値は銀貨2枚(2万円)。中級治癒水は金貨5枚なのを金貨2枚(20万円)だ。フジワラの街でクリスたちから買取り、そのままハンターたちへ仕入れ値と同じ価格で販売している。教会の販売価格の半額以下だ。当然飛ぶように売れている。
ただし、中級治癒水だけは数が少ないので、マンションを累計で半年以上借りている者だけにしか売っていない。文句が出ると思うだろうが特に出ていない。それは仕入れ値を隠し、治癒水の価格の一部をフジワラの街が負担していると伝えてあるからだ。ハンターたちには、南街や東街でうちが買っていることにしてある。
実際はこの街の神殿で作って仕入れ値のまま売っているのだが、街に聖水があることやクリスたちがここで作っていることを教会に知られないために、うちがギルドで買って差額を負担していることにしている。ハンターたちに嘘をついて好感度を上げていることになるが、安く治癒水が手に入るのだから許してくれるだろう。
「聖水が無限にあるのに治癒水を作れる人間が少ないのはもったいないわよね。大司教でも
「攫うって物騒な……別にそこまでしなくてもいいだろ。聖女もいるしハンターたちに病院も解放したから、今後大怪我をしても対処できる」
病院はローラたちを受け入れたことで増築して2棟になった。全30床で全て個室だ。ダークエルフ街区も拡張して壁を西に延長したので、今後いくらでも病院は増やせる。看護師として病人を世話してもらうダークエルフの女性の増員に関しても、今度来る新しい里の女性に頼むつもりだ。制服もマーサさんに頼んである。一度シュンランたちのために作ってもらったからすぐにできるだろう。
ちなみにローラたちには俺の原状回復のギフトのことは話してある。今後俺の代わりにクリスに治療をしてもらうことになるからな。
「そうだったわね。原状回復のギフトだったかしら? 欠けた足の指が一瞬で治ってびっくりしたわ」
「もう酒場で暴れるなよ? いくら酔って身体を触ってきたからってやり過ぎだぞ」
俺はため息を吐きながらローラに注意した。
一週間前にローラが初めてギルドの酒場に行った時。常連のシルバーランク(Cランク)のハンターの一人がカウンターで飲んでいたローラに絡み、彼女の胸を触ったというか揉んでしまった。その瞬間首から下を凍らされてしまい、カルラになだめられてローラがギフトを解くまでの間にそのハンターの足の指が何本か欠けてしまった。
翌日。そのハンターが第二フジワラマンションに1ヶ月以上滞在していたこともあり、聖女クリスを彼の部屋に呼び彼女の後ろで俺が原状回復のギフトを発動して指の欠損を治した。ハンターはクリスに格安で治してもらったと喜んでいた。そしてローラにも詫び、ローラもやり過ぎたと一応だけど謝ってその一件は収まった。
その後酒場でローラにちょっかいをだすハンターはいなくなったが、新規客のハンターで絡む人間が今後出て来るかもしれない。せめて欠損の出ない反撃をして欲しいものだ。
「そうね。あの時はちょっとやり過ぎたわ。今度は手加減するようにする。でもリョウスケが治したのに、クリスが治したことにしていいの?」
「いいんだよ。俺が治したってことになっても面倒が増えるだけだ。それにクリスが治したことにした方が、聖女の人気が出るだろ?」
そう言って俺はニヤリと笑った。
「フフフ、そうね。真聖光教会の聖女様には頑張ってもらわないとね」
「そういうことだ」
「ふふっ、ねえリョウスケ。夕飯まで時間があるでしょ? 少し一緒に飲まない?」
「ん〜、そうだな。ならマウンテンバイクを置いたら酒場に行くよ」
俺はローラからの誘いに頷き、マウンテンバイクをマンションの駐輪場に戻してから酒場へと向かった。そしてローラとカウンターに立つカルラと一緒に酒を飲み、2時間ほど楽しい時間を過ごした。
ローラは博識で話していて色々と勉強になることが多かったな。ハンターからは聞けないような話が多くて、さすがいいとこのお嬢さんだっただけあるなと感心した。
それにローラが21歳だってカルラに聞いて驚いた。そんな驚いている俺を見てローラが、『あら? 私はそんな老けているように見えるの?』と目が笑ってない方の笑顔で聞いて来たので焦った。慌てて歳のわりには色っぽくて魅力的だからと答えたら、『そう』と言って機嫌良くコップを差し出して来たので、カルラからビールの缶を受け取り黙って注いだよ。
25歳くらいだと思っていたのに、まさかシュンランの一つ上だとは思わなかった。
しかし修道服はやっぱりいいな。ローラの色っぽい姿を見てると欲しくなる。ミレイアは似合うだろうな。ピンクのツインテール巨乳シスターとか、なんかアニメっぽくていいかも。巨大なハンマーとか持たせてみようかな。クロースの場合は……肌の色や耳の長さから邪教のシスターみたいになりそうだな。でもそれはそれで邪教のシスターへの尋問とかでまた楽しめそうだ。
これはなんとしてでも手に入れたいな。マーサさんよりもメーレン商会に依頼した方が手に入りやすいか? 手に入らなかったらマーサさんに作ってもらうか。その場合はデザインを変えてもらって露出を多くしてもらおうかな。
酒場からの帰り道。俺は酔った頭でそんな事を考えながら恋人たちが待つ家へと帰った。
それから数日後の朝。ダークエルフの従業員による退去者の立ち会いが終わった部屋の原状回復をしようと、間取り図のギフトを発動した時のことだった。
金色に輝くのパソコンに表示されたヘヤツクのアイコンの下に『ver.2010』と表示されているのを見て、俺は念願のバージョンアップをしたことに飛び跳ねて喜んだのだった。
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