第20話 女神の神遺物
営業を再開して1ヶ月と少しが経過した。
二週間ほど前にダークエルフの移住を受け入れる旨を長老に話した件だが、比較的スーリオンの里と仲が良かった二つの里がこちらに移住したいと精霊を通して返事が来た。今は移住の準備をしている所のようだ。こっちも彼らの移動がスムーズに行くよう、竜王から魔国に一報を入れてもらえるよう頼んだ。
それと同時に俺はダークエルフ居住区の拡張工事に取り掛かった。どういうわけかいつもは眺めているだけだったリーゼロットが、作業中常に横にいて汗を拭ってくれたりスポーツドリンクを渡してくれたりと甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
いつもはミレイアがしてくれることなんだが、リーゼロットが話をつけて代わってもらったらしい。
そのリーゼロットなんだが、距離感が今まで以上に近くてやたらと俺の胸板や太ももを触ってくるんだ。不意に耳にキスをしてきたりもする。まだ寒いのに丈の短いチュニック姿でのパンチラサービスも健在で、最近はマーサさんの衣料品店で買ったらしきスケスケの黒い紐パンを履いていた。クロースほどではないがストレートに向けられる好意とスキンシップ。そしてチラニズムからのパンチラに胸が高鳴るが、正直どうしていいか戸惑っている。
そんなスキンシップしまくりのリーゼロットを見てクロースが黙って見ているはずもなく、ずっと俺の横で喧嘩していた。二人の口喧嘩にウンザリしながらも、俺は粛々とダークエルフ街区を西に拡張した。
拡張したダークエルフ街区の広さは、マンションが建っている敷地と同等くらいになったと思う。そして各族長用の大型の建物と長屋を建て、いつでも受け入れられるように準備をした。
外からの侵入を警戒しながらの拡張工事と建物の増設で二週間ほど掛かってしまつたが、その間も色々なことがあった。
一つはメーレン商会のカミールに許可を出した派遣型娼婦。まあデリヘルだな。そこで働く予定の娼婦たち8人が、東街から商会の人間とハンターの護衛に囲まれて到着した。全員が獣人と魔人の女性で、20代後半から30代半ばくらいの見た目だったがみんなとても綺麗な女性たちだった。
彼女たちは東街でハンターたちからここのことは聞いていたようで、滅びの森の中でもそこまで不安はなかったそうだ。案内した部屋の設備を見て、客のハンターたちが言っていたことは本当のことだったんだと驚いていた。彼女たちは2日ほど旅の疲れを癒したあと、さっそく営業を始めていたよ。
もちろんハンターたちは皆大喜びで、オーナーでかしたってもみくちゃにされた。彼女たちが営業を始めた初日からずっと2時間ごとの予約が埋まっていて、娼婦たちは寝る間もないほどに忙しそうだった。
それでも彼女たちは嬉しそうで、東街ではなかなかお客が取れなかったのにこんなに稼げるなんて思わなかったと喜んでいた。カミールもホクホク顔でもっと連れてきますって意気込んでいた。俺もこれでお客様満足度が更に上がったなと内心で喜んだ。
もう一つは数日前に獣王が幻獣探しから戻ってきた。今回も見つけられなかったようで、疲れ切った顔をしながらかなり落ち込んでいた。そんな彼に俺は、第二フジワラマンションの管理室で間取り図と原状回復の能力のことを打ち明けた。
間取り図のことは驚きつつも半ば予想していたようだが、マンションに1ヶ月住めばどんな怪我も一瞬で治るということについては信じられないといった顔をしていた。そんな獣王にシュンランとミレイアの足。そしてカルラの顔の傷を治したことを伝えたあと、目の前で魔物の牙で自分の腕を切って治してみることで証明した。
驚いている獣王に風邪も治すことができたことを伝えた。そして四肢の欠損まで治ることから、もっと重い病気も治せるかもしれないとも。
獣王は目を見開きながら俺の肩を常人なら砕けるんじゃないかってほどの力で掴み、『本当か!? 』と何度も問いただしてきた。そんな獣王に俺は確証はないが希望はあるとだけ伝えた。なにしろこの街で重病になった人間がいないからな。治るという保証はできない。
それでもいいと。希望があるならと、獣王は娘を連れてくると従者たちを連れて急いで獣王国に帰って行った。狩りから戻ってきたばかりなのに休むまもなく出て行った獣王たちの背中を見送りながら、俺は原状回復で娘さんの病気が完治できるよう願った。
それから数日経ち、2月も下旬に差し掛かろうとした頃。
巡回警備に出ていたダークエルフの自転車警備隊から耳を疑う報告を受けた。
「勇者様! 聖騎士が! 教会の聖騎士の一団がここへ繋がる南の街道に入った! 数は司祭とシスターを除いて50ほど。恐らくこちらに向かっているのではないかと! 」
「聖騎士が!? 」
正門の休憩所でサラとクロエとお茶をしていた俺は、巡回に出ていたダークエルフの報告に思わず立ち上がって答えた。
教会に知られた? 知られるなら帝国の方が先だと思ったが、王国の貴族が密告したか? 王妃と宰相は秘密にするとは言っていたが、取り潰された貴族の元配下や一族が教会に助けを求めてその際にしゃべったのかもしれないな。
聖騎士団だけで来たということは、本当にここに街があるかの確認か? それならまだ教会は王国と帝国に声を掛けてはいないだろう。王国からそういった連絡もないしな。
となればまだもう少し時間はある。といっても聖騎士団を追い返した後、教会上層部に伝わりここを拠点に聖地を取り戻そうと王国や帝国に声が掛かるまでだが、最悪の状態ではまだ無い。
問題はどうやって追い返すかだが相手は教会だ。王国と帝国と獣王国のハンターたちは、四肢の欠損をした時の治癒のために教会と揉めることは嫌がるだろう。
南の街道に入ったということはここから徒歩で1日半か2日の距離か。教会相手に襲撃するわけにもいかないし、ここは穏便に帰ってもらうしかないな。
そう考えた俺は今後の対応をサラとダークエルフの巡回警備隊に話し、竜王とダークエルフの長老の元へと報告に向かった。まあどちらも魔国の人間なので、教会がここを奪いに来たら追い返せばいいと好戦的だった。
竜王なんて俺に勇者として名乗りをあげさせ、700年前に勇者がしたように教会の本部を襲撃し腐った教皇や枢機卿。そして大司教や司教を皆殺しにしようと提案してきたくらいだ。当然そんなことはする気がないと断ったけど。
まあこれで最悪教会が敵に回っても、魔国だけは味方についてくれるという確信を得ることができた。
そして夜にはサーシャとリーゼロットを家に呼び、夕食を食べながら教会の聖騎士団がここへ向かってきていること。穏便に帰ってもらい帝国に備えることを説明した。
「最悪ね。ごめんリョウスケ。今回は私やリーゼは表に出ない方がいいかも」
「まあ相手が教会じゃな。王国に迷惑が掛かるだろうからその方がいいな」
アルメラ王国は聖光教を国教と定めている。国民のほぼ全員が聖光教徒だ。その王国の元とはいえ王女と、協力関係にあるエルフが教会と敵対したとなれば国が揺れかねない。二人は表に出ない方がいいだろう。
ちなみにラギオス帝国にも王国ほどではないが信者は多い。治癒のギフトで人を癒すことを教会が悪用し腐敗していようとも、それが女神フローディアが与えた奇跡であることには変わりがない。教会の存在と女神への信仰は別と考えているそうだ。王国人ほど教会の言うことは聞かないようだが注意が必要だろう。
獣王国は元々は獣神という獣人の神と一緒に、自分たちを救ってくれた勇者を遣わしてくれたフローディアを崇める者が多くいたそうだ。しかし教会が腐敗していくに連れ、フローディアに対しての信仰は近年ではかなり弱くなっており、今ではほとんどの獣人は教会は病院という程度の認識だそうだ。
魔国に関しては信仰している者はいない。まあ当然だな。自分たちを神の敵と認定し人魔戦争を起こし、それが終わった今でも治癒水の提供はしても四肢の欠損の治療を断っているわけだし。
「でも王国に兵は絶対に出させないから。獣王様も王女を連れて戻ってきたら同じことを言うと思うわ。つまり敵は帝国だけね。聖騎士団なんてそんなに数がいないし」
「そうね。王国が兵を出すことはありえないわ。そんな事をしたらエルフが敵に回るし。帝国もいるし、適当にお布施でもすれば教会も無理強いはしてこないと思うわ」
「俺も王国とは戦いたくないからそうあって欲しいけどな。信仰は厄介だからな」
リーゼロットにそう答えると、サーシャがとんでもないことを口にした。
「それなら竜王様が言うようにリョウスケが腐敗した教会を粛清して、勇者だと名乗りをあげたら? そうしたら王国民もいう事を聞くわよ? 」
「勘弁してくれ。そんなことになったら帝国が滅びの森から失われた領地を取り戻すために、俺を利用しようとするのが目に見えている。そもそも教会が腐敗していようが俺には関係がない。勇者だなんだと祭り上げられるのはゴメンだ」
帝国だけじゃない。王国の貴族が国民を扇動する可能性がある。俺がどんなにやる気がないと言っても国民全員に言葉を伝えることはできない。そして扇動された国民をアルメラ王家が防げるとは思えない。下手したら王家が滅ぼされる可能性だってある。世論とはそれほど恐ろしいものだ。
そこまで説明するとサーシャは引き攣った顔になり、そうなる可能性もあるわねと納得してくれた。
「教会か、厄介な相手だな。だがこの街の存在が発覚したなら仕方ない。聖騎士団を追い返した後は侵攻への準備をするしかないだろう」
「そうだな。恐らく教会の上層部まで話がいき、帝国が動くまでに2ヶ月くらいは時間があるだろう。それまでに防備を固めるしかないだろうな」
眉をひそめながら言うシュンランにそう答えた。
「フンッ! 聖騎士など全滅させてしまえばいいのだ。野営中に私のストーンゴーレムで薙ぎ払ってやるぞ? 」
「こっちから喧嘩を売ってどうするんだ。そんな事をすれば教会も本気を出して、王国に必要以上に圧力を掛けてくるかもしれないだろ。敵を増やしてどうすんだよ」
俺は胸を押し上げるように腕を組んでいたクロースに呆れ顔で答えた。
クロースはレベルアップによって最近魔力が跳ね上がっことにより、ストーンゴーレムを複数隊操れるようになった。そのうえ俺より早く強力な石の槍を地面から打ち出せるようになったことで、気が大きくなっている。狩りでもやたら前に出たがってリーゼロットと張り合うし困ったものだ。
「むっ……確かにリョウスケの言うことも一理あるな。さすが私の旦那様だ」
「相変わらずクロースは脳筋ね。おっぱいに栄養を全部もっていかれているみたいだから仕方ないけど」
「なんだと! リョウスケに無い胸を押し付けて、色目ばかり使ってるエロフにだけは言われたくないぞ! 」
「誰がエロフよ! 変態ダークエロフにだけは言われたくないわ! 」
「私は変態などではないぞ! リョウスケが喜んでくれているのがその証拠だ。昨夜だって騎士から奪った鎧を着た私をロープで縛り、囚われの騎士を無理やりするという設定で……アイタッ! 」
「お前は余計なことを言うな! 」
俺は昨夜のプレイ内容を赤裸々に話すクロースにチョップをして黙らせた。
しかし時すでに遅し。サーシャとリーゼロットはそんな事をしているのかという驚きの目を俺に向けていた。俺は猛烈に恥ずかしくなり視線を逸らすと、隣に座るシュンランの顔が視界に入った。彼女は頬を染めながら顔を背けていた。恐らく自分も最近両腕を縛られ、目隠しプレイをしていることを思い出したのだろう。同様にミレイアもシュンランの隣で赤面しながら下を向いていた。
そんなシュンランとミレイアの姿を見たサーシャは赤面しながら『変態』とボソリと口にし、リーゼロットからは『怖いけどリョウが求めるなら……』と聞こえ、俺は乾いた笑い声をあげてごまかすことしかできなかった。
くっ……ダークエルフの女騎士に『クッ、殺せ』と言わせるプレイをこんな所でバラされるとは。
それから俺は微妙な雰囲気を打ち消すようにこちらへ向かってくる聖騎士団に穏便に帰ってもらうことと、もしもの時に備えダークエルフたちを森に潜ませることを決めてその場を強引にお開きにした。
——滅びの森 シスター ローラ ——
「こんな所にこれほど立派な道ができていたとはね。本当に砦がありそうね」
森に入って1日と少しした頃。酒場の店主が言っていた飛竜の狩場に向かう途中で、細い道に入っていくハンターたちを見つけたのでその後をついていった。すると細かった道は徐々に広くなり、整地され石畳が敷き詰められた道へと変わっていった。
滅びの森のどの道にもないほど立派な道を見て呆然としていると、私たちに隠れるように多くのハンターたちが道を避けるように追い越していった。
「ローラ様。我々を避け森を進むハンターを捕まえ、どこへ向かっているのかと聞いても、この先に砦があるのかとことを聞いても皆が口をつぐんで答えてくれません。それどころか逃げるように先を急ぎ離れて行きます」
「その行動が砦がこの先にあると言う証拠ね。恐らく教会に知られて接収されると思っているのでしょう。まあその通りなのだけど」
私は副団長の報告に笑みを浮かべ答えた。
話通りの砦があるなら教会本部も王国と帝国に声を掛け、万を超える軍を派遣させるはず。砦がある場所は王国と帝国が領土主張をしている係争地でもあるから、兵を出さないはずがない。教会はそれを利用して砦周辺を一時的に教会の預かりとする。
そこまでは本部もやるでしょう。でも問題はあの強欲な教皇と枢機卿たちなのよね。
あの愚物たちなら砦を手に入れたあと、聖地奪還よりも王国と帝国を利用して砦周辺の東は王国に、西は帝国にと開発させるはず。そしてその間に入り利権を手に入れることに一生懸命になるでしょうね。王国や帝国だってBランクの魔物がウヨウヨいる聖地奪還に兵を出すよりは、砦がある旧領地の開発をしたいでしょうし。つまり砦のことを教会に話しても聖地奪還には繋がらない。
でも一歩前進することはできる。今まで南街から15日掛かった聖地までの距離が、砦という補給地を得ることによって10日に縮まる。私は砦に建てられるであろう教会に移動し、私の聖騎士団を徐々に大きくしていく。そうすればいずれは単独で聖地の奪還も可能になるはず。
「勇者様でも派遣してくれたら最高なのだけど」
「ローラさん? 勇者様がどうかしましたか? 」
私が独り言を口にすると、クリスが背後から声を掛けてきた。
「なんでもないわ。それより本当についてくるの? ここから先はDランクの魔物が出てくるのよ? クリスはDランク以上の魔物と戦ったことなんてないでしょう? 」
「はい。危険は覚悟しています。ですがローラさんがおっしゃっていた砦には、見たこともない魔道具がたくさんあるのですよね? もしかしたらその中に女神様の神遺物があるかもしれません」
私と同じように修道服の上に銀色のミスリルの胸当てをし、その上からローブを羽織っているクリスが真剣な表情でそう答えた。
「神遺物ねえ……教会本部の泉の中にある聖水を生み出す装置のこと? 」
神遺物とは女神の加護を得た物のこと。それがあの砦に?
「はい。あの装置は元々は聖地にあった神遺物なのですが、聖地が森に覆われた時に持ち出したと言われています。砦では水場がないのに水が使い放題だと聞きました。もしかしたらそれは聖水なのではなかいかと思うんです」
「フフフ、じゃあハンターたちは聖水を毎日浴びるように飲んでいるということ? ずいぶんと贅沢ね」
聖水はそれだけでは大した効果はない。魔国周辺に現れる低ランクのゾンビやスケルトンを弱らせる効果がある程度。でも聖水は治癒のギフトの力を溜めることができる。それによって治癒のギフトの力を聖水に付与し、治癒水を生み出すことが可能となるの。
聖地にあった頃は今より多くの聖水を生み出し、聖水単体の力も強かったと言われているけど、現状は小さな泉程度の量しか生み出せない。恐らく聖地から離されたことで、装置の能力が半減したのでしょう。毎回枯れる寸前まで汲み出してやっと各国の需要を満たしている。
それを理由に治癒水は非常に高価な物になってしまっている。下級治癒水だけはハンターたちの反乱を恐れて安く提供しているけど、中級となるといきなり価格が10倍だもの。
そんな治癒水の元となる聖水を生み出す装置をもしも手に入れることができれば、私たちの教会での地位は盤石のものとなるでしょう。今より動きやすくなるのは間違いないわね。
いえ、その装置を餌に教会が治癒水の提供を渋っている魔国と、腐敗した教会に反感を持っている獣王国を巻き込んで教会から独立することも夢ではないわ。それほど治癒水は各国にとって必要不可欠なものなのだから。
「ふふふ、聖水を浴びるようにですか。そうですね。でも神遺物がある可能性はゼロではありません。もしも聖水を生み出す神遺物を手に入れることができれば、治癒水の価格を大きく下げることができ、今より多くの人を救うことができます。そうなればフローディア様を信仰する方たちも増えることでしょう」
「だといいわね」
欲にまみれた教会が治癒水の価格を下げるとは思わないけど。
そんなことをこのクリスに言っても今は無駄でしょうけど。司教たちの魔の手から救い出したはいいけど、この子は未だに教会を信じてる節があるのよね。
まあいいわ。砦はハンターしか入れないみたいだけど、クリスが確かめたいというなら強硬手段を取っても中に入ってみせるだけね。それで本当に神遺物があれば儲けものね。
それから整地された道を私たちは進み、砦まであと一日の距離という所で野営をすることにした。
そして夜がふけ、濡れた布で身体を拭き終わり寝ようとしていた頃。夕飯の片付けが終わったクリスが天幕へと戻ってきた。
「ローラさん、少しお話が」
「なによ。もう寝ようとしていたところなんだけ……ど? 」
私が天幕の入り口で立ち尽くすクリスへ振り向き答えると、彼女の頬が赤く染まり目が潤んでいることに気づいた。
「砦のある方向から女神様の気配を感じるんです。恐らくここから先は女神様の領域かと」
「はあ? 女神の気配に領域? 聖地からのじゃなくて? 」
私は興奮を押し隠すようにわからないことを口にするクリスに首を傾げた。
「すぐ近くに女神様を感じるんです! 間違いありません! 砦には女神様の神遺物が! それも結界を張れるような相当強力な力を持つ神遺物が存在します! 」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさい」
もう我慢できないといった感じで興奮して詰め寄ってくるクリスに、私は身体を仰け反らせながら落ち着かせようとするが、彼女は恍惚とした顔のまま私の両手を胸に抱き必死に遺物の存在を説明してくる。それどころか危険な夜の森を進むことを進言してくる始末だった。
結局明日の出発を早めることでクリスを納得させ、興奮して眠れないという彼女の手を落ち着かせながら隣に寝かしつけた。
あの冷静なクリスがこんなに興奮するなんて……
女神の気配とか私にはわからないけど、いよいよ砦の中に入って神遺物の存在を確認する必要が出てきたわね。
さて、オーガがでるか竜が出るか。これは楽しみになってきたわね。
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