第19話 勇者と戦妃の秘密



 ——フジワラの街 ミレイア ——




「フラフラしてんじゃないわよレフ! 毎晩毎晩酒場で呑んで! せっかくCランクになったのに全然貯蓄ができないじゃない! 家を買うんじゃなかったの!? ほらっ! 今日は自転車で行けるとこまで行くんだから早く乗りなさい!」


「わ、わかったから蹴るなって! 乗る! 乗るって!」


 第二フジワラマンションの玄関の掃き掃除をしていると、駐輪場の方からレフさんとベラさんたちの声が聞こえてきました。


 どうやらレフさんがまた昨夜もベラさんを放って、ギルドの酒場で呑んでいたようです。


 駐輪場からレフさんが目に青タンをを作り鼻にティッシュを詰め、マウンテンバイクにまたがりフラフラと出てきました。ベラさんに殴られたみたいです。


 レフさんの後ろからはベラさんが同じくマウンテンバイクに乗り、眉間に皺を寄せた顔でレフさんを睨んでいます。そんな二人をミリーさんたちがヤレヤレといった感じで、マウンテンバイクにまたがりついて行ってます。荷物持ちのロイ君とラミちゃんの乗るマウンテンバイクにだけ、涼介さんがダークエルフの皆さんに作製させたリヤカーがそれぞれ取り付けられています。


 ここ二週間ほど狩りの後に自転車に乗る練習をしていたレフさんたちは、今日から試験的に自転車で森の奥まで狩りに行くと言っていました。


 ここから森の北へ歩いて3日の所までは、涼介さんとダークエルフの皆さんにより整地されているので、自転車で先に行って良い狩り場を確保すると意気込んでました。


 Cランクのハンターのお客さんもだいぶ増えましたからね。日帰りできる距離だと、ほかのハンターの方と狩り場が被ることが増えてきたみたいです。夜でもない限りは、Dランクの魔物ほど数はいませんからね。それで涼介さんがレフさんに自転車に乗って奥まで行けばいいとアドバイスをして、レフさんたちはずっと自転車に乗る練習をしていました。


 自転車に乗って門を潜るレフさんたちを、ほかのハンターの皆さんは驚いた表情で見送っています。最初の1週間ほどは物珍しいからか皆さん自転車に乗って遊んでいましたが、狩りに行くのに乗るとは考え無かったようです。ダークエルフの皆さんが街道警備に乗っている姿を見ても、突然魔物に襲われたらどうするんだと言ってました。


 私も心配ですが、獣人は探知能力に長けているので大丈夫だと。そのために練習してたんだろうって涼介さんが言ってました。確かにレフさんたちは自転車に乗る練習だけではなく、降りてすぐ戦闘態勢に入る練習もしていたように思えます。


 クロースさんはすでに手放し運転しながら精霊魔法を発動してましたし、もしかしたらレフさんたちも自転車で突進しながら剣を振るうのかもしれません。私には無理ですけど。


『お弁当はあと少しよ! ジュースが欲しい人は早く水筒を寄越しなさい!』


《サーシャ姫! 俺はストーンボアサンドとポカリを頼む!》


《私はポテトとリンゴジュースを!》


『ちょっと! 私の新作の激甘ドラゴンバーガーだけなんで売れないのよ!』


《高い上に甘すぎるんですよ。食べたあと胸焼けして戦闘に集中できないんです》


『うっ……ちょっと砂糖使いすぎたかしら? じゃあ半額でいいから買って行きなさい! 』


《オークサンドくださーい! 》


『なんでよっ!! 』


 サラさんたち棘の警備隊の皆さんに手を振って見送られているレフさんたちを見ていると、神殿マンションの入口からサーシャさんの元気な声が聞こえてきました。


 どうやら今回の新作は不人気なようです。確かに甘い物が好きな私もあれはちょっと厳しかったです。サーシャさんは砂糖たっぷりのソースをかき混ぜながら、これくらい突き抜けた方がいいのよと笑ってましたけど。ふふふ、相変わらず豪快というか思い切りの良い人です。


 それにしてもサーシャさんが王籍を剥奪され、リーゼロットさんも失業したうえにエルフの集落に帰れなくなったと聞いた時は驚ました。でもお二人は特にショックを受ける訳でもなく、今まで通り元気なんですよね。やっぱりお二人とも涼介さんのことが好きなのかもしれません。


 このまま二人は涼介さんの奥さんになってしまうのでしょうか? 涼介さんは王国に文句を言ってやると怒ってましたが、私もシュンランさんも、涼介さんは勇者様なので仕方ないと思っています。


 いえ、むしろダークエルフ族やエルフ族。そして王国と強い繋がりを持った方が、涼介さんとこの街の安全に繋がるからそうするべきだとさえ考えています。涼介さんとこの場所は私たちにとって大切な、本当に大切なものなのですから。


 それに例え涼介さんが政略結婚をすることになったとしても、私とシュンランさんが一番だと言ってくれた涼介さんを信じています。


 涼介さんも私たちを大切にしてくれています。それに最近はほぼ毎日のように、お仕事中でも私を求めてきてくれます。夜も一晩での回数が私だけずっと増えました。


 でも最近私の身体がおかしいんです。熱っぽいというか、いえ正直に言います。えっちな気分になる時が多いんです。一体どうしてしまったのでしょう? 涼介さんが好きすぎておかしくなってしまったのでしょうか? それにどうもお客さんからの視線を強く感じる事が増えた気がします。それが原因なのか涼介さんに受付に立たないように言われてしまいました。


 嫉妬してくれているのでしょうか? だとしたらとても嬉しいのですが、このえっちな気分になるのをどうにかしないと。回数が増えたのも私が無意識に誘っているからなのかも。私がえっちな女だと涼介さんに思われていたらどうしたら……


 玄関前で悩んでいると、自動ドアが開き一緒に清掃をしていたシュンランさんが現れました。


「ミレイア、玄関の掃除は終わったのか?」


「あ、はいシュンランさん。終わりました」


「では次はエレベーターの中を掃除しよう。広いマンションだからな。早く終わらせよう。私も行くところがあるしな」


「はい。今日もダークエルフ街区で訓練を? 」


「ああ、今日は新しい技を教えてもらえるんだ」


「ふふふ、よかったですね」


 シュンランさんは年明けから午前中はダークエルフ街区に行く事が増えました。それは来賓館に滞在中の竜王様の護衛である竜人の方から、方天戟の技を教えてもらっているからです。今までシュンランさんはバガンとのこともあり、あまり竜人族の護衛の方には近づかないようにしていました。


 それを気にしていた涼介さんが昨年にリキョウ将軍に相談した結果。竜王様の取り計らいもあって、なんとシュンランさんの亡くなったお父様に方天戟を教えてくれていた黒竜族の方を連れてきてくれたのです。


 最初は遠慮していたシュンランさんですが、今ではお父様の若い頃のお話を交えて楽しそうに訓練しているそうです。私も竜人族とシュンランさんとの間のしこりが無くなって嬉しいです。


「まあな。もっと強くなって涼介の力になりたいからな。ミレイアも訓練を頑張るんだぞ」


「はい。私も今日は涼介さんと一緒に新しい技を練習しに森に行く予定です」


 電気玉という技で雷の大きな玉を頭上に作るので、人気がない場所でないと練習できないんですよね。でもそういう場所に行くと涼介さんが私をまた……お外でするは恥ずかしいですが、涼介さんが求めるなら私は……


「何を顔を赤くしているんだ? 早くエレベーターの掃除に行くぞ」


「は、はい! 」


 いけない。本当になんで私はこんなにえっちになってしまったんでしょう?





 ——フジワラの街 神殿マンション前 サーシャ ——



「なんで売れ残るのよ! 7割引にまでしたのよ! 」


 これだけ割引したのに30個作って1個も売れなかったわ! 昨日の試しに作った物は10個全て完売したのに!


「だから辛くした方が売れるって言ったでしょ? 」


 リーゼが隣で得意げにしている。


「うるさいわね! 辛いのはリョウスケが先に作ってたのよ! 差別化よ差別化! 」


「でも試食した時にこれは甘すぎたわねって自分で言ってたじゃない。なぜ量産したのよ」


「昨日売れたからよ。ハンターたちならいけるんだと思ったのよ」


昨日はすぐ売れたのになんでよ。


「昨日買った人が買って失敗したって言いふらしたから誰も買わなくなったのよ。10個くらいにしておけばよかったのに作りすぎよ」


「勝機だと思ったのよ……」


 私はテーブルに残った商品を片付けながらそう答えた。


 周囲ではダークエルフの女性たちも片付けをしている。


 売れたら純利益の半分をもらえる約束だから稼げると思ったのに失敗したわ。


 でもこれまでの利益があるから大丈夫。王国を追い出されてから二週間。王城でずっと考えていたお弁当だけど、ヒット作の方が多いんだから。ジュースだって朝のお弁当販売の時に限り、自販機で買って売るのを独占させてくれたし。狩りに行かなくても十分稼げているわ。毎朝自販機で購入するのは面倒だけど。


「フフッ、そういうところは相変わらずよね。今後はもう少し原材料が安い肉を使いましょう。春まで飛竜はあんまり来ないんだから」


「はぁ……そうするわ。今日の午後は狩りに行くのかしら? 」


「どうかしら? クロースが朝から自転車で街道の巡回に行ったから帰ってきてからじゃない? 」


「クロースか……」


 営業再開後の忙しさも落ち着いて、ここ1週間のうちにリョウスケたちの狩りに何度か行ったけど、クロースの魔力が異常なほどに増えていて驚いた。魔力だけじゃないわ。以前は後方で精霊魔法を使っていただけだったのに、最近では短剣を持って前衛で戦っていた。しかもその動きが身体能力強化のギフト持ち並みに速かった。


 おかしい。去年はあんな動きをしていなかったし、あれほど魔力量もなかったはず。年末年始の休みの間であれほど成長するなんておかし過ぎるわ。


「あの子、急に魔力が増えたのよね。今では私と同じくらいはあるわ。それに身体の動きも速くなった」


「異常な成長速度よね」


「ええ、エルフの中でも魔力量の多い私に短期間で追いつくなんて明らかに異常ね。それに身体の動きもおかしいし」


「どうおかしいの? 」


「そうね……力に振り回されてる感じかしら? まるで急に身体能力強化のギフトに目覚めたせいで、強化された身体の動きについていけてない感じね」


 言われてみれば短剣を振るう速度は速かったけど、身体が流れていたような気がする。


「でもクロースはダークエルフよ? ハーフでもないみたいだし、ギフトに目覚めるなんてことがあるの? 」


 ギフトを授かることができるのは人族だけ。ハーフも授かることはあるけど、その確率は非常に低いと聞いたわ。


「ないわよ。それにたとえあったとしても、魔力量が激増したことの説明がつかないわ」


「それもそうね。ならどうしてあんなに急に強くなったの? 」


 私がそう聞くと、リーゼは私を受付待ちのハンター用に設置したソファーへと誘導しそこに腰掛けた。


 そして誰も近くにいないのを確認して小声で答えた。


「多分だけど……リョウが関係していると思うのよね」


「リョウスケが? 」


 どういうこと?


「まずリョウと深い関係にあるシュンランとミレイアの身体能力の強さは異常だわ。特にシュンランは竜人族のハーフということを差し引いても異常よ。リキョウ将軍より力が強いんじゃないかしら? ミレイアもそう。彼女のギフトは雷帝と呼ばれる帝国皇帝に匹敵するかそれ以上の威力があるわ」


「……そうね。私もそう思う」


 正直シュンランの動きは目で追えないし、ミレイアの雷のギフトは凄すぎるわ。強力な上に連射もできて、それでいて一日中使い続けても平気な顔をしている。普通はとっくに疲労で倒れてもおかしくないのに、ケロッとしてるのよ。雷帝以上だと言われても納得できるわ。


「でもクロースはそんなことはなかったわ。スーリオンさんたちと森で狩りをしていたからそこそこ強かったけど、それでも普通のダークエルフの魔力量と身体能力の域を超えることはなかった。年末にここを私たちが離れるまではね。ところが私たちが戻ってきたらクロースは激変していた。つまり私たちがいない間にクロースに何かがあったのよ」


「その何かって? 」


「恐らくだけどリョウとの仲が深まったことにより、勇者の力の一部を得たのよ」


「ええ!? 何よそれ! そんなこと……」


「戦妃」


「あっ……」


 リーゼの一言に私はハッとした。


 確かに勇者様の側にいた戦妃様たちは強力な力を持っていた。竜人族の戦妃も人族の戦姫もエルフの戦妃も、全員が一騎当千の実力があったと聞いているわ。竜人族の戦妃なんて単独で竜と戦えたみたいだし。


「つまり一緒に住んで親密になれば、勇者の力の一部を得られるってこと? 」


「そんなわけないでしょ? それなら去年のうちにクロースが強くなきゃおかしいわよ」


 確かに。去年からクロースはリョウスケと同居していたわね。


「なら……リョウスケに愛されるとか? 」


「そうね。それは間違いないと思うわ。でもこの短期間にクロースが強くなったことを考えると、気持ちの問題だけでもないと思うのよね。恐らく女神が認めるほどの何かをしたのだと思うわ」


「女神様が認めるほどのって何か? 何よそれ」


「クロースがリョウと寝たって自慢してたじゃない。多分勇者と肉体関係を持つことが鍵だと思うのよね。そこまでいけば私たちも戦妃のような力を得られるかもしれないわ」


「に、肉体関係……」


 わ、私とリョウスケが……確かにクロースはリョウスケと最後までしたと自慢していたわ。リョウスケとそういう関係になったから女神様が認めて勇者の力の一部を与えた? にわかには信じられないけど、戦妃様たちは全て勇者ロン・ウーの妻。それ以外の人で一騎当千と呼ばれるほどの力を得た人はいない。となるとリーゼの推測にも説得力があるわね。


 で、でも私とリョウスケがそういう関係に……お母様にリョウスケのところに行くように言われた時に、リョウスケとの子を作ることを覚悟はしてはいたけど……


 勇者ロン・ウーの子孫はいない。彼は子供を作らずに王国の王女であった奥さんと一緒に元の世界に戻ってしまったから。だからお母様はリョウスケも元の世界に戻る可能性もあると言っていた。確かにタワーマンションができれば女神様の使命を果たしたことになるから、リョウスケは元の世界に帰る可能性はある。勇者様のようにシュンランとミレイアを連れて……


 そうなるとまた勇者様の子孫を王家は得ることができなくなる。だからリョウスケと良い関係を築いていた私が王家のために差し出された。


 最初は驚いたけど今は納得している。勇者様の子が欲しいと思うのは為政者として当然だと思うし、王族に生まれた私は相手を選ぶ権利なんてない。どうせ結婚はしないといけない年齢だし、その辺の貴族の馬鹿息子とするよりはリョウスケとした方がいいと思った。


 勇者であることを除いても彼は見た目もいいし、不思議な魔道具をたくさん生み出してくれる。王宮より快適な部屋と美味しい食べ物を用意してくれるし、なにより私やリーゼのわがままを笑って聞いてくれる。


 そんな優しくて神秘的な彼に惹かれていたのは確か。リーゼみたいに積極的にはできないけど、私なりにアプローチもしている。といっても腕を絡めるのが精一杯だけど。


 でもまだ身体を重ねるのは早いわ。もっとこうお互いのことを知って……せめてキスをしてからとか……でも戦妃様のような力を得られるのは魅力なのは確か。その力があれば私とリーゼだけでもエルフの森を取り戻すことも可能だわ。そうすればオパの実も手に入る。リョウスケはおっぱいが大きい子が好きみたいだし。


 でもエルフの森を取り戻すためには先にリョウスケにこの身体を……せめてオパの実を手に入れてからなら……胸を見られた時にガッカリされたら立ち直れないし……でも先にしないとオパの実は手に入らないし……あ〜もう! 私は一体どうしたらいいの!?


「サーシャ? 顔が真っ赤よ? 私よりヤル気があって驚きだわ」


「ち、違うわよ! 王家とエルフのために悩んでるのよ! 」


 まるで私が早くリョウスケしたいと思っているような言い方はやめてよね!


「エルフの? ああ、確かにそうね。戦妃のような力があればエルフの森を取り戻すことは可能ね」


「リョウスケはこの街のことで忙しいだろうし、帝国や教会にいつ知られるかわからないここを長期間離れることはできないわ。でも私たちが強くなれば……」


「そうね。ならまずは私がリョウを誘惑して確かめるわ。クロースなんかに負けてられないわ」


「そ、そう……」


 これはクロースに先を越されたうえに、実力まで追い抜かれそうなことを相当気にしているわね。


 確かにクロースのあの勝ち誇った態度は気に入らないのはわかるけどリーゼ、目が怖いわよ?




 ☆☆☆☆☆☆




「そうか、昨夜もか……」


「ああ、西の我々の居住区の壁を登ろうとしていた者がいる。警戒はしていたのだが、なかなかの手練れで取り逃してしまった。すまない」


「気にすることはないさ。ここも目立ってきたしな」


 開門後にスーリオンに呼ばれダークエルフ街区の壁の上にやって来ると、昨夜この壁を登り侵入しようとした一団がいたという報告を受けた。


 ここ3日間で二度目だ。警戒する人数を増やしていたことから侵入は防げたようだが、いったい誰が侵入しようとしているのか? 領から逃げたダークエルフたちへの報復でデーモン族がやってきた? だがそれなら空から侵入してくるはずだ。翼があるらしいからな。


 なら王国の貴族の手の者か? しかしつい最近ここに手を出して上位貴族でさえ取り潰しになったのにそんな危険を冒すか? やるとしても、もっと日を置くだろう。となると帝国の手の者の可能性がある……とうとうここの街の事が知られたのかもしれないな。


 俺は引き続き警戒をするようにスーリオンに告げてその場を後にした。


 さてどうするか。夜間の警備の数をこれ以上増やすのは厳しいな。手練れが相手でも戦闘ができる者で、守衛隊以外は森の北への道を整備している。彼らが帰って来るのはまだ先だし、森の西方面への整地もしたい。


 スーリオンの里以外のダークエルフを受け入れるか? 資金はある。ダークエルフ街区を拡張することは可能だ。となるとどれくらい受け入れるかだな。一つ、いや二つの里くらいならなんとかいけるかもしれない。全部で千人になりそうだが、蒸留酒の酒造に燻製作り。マンションの管理に狩猟と仕事はある。


 蒸留酒は自販機の影響でギルドの酒場でのメイン商品では無くなったが、それでも酒精が強く自販機の酒よりは安いということで相変わらず人気がある。果実水で割ったりして好きな味にできるしな。増産しても問題ないだろう。余るようなら東街に輸出すればいい。獣王も前から輸出してくれってうるさかったし、酒造業だけでダークエルフの産業は成り立つだろう。


 なら長老に受け入れる旨を伝えた方がいいな。その際に帝国と争いになる可能性がある旨もちゃんと伝えてもらおう。戦力としてもあてにしていることも。長老から聞いた話ではデーモン族の領地にいる時よりはマシな生活を送れるようになったらしいが、滅びの森で生活するスーリオンたちのことを羨ましく思っているそうだ。だから声を掛ければすぐに移住してくるだろうと。


 ここを利用するハンターよりダークエルフの方が多くなるが、彼らを受け入れれば満足度も一気に上がるはずだ。2010バージョンへのバージョンアップもすぐかもしれない。


 俺は他の里のダークエルフを受け入れるべく、長老の元に行きその旨を伝えるのだった。

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