第15話 年末年始の出来事(街の配置図)



 フジワラの街全体図


 https://kakuyomu.jp/users/shiba-no-sakura/news/16816927859837403794


 筆者の近況ノートに飛びそこで確認できます。


 ——————



 チリンチリーン♪


「あははは! 兄上! マゴル! そんなフラフラ走っていたら街道の警備なんてできないぞ! 」


「ま、待てクロース! 速すぎる! 」


「ぬうっ! 」


「クロースおねえちゃんまってよ〜! ボクものりたいのりたーい! 」



「寒いってのに朝から元気だな」


 俺はバルコニーからバスローブ姿でビールを片手に敷地内をママチャリで走り回るクロースと、その後を追うようにマウンテンバイクに乗る練習をしているスーリオンたちダークエルフの警備隊を見下ろしながらそう呟いた。


「フフッ、初めてスーリオンたちより上手くできる物が見つかってはしゃいでいるのだろう。可愛いものだ」


「今朝も兄上たちを鍛えるんだって嬉しそうでしたね。クロースさんはいつも元気で見ていて楽しいです」


 バルコニーに設置したジャグジーバスに浸かっていたシュンランとミレイアに俺の呟きが聞こえたのか、後ろから楽しげに答えてくれた。


「まあここ一週間は一人でずっと自転車に乗る練習をしていたからな」


 クロースは自転車が気に入ったのか、マンションを建ててからというもの。一日中マウンテンバイクやママチャリに乗って敷地内で練習していた。それで俺がスーリオンたちにも自転車の乗り方を教えて街道警備をしてもらうと言ったら、自分が教えると言って張り切っていた。


 スーリオンたちは最初おっかなびっくりだったが、2日もすれば乗れるようにはなった。しかし一日の長があるクロースほどではなく、こうしてクロースに煽られているわけだ。


「私も一応は乗れるようにはなったが、守衛隊の街道警備以外には使い道がないのがな。私も乗るよりも走ったほうが速いしな」


「シュンランたちは身体能力がかなり上がったからなぁ。まあ街道の巡回以外には、遊具として貸し出す感じかな」


 シュンランとミレイアも乗れるようにはなったが、俺もそうだけど走ったほうが速いのでもう乗ることはないだろう。俺も三日もしないうちに飽きた。


「涼介さん。そういえば自転車の車輪を新しい荷車に使うお話はどうなったのですか? 」


「ああ、長老のとこに持って行ったら作ってくれるって言ってた。とりあえずペングニルでフレームを切ったのを20台分ほど渡してきたよ」


 荷車は車輪の付いているフレームとフレームを上手く固定してリヤカーを作ってもらうつもりだ。マウンテンバイクのノーパンクタイヤなら、雨の後でもなければ舗装していない森の中でも木製の荷車よりは動きやすいはず。ハンターたちが喜ぶ姿を見るのが楽しみだ。


 マウンテンバイク自体は部屋の設備と同じく何台でも買えたので、最終的にはリヤカーを100台くらい作ってもらう予定だ。


「どんな荷車ができるのか楽しみです」


「そうだな。まずは試作品を見てみないことにはな。おお、寒い。もう一度俺も入るとするかな」


 俺はそう言ってバスローブを脱ぎ、愛しの恋人たちがいるジャグジーバスへと入った。


 あ〜あったかいなぁ。


 このジャグジーバスはDランク魔石200個。日本円にしたら200万円くらいか? かなり高かったけど前の部屋に取り付けていた屋内用の物とは違い、円形で5人は入れるほどの大きな浴槽だし、こうして朝から恋人たちと露天風呂に入れるのなら安い買い物だったな。


 2日前にジャグジーバスを設置したばかりの時はシュンランとミレイアは恥ずかしがったけど、このマンションより高い建物は周囲には無いからと説得して一緒に入ったんだ。


 最初はシュンランと二人で。次にミレイアとクロースと3人で入った。バスタオルで前を隠し、恥ずかしがりながら入るシュンランとミレイアは可愛かったな。クロースだけはまったく恥ずかしがることはく、リビングから全裸で入ってきたけど。でもそんな彼女たちと二つの月を眺めつつ、温めたワンカップを飲みながら入る風呂は最高だった。


 そんなことを思い出していると、正面に座っているシュンランが手ぬぐいで首元を拭いながら口を開いた。


「涼介、前の部屋は結局どうするつもりなんだ? 」


「考えたんだが俺たちの部屋もサーシャたちの部屋も全て引き払ってさ、パーティ用の中部屋にしようと思うんだ。10部屋は作れそうだけどそこは5部屋くらいにして、神殿マンションのエントランスを今より広くしようと思う」


 色々と思い出のある部屋ではあるが、他人に住まわせるのもなんか嫌だしな。それに貸すとなればVIPルームより高くなる。新しくマンションを建てたのに、そんな高額で1階の部屋なんて誰も借りないだろう。だったら引き払って全体的に数が少ない中部屋にした方がいい。何度も改装しているし、シュンランとミレイアもそこまで執着はないはずだ。


「そうか……そうだな。残しておいてももったいないしな」


「色々と思い出が詰まった部屋ですが、誰かに貸すのも少し抵抗ありますしね。シュンランさんのいう通り残しておいてももったいないですし、だったら引き払ってしまった方が諦めがつくかもです」


「ありがとう。そうと決まればさっそく中部屋を配置することにするよ」


「少し寂しくはあるがな。とは言ってもクロースの部屋を作ったり何度も間取りを変えているからそれほどでもないか。それはそうと涼介、いつまでクロースを待たせるつもりだ? ダークエルフたちを安心させるためにも、いい加減受け入れてやったらどうだ? 」


「そうです。クロースさんは涼介さんのことを本当に好きみたいですし、受け入れてあげるべきだと思います」


「あ〜それはまあ……でも二人は本当にいいのか? 」


 これまで二人はクロースを応援しているように見えていた。だから俺も欲に負けて口だけとはいえ手を出してしまったのだが、シュンランとミレイアがいるのに本当に最後までしていいのかと、なんだかんだ踏ん切りがつかないでいた。


「いいも悪いも私たちはクロースをとっくに受け入れている。確かに彼女の重度の妄想癖は悩みの種ではあるが、それも未経験だからだろう。それ以外はとても素直でいい子だ。私の言うことはよく聞くし、家のこともよくやってくれているしな。私は彼女なら問題ないと思っている。そもそも強い男が多くの女性と関係を持ち、より多くの子孫を残すのは当たり前のことだ。涼介は女神の加護まで受けているのだから尚更だろう」


「私もクロースさんならいいと思ってます。確かに変わった人ではありますが、とても明るくて毎日元気をもらえるんです。それにクロースさんがレベルアップすれば、また王国や帝国の軍が攻めて来たとしても涼介さんや街の人たちを守ることができると思うんです」


「そうか……そうだな。わかった。俺もクロースのことは憎からず思っているし、ダークエルフ族のためにも受け入れるべきだとは思っている。ただ、俺にとっての一番はシュンランとミレイアだ。それはこの先もずっと変わらないから」


 クロースは同じダークエルフの女性たちに、どうしたら俺が手を出すか相談しているようだしな。酒場でサキュバスのアンジェラに色々聞いていたという目撃情報もある。そんな彼女の行動を見れば、俺が手を出していないのは長老にも筒抜けだろう。そしてそれがダークエルフたちを不安にさせている部分でもある。


 もちろんダークエルフたちのためだけにクロースを抱こうと思っているわけではない。色々と欠点の多い子だけど、俺もクロースのことは好きなんだと思う。ミレイアが言うようにクロースがいると家の中が明るくなるんだ。騒がしく感じる時も多々あるが、そんなクロースがいる毎日を気に入っているんだと思う。


 そうだな。シュンランたちがここまで言ってくれているんだ。今まで先延ばしにしていたが、もう関係をはっきりさせるべきだろう。


 それにミレイアが言うように、精霊魔法が使えるクロースがレベルアップしたら強力な戦力になるのも確かだ。それは俺やシュンランやミレイア。そしてカルラやダリアなど、この街で働いている人たちの生存率にも直結する。


 だがたとえクロースを受け入れたとしても、俺を兇賊から救ってくれた恩人でもあり、ずっと支えてきてくれたシュンランとミレイアが俺にとって一番なのは変わらない。


「涼介……フフフ、私たちが一番か。好きな男にそう言われるのは嬉しいものだな」


 シュンランはそう言って俺の胸に頭を預けた。


「私も嬉しいです。ずっと一番だと思ってもらえるようにがんばります」


 ミレイアは俺の腰に腕を回し、その大きな胸を押し付けながらぎゅっと腕に力を入れた。


「俺も二人に愛想を尽かされないように頑張らないとな」


 俺がそう答えると二人はそんなことはあり得ないと言って揃って首を振った。俺も二人が一番じゃなくなることはあり得ないと返し、三人で笑い合った。マンションの外からも、相変わらずクロースの笑い声が聞こえていた。


 そしてその日の夜。


 食事を終えシュンランと一緒に風呂に入り、リビングでみんなとまったりしてそれぞれが自分の部屋へと戻った後。しばらくして俺は一番奥にあるクロースの部屋へと足を運びドアをノックした。


 するとドアが開き、俺の姿を見たクロースは少し驚いているようだった。そんな彼女は部屋が暖房で暖まっているからか、俺が商会で買ってプレゼントした膝丈ほどの黒いワンピース型の薄手の夜着を着ていた。ブラなどは無いので夜着の胸もとからは大きく形の良い胸が透けて見え、視線を下に向けるとそこには同じく俺がプレゼントした黒いレースのショーツが見えた。


 俺は彼女の夜着を見て、貴族が着るような物だから高かったけど買ってあげて良かった思いつつ、クロースに少し話があると言って部屋の中へと入れてもらった。そして二人掛けのソファーへと腰掛けると、クロースが隣に座り口を開いた。


「ど、どうしたのだリョウスケ? 話とはなんだ? 今日ミレイアの日だろ? 放っておいていいのか? 」


 クロースは緊張しているのか膝上までしかない夜着の裾を両手で握り、今日はミレイアと寝る予定だったのではないかと聞いてきた。


 そんな彼女に今日はクロースと一緒に寝ようと思ってここに来たと答えると、彼女はひどく驚いた後にしばらくして顔を一気に真っ赤に染めた。


「そ、そそそうなのか。で、ではやっと私とその……」


 顔を赤らめ俯いて手を震わせながらそう口にしたクロースに、思っていた反応と違うなと思いつつも俺はクロースのことが好きだと。恋人になって欲しいと告白した。


「あっ! わ、私もリョウスケが、す、好きだ……あ、兄上の傷を治してくれた時からずっと……優しくて強いリョウスケが好きだったのだ……で、でも本当に私をこ、恋人にしてくれるのか? 」


「ああ。俺で良ければ」


 目を潤ませながら上目遣いで恋人にしてくれるのかと口にしたクロースがすごく可愛くて、俺は彼女の唇にそっとキスをした。


 風呂場ではいきなりペニグルにキスをさせたりしたが、思えば初めてキスをするなと申し訳ない気持ちを感じながら唇を離すと、クロースはしばらく蕩けた表情をしたあとに俺の視線から逃げるように胸に顔を埋めた。


 どうやら恥ずかしがっているようだ。


 おかしい……とても目の前の女性が所構わずエロい妄想爆発の言動をしたり、土人形を俺の部屋に忍ばせシュンランとミレイアとの行為を覗いたり、俺の下着を盗んで部屋で嗅いで興奮しているクロースと同一人物とは思えない。


 もしかしたらクロースは想像力が豊かなのが災いして、耳年増をこじらせただけなのかもしれないな。いざ俺が受け入れるとなると、どうしていいかわからなくなっているのかもしれない。そう考えてみれば、目の前にいる子は経験の無い普通の女の子と同じだな。


 そう考えるとこれまでのクロースの変態的な言動や行動も、それら全てが可愛く思えてしまうから不思議だ。


 俺は恥ずかしがるクロースにもう一度キスをしながら彼女を抱き抱え、真っ赤なベットにそっと寝かせた。そして顔を背け緊張している彼女から、夜着をゆっくりと脱がせ、自分もシャツを脱いで覆い被さった。目の前には褐色だがスベスベの肌と、仰向けに寝ているのにまったく形が崩れていない大きく張りある胸がある。俺はそっと彼女の胸へと手を伸ばした。


 その後、時折聞こえるクロースの口から漏れ出る色っぽい声を聞きながら、俺は彼女の胸を両手で揉みしだいたり口に含んでそのピンク色の先端を舌で転がしたりして堪能した。


 クロースは俺にされるがままで、風呂に入っていた時のような積極的な彼女とは別人のようだった。そんな彼女がますます可愛く思えた俺は、彼女のショーツを脱がして足の間に腰を入れてゆっくりと突き出し一つとなった。そして少しだけ痛がるクロースに気を遣いつつ、しばらくの後に俺は彼女の中に全てを吐き出した。


 なんだ。こんなに可愛いところがあるなんて意外だったな。やっぱり耳年増を拗らせただけで、実際は普通の女の子だったんだな。


 全て出し切った後にクロースから離れた俺は、彼女を胸に抱き寄せてそのシルバーグレーの長い髪を撫でながらそんなことを考えていた。


 しかしそんな俺の考えはどうやら間違いだったみたいだ。


 胸に抱かれていたクロースは突然俺の股間へと手を伸ばし、そしてニギニギと揉み始めたかと思ったらそのまま下へと潜り込み口に含んだ。


 突然のことに『え? 』と混乱していると、クロースは『こんなはずじゃなかったのだ。もう一度だ! 私がリョウスケを気持ちよくしてやるのだ! 』と言って元気になった俺のペニグルにまたがり、キュッと締め付けながら激しく腰を動かし始めた。


 その腰使いは今まで経験したことのないほどの動きで、俺はあっという間に果ててしまった。そしてそれからはずっとクロースのターンだった。クロースは俺の上で前に後ろにと向きを変えながら激しく腰を動かし、自分の胸を揉みながら乱れまくった。そしてシュンランをも凌ぐ大きな声で放送休止用語を連発し、そんな彼女に圧倒された俺は、彼女の体力が尽きるまで搾り取られたのだった。


 とても初めてとは思えない彼女の姿を前に、やっぱりクロースはダークエロフだったと確信したのだった。



 翌朝、満面の笑みでやつれた顔の俺に朝食を食べさせるクロースを見て、シュンランとミレイアが恥ずかしそうに目を背けていた。きっと二人にも昨夜のクロースの声は聞こえていたんだろう。次からは防音設備のある俺の部屋でしようと思う。


 それから年末までは4人で有線を聞いたり日本語を教えたり露天風呂に入ったり、エルフの繁栄の秘薬を飲んで4人で一日中ベッドで愛しあったりと楽しく過ごした。


 身体を合わせてからというもの。クロースは俺にべったりで、毎日家にいようが外にいようが関係なくこれでもかって甘えてくるようになった。甘えられるのは男冥利に尽きるんだが、その都度耳を舐めてきたり股間を揉んでくるから自制するのが大変だし、なにより俺の身体が保たない。


 さすがにダークエルフたちの前で同じことをするから、一度いい加減にしろとイタズラをする両腕を縛ったら、それがキッカケで夜に恥ずかしそうに縛ることを求めてくるようになった。


 そういえばクロースはよく縛ったり目隠しをして、抵抗できないシュンランたちを陵辱しているんだろとか口にしていたなと思い出し、そういう性癖があるのかと望み通りベッドに縛り付けたらクロースはかなり興奮しているようだった。やってるうちに俺も楽しくなり、最近では彼女に目隠しもするようになった。


 そんな新しい愛し合い方をクロースとしながら新年を迎えた。


 年が明けてからは毎日のように4人で狩りに行き、夜に激しい痛みに苦しむクロースに対し俺とエッチをするとレベルが上がることを打ち明けた。


 そりゃあもう驚いていたよ。しかも『リョウスケの精を受けたら身体能力が上がるのか!? もしかしてリョウスケは性の神からも加護を受けていたのか!? 』って言われた。そんなわけないだろとクロースの額にチョップしながら否定したが、内心ではそう思われても仕方ないよなと憂鬱な気持ちになった。


 もしかしてこの世界って俺の知らないエロゲーの中か何かとかじゃないよな? フローディアに会ったら一度確認しようと思う。


 狩りを終えた後は自動販売機から酒類を中心に買い、ギルドの酒場の倉庫へとせっせと運んだ。最初は売れまくると思うから、かなりの数を用意しておかないと1日も保たずになくなりそうだ。特にドワーフの親子は要注意だ。


 自転車の練習をしていたスーリオンたちだが、年が明けた頃にはだいぶ走れるようになっており、南街へ続く街道の警備を始めていた。クロース以外に乗らなくなったママチャリだが、ダークエルフの守衛たちが非番の時に里の子供たちを後ろに乗せてよく走っている姿を見かけるようになった。子供たちの楽しそうな笑顔を見れたことで、今度マンションの遊具なんかを持って行ってやろうと思った。


 長老に頼んだリヤカーも何台か試作品が完成し、少し改良してもらい量産を始めてもらっている。


 そして3週間振りにフジワラの街の営業を開始する日を迎えたのだった。

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