第13話 竜鞘



 新居を作り引っ越しを終えた俺たちはその日の夜、三人で引っ越し祝いをすることにした。


「「「かんぱ〜い! 」」」


 俺は乾杯の掛け声とともに、両隣に座るシュンランとミレイアとグラスを合わせる。


 目の前のテーブルには、料理と葡萄酒が大量に置かれている。


 この酒はレフやカルラさんたちに頼んでおいたもので、2リットルくらい入っている樽がうちの倉庫には積み上がっている。シュンランがお酒が結構好きで、よく二人に買ってきてもらうんだ。


 俺も酒は好きな方だけど、この世界の酒は薄くてあんまり酔えない。とは言っても美少女と美女に囲まれて飲む酒はうまいので、食後や風呂上がりにちょこちょこ二人と飲んでる。


「うふふ、前のお部屋も素敵でしたけど、この新しいお部屋はもっと素敵です。真っ白なフローリングの広いお部屋。白亜のお城に住んでいるみたいです」


 ミレイアはグラスを両手で持ちながら上機嫌だ。


 ハイグレードのシステムキッチンを設置したからな。料理好きの彼女としては嬉しいんだろう。


「掃除のことも考えて床はブラウン色のフローリングにした方がいいと思ったが、こうしてできたのを見ると白にして良かったな」


 シュンランも葡萄酒を口にしながら、機嫌良さげにリビングを見渡している。


「まあ掃除が面倒になったら俺が原状回復のギフトでサクッとしておくよ」


 埃が目立つ床の色というのもあるが、かなり広く作っちゃったからな。確かに掃除は大変そうだ。なに、一回銀貨1枚か2枚くらいだろう。たいした出費じゃない。


 しかしやっと俺も自分の部屋を持てる。これで自家発電現場を見られる心配もなくなるな。彼女たちと同居を始めて2ヶ月以上の間、夜中に冷蔵庫の果実水を取りに来た二人に何度見られたことか……ちゃんと毛布で隠していたからバレていないとは思うが、二人とも魔族の血が入っているだけあって夜目が良いからな。もしかしたら俺がペニ……ペニグルを握っている姿を見られたかも知れない。


 しかしこれで気兼ねなくできる。レベルアップしたことで毎日ムラムラしているうえに、二人ともいつも薄着で無防備だからな。理性を保つために必要な日課なんだ。


 ちなみに身体はややマッチョって感じで、世紀末のアニメに出てくる胸に七つの傷を持つ主人公ほどにはなっていない。シティを守るハンターの主人公くらいか? しかし体力と精神力はかなり強くなり、今なら1週間徹夜で仕事できそうだ。だがそれに伴い精力もかなり強くなっている。正直十代の猿期の時の比じゃない。そんなスーパーモンキーの俺には個室は必須だ。


 そんな待望の新居は外から神殿に入ると左側にある。間取りは3LDKで、外から見ると横に長い長方形の形をしている。


 スライド式の玄関を開けるとすぐにこの20帖のリビングがあり、玄関の横とリビングの左側にある窓からは外の光が入ってくる。もちろん窓は強化ガラスで、鉄の柵も外側についている。


 リビングに入るとすぐ右側に長い廊下があり、この廊下の右側にシュンランとミレイアの部屋がある。部屋はそれぞれ12帖ほどの広さになっている。


 その向かいにはトイレが2つと広めの脱衣所と浴室があり、二人がトイレにもお風呂にも行きやすい間取りになっている。俺の部屋はリビングの奥の右側で、ここも12帖ある。どの部屋もかなり広めのウォークインクローゼットがあるので収納に困ることはない。


 浴室は一番大きな風呂を設置したが、今のバージョンだと3人が入れるくらいの大きさしかない。バージョン2000になればデザイナーズマンションが流行った時期ということもあり、もっとおしゃれで大きな風呂を置けるんだけどな。洗濯機だってドラム式で今より二人がもっと使いやすいのを置けるのに……いい加減早くバージョンアップして欲しい。


 ただリビングと全部屋に床暖房があり、キッチンには一番グレードの高いシステムキッチンと冷蔵庫と家電を設置した。ほかにはダイニングテーブルと布生地の4人掛けのフワフワのソファーが2つ。そして奥には4畳ほどの広さの掘り炬燵こたつがある。その横が俺の部屋だな。


 総面積は前の部屋の2倍近いので、掃除はかなり大変だ。便利なギフトがある以上、使うべきだろう。


「原状回復のギフトは使わなくていいぞ。涼介と一緒に住む部屋だからな。私たちが掃除をする。何か家電が壊れた時にだけ頼む」


「そうです。家のことは私たちがやります。涼介さんの新しいギフトはとても便利なギフトですけど、新築のようになっってしまうと私たちが一緒に生活した思い出も消えてしまいそうなので……」


「そうか……そうだな。うん、今まで通り二人に家のことは任せるよ」


 確かに原状回復のギフトを使うと、それこそ新築のように綺麗になる。そこには生活していくうえで染み付いた匂いや、家具についた小さな傷や汚れもない。ミレイアはそれが寂しいんだろう。

 

 それなら俺が手伝えばいい話だしな。


「はい。毎日お掃除がんばります。三人の新しいお部屋なんですから」


「フフフ、ミレイアは上機嫌だな。私もあんなに広い部屋に住めるのは嬉しいな。寝る時にミレイアがいなくて寂しくはなるがな。今夜は涼介に添い寝を頼むとするか」


「ぶはっ! ゴホッゴホッ! 」


「涼介さん! 」


 俺はいきなりシュンランから添い寝の誘いを受け、飲んでいた葡萄酒を吹き出した。するとすぐに左隣のミレイアがタオルを持って俺の口もとを拭ってくれた。


 まさかシュンランから添い寝の誘いを受けるとは。これは是非にと早く返事をしないと!


「プッ! あははは! 冗談だ涼介。寂しかったらミレイアを呼ぶさ」


「な、なんだ冗談か。からかわないでくれよな。ハハハ……」


 口もとに手をやりクスクス笑っているシュンランに、愛想笑いをしながらそう返した。


 なんだよ冗談かよ! 期待しちゃったじゃねえか!


「フフフ、涼介を見ているとついな……さて、今夜は飲むぞ。涼介、私より先に潰れるなよ? 」


「冗談。この世界の酒でなんかで潰れたりなんかしないさ」


 社畜を舐めるなってな。上司の付き合いでどんだけこの世界のより強い酒を飲まされてきたと思ってんだ。というか蒸留酒はないのかな? 造るのはそんな難しい技術じゃないんだけどな。今度作ってみようかな。


 それから俺たちは酒を飲みながら話したり、ゲームをしたりして過ごした。


 そして数時間後。


「りょうふけさん……わたしのことすきですかぁ……かるらさんより……とわたひが……りょうふけ……さん……」


「よしよし。もちろんミレイアの方が好きだよ。だからもう飲むのはやめておこうな。ほら、ちょっと休もう」


 俺は膝の上で股間に顔をぐりぐりしているミレイアの頭を撫でながら、手に持っている葡萄酒を取り上げようとした。


 俺のペニグルにミレイアが顔を埋めて……しかもベージュのシャツからこぼれそうな胸が……くっ、ダメだ、今はダメだ! 反応するなペニグル! 我慢だ!


「らめれす……りょうふけはんも飲んでくらはい……あっ、そこ……角をなでて……くだはい」


「いいのか? それなら……ミレイアの角は可愛いな。綺麗な黄色だ。ピンクの髪もかわいいよ」


 俺は敏感だからと触れられるのを嫌がっていた角を撫でて欲しいというミレイアの言葉に、その10センチにも満たない長さの可愛い二本の角をゆっくりと撫でた。


「あっ、んっ……りょうふけさん……だけです……さわって……いいのは……りょうふけ……さん……りょう……ふけ……」


「おっと……寝ちゃったかな? 」


 どうやらミレイアは葡萄酒を抱き抱えながら眠ってしまったようだ。


 こんなに飲んだミレイアは初めてだな。いつもは酒に弱いからって少ししか飲まないのにな。


 しかし酔ったミレイアはエロいな……


 俺はショートパンツから覗く真っ白な太ももと、俺の太ももに押し付けられ潰れそうな推定Fの巨大な胸を見ながら生唾を飲み込んだ。


「フフッ、ミレイアが潰れるほど飲むなど珍しいな。よほど新しい家に引っ越せたのが嬉しかったんだろうな」


「あ、ああ……そうかもな」


 俺は慌ててミレイアの胸の谷間から視線をシュンランへと向けそう答えた。


「涼介、ミレイアを部屋で寝かしつけてきてくれ」


「わかった。ミレイア、ベッドに行こう。ほら、よいしょっと……」


「う……ん……りょう……」


 俺はミレイアを抱き起こし、お姫様抱っこをして彼女の新しい部屋へと運び込んだ。


 そしてベッドに寝かせ、そのまま覆い被さりたくなる欲求をグッと堪えてリビングへと戻った。


「ありがとう涼介。さあ、ここに座ってくれ。もう少し飲もう」


 リビングに戻ると、シュンランがソファーの隣をポンポンと叩く仕草をしながら葡萄酒の入ったグラスを掲げた。


「ああ、そうだな」


 俺はシュンランの隣に座り葡萄酒を飲むと、すかさず彼女が注いでくれた。


「涼介……私たちのためにこんなに良い部屋を作ってくれてありがとう」


 グラスに注ぎ終わったあと、シュンランは俺を見つめながらそう言った。


「シュンランたちだけのためじゃないさ。俺も自分の部屋が欲しかったし」


 そんな彼女に俺は笑みを浮かべ、首を横に振りながら答えた。


「涼介の部屋を私たちが取ってしまったからな。私たちはリビングでもよかったのに、部屋にトイレまで設置してくれて……君の優しさにどれだけ私たちが救われたことか」


 そう言ってシュンランは俺の肩に頭を乗せた。


「シュンラン……」


 俺はそんな彼女の肩に右腕を回し、そっと抱き寄せ彼女の折れた左角へキスをした。


 彼女も角を触られることは嫌がるが、今はどうしても彼女の角にキスをしたくなったんだ。


「んっ……涼介……」


「マンションの経営は順調だ。みんな満足してくれてまた来ると言ってくれているし、実際全員が戻ってきてくれている。1階に1Rを作ると騒がしくなるから、外に倉庫を建ててその中に1Rと中部屋を増築しようと思う。そしたらもっと稼げる。シュンランとミレイアの足を早く治せるよ。そしてこの角も……」


 俺はそう言って再び彼女の真っ白な折れた角にキスをした。


 人族の血が入っているとはいえ、シュンランは竜人族であることに誇りを持っている。その竜人族にとって角は本当に大切な物で、竜人族である象徴であり強さや美しさの象徴でもあるらしい。シュンランも毎日角の手入れはこれでもかというくらいしている。実際彼女の側頭部から斜め後ろに真っ直ぐ伸びている、30〜40センチほどの白い角は本当に美しい。


 その角がなぜ折れたのかは知らない。聞かれたくなさそうな雰囲気だったから聞いていない。でもお金を貯めれば教会でこの角も元通りになるはずだ。そうなればもう角を手入れしている時のシュンランの悲しそうな、それでいて悔しそうな顔を見ないで済む。


「涼介……この角は人族の治癒のギフトでは元通りにならないのだ」


「え!? なんでだよ。腕や足は元に戻せるんだろ? それなら角だって……」


 角って確か骨だろ? それなら腕や足を生やすのと同じ要領だろ。


「人族には竜人族の角はイメージできないそうだ。腕や足は同じものが生えているからイメージはできるが、角はイメージできないらしい」


「イメージ……そういうことか……」


 俺はシュンランの言葉に納得してしまった。


 ギフトを発動する際には、どういう現象を起こしたいかイメージする必要がある。間取り図はパソコンで可視化されているので例外だが、地上げ屋のギフトはイメージが全てだ。だから地面を陥没させたり、壁を作ったりすることができる。


 それを自分にない角のイメージを人族にしろというのも難しいのだろう。どこまでイメージしなくちゃいけないのかは知らないが、構造とか硬度とかもイメージしないといけないなら相当難しいと思う。


 しかしまさか角が治せないだなんて……シュンランの喜ぶ顔を見たかったのに悔しいな。


「涼介、そんな悔しそうな顔をするな。いいのだ、これは私が弱かったせいなのだ。それに涼介は私のこの角がなぜ折れているのか一度も聞いてこなかったな。その優しさがすごく嬉しかったぞ」


「それは……人には聞かれたくない過去があるもんだし。言いたくないこともあるさ」


「そうか……そうだな。しかし涼介には私の全てを知って欲しいのだ。つまらない話だが聞いてくれるか? 」


「俺もシュンランのことは全て知りたい。けど、無理はしなくていい」


「いや、私は言いたいのだと思う。ミレイアにすら話していないことだが、涼介に話して甘えたいのだろうな」


「好きな女性に甘えられるのなら大歓迎かな」


「涼介……」


 シュンランは俺の肩に頭を乗せたまま、両腕を腰に回し俺を抱きしめながらポツポツと過去を語り始めた。



 シュンランは竜人族の父親と人族の母親を持つハーフだ。


 父親は魔国のハンターで竜人族の中でも黒竜種という種らしく、彼女と同じ黒髪だったそうだ。そして母親は人族でもトップクラスのハンターで、炎のギフトの上位互換の『爆炎』のギフト持ちだったらしい。


 シュンランは角と髪の色は父親譲りで、その美貌は母親似のようだ。彼女は二人に溺愛され、魔国の人里離れた場所にある家に住んでいたそうだ。


 そんなシュンランの両親はAランクだったらしく、多種族からなるパーティを組んでいたそうだ。西街でもトップクラスのパーティで、いずれSランクになれると有望視されていたらしい。


 母親は人族だが、魔族だらけの西街に出入りできるほど強かったそうだ。彼女にちょっかいを出した魔族はことごとく半殺しにされたらしい。基本的に魔族は強さこそ正義で、強さを証明すればたとえ人族でも一定の敬意を受けるみたいだ。


 普段人族が魔族に差別されているのは、種として弱い上に過去にあった人魔戦争の影響らしい。


 しかしそんな最強のパーティも、滅びの森の奥地にいるSランクの竜には敵わなかった。


 今から3年前。その最強と言われたパーティは全滅し、シュンランの両親も帰らぬ人となった。


 当時15歳で一人残されたシュンランは、魔国が利用している西街に向かい両親の仇を取るためにハンターになった。南街ではなく西街なのは、父親と同じ竜人族の血を引いていることを彼女は誇りに思っていたからだ。


 しかし、西街で待ち構えていたのは、種族意識の強い同族の竜人族からの差別だった。竜人族と人族のハーフは非常に珍しい。そんな彼女を同じ竜人族として迎え入れてくれる者はいなかった。


 それでも彼女はパーティを組んでもらえるよう、西街のギルドへと通った。シュンランには幼い頃から母親から教わった双剣で、必ず役に立てるという自信があった。


 そんな時だった。


 ギルドにいた火竜種のある男に父親を侮辱された。発言の撤回と謝罪を求めたシュンランだが、男は撤回も謝罪もすることなくシュンランをとっとと娼婦にでもなれとさらに侮辱した。


 その後シュンランとその男はギルドの訓練場で決闘をすることになり、シュンランはその決闘に敗れた。そして竜人族の誇りである角を大勢の見ている前で折られた。続けて右の角も折られようとしたが、さすがにやりすぎだとギルドの仲裁が入った。


 男は面白くなさそうな顔でシュンランに二度と竜人族のフリをするなと、次に見かけたらもう一本の角も折ると言われたそうだ。


 悔しかった。そうシュンランは震えながら言っていた。


 そこまで聞いて俺はその男が許せなかった。


 竜人族にとって大切な角を、両親を失い竜人族として生きると決めた同じ血が流れている者の角をそんな簡単に折るなんて。


 西街か……ここを1週間空けることができれば俺が仇を取りに行くんだけどな。


 俺がそんなことを考えているのを察したのか、シュンランはフッと笑いながら首を横に小さく振っていた。


 その目から彼女は決して負けたままでいないという意思が伝わってきた。


 私の獲物だから手を出すなってことか。毎日双剣を素振りしているのは、足が治ったあと再戦するためってことか。


 まったく、本当にいい女だ。


 俺が肩をすくめシュンランに応えると、彼女はこくりと頷き話を続けた。


 角を折られ西街を追い出される形となったシュンランは、東街で同じハーフの者ばかりいるパーティに迎え入れられた。


 そして1年ほど経った頃だった。ある日オーク狩りの途中で、傷つき倒れていたミレイアと出会った。その時ミレイアのパーティはオークとの激しい戦闘で全滅し、彼女一人だけ生き残ったらしい。


 そんな彼女をシュンランのパーティは保護をした。しかし当時は今以上に男を異常に恐れる彼女を放っておけず、シュンランはそれまでいたパーティを抜けてミレイアと二人でハンターとして活動することになった。


 その後ミレイアの持つ強力なギフトの力を知り、驚きとともに彼女とならもっと上に行けると思ったようだ。


 しかしその希望もオーガキングとの戦いに敗れ、二度と戦えない身体になりついえた。


 最初シュンランは絶望した。自分の力はこんなものだったのかと。妹のように思っていたミレイアすら守れなかった。このままミレイアとともにオーガの餌になり死ぬのかと、そう思っていたその時だった。


 一度しか会った事のない俺が現れ救われた。そしてその後、ここに連れてきてもらい、希望を与えられた。


「涼介。私に一目惚れしたと言っていたな? 私もだ。私はあの時、オーガの群れに単身で挑んだ涼介の姿に見惚れていた。素手で、ギフトで、そして槍でオーガを殴り飛ばし突き刺していく涼介に私は見惚れていた。そしてその後の涼介の優しさに、私は心を奪われた」


 シュンランは肩から頭を上げ、俺を見つめながらそういった。


「シュンラン……」


「涼介。あの夜、私たちの足を治すと。そうすれば涼介を一人の男として私たちが見れるようになると言ったな? それはつまり私たちが今のこの生活のために、涼介を好きになろうとしていると思っていたのだろう? 今でもそう思っているのか? 」


「いや……今はそう思わない」


 今はそうは思わない。彼女たちの好意は毎日感じている。


「ならば私たちの気持ちはわかっているのだろう? なぜ我慢しているのだ? 夜にその……一人で頻繁にするほど……私たちのことを想っているのだろう? 」


 グハッ! やっぱり見られていた!


「そ、それは……こういう話をなかなかする機会がなくて……それに身体が目的だと思われるのも嫌だったから……」


「……そんなことを心配していたのか……今さら涼介が身体を目的の男などと思うわけがないだろう。それを……あれほど私たちが頑張っていたのにそんなことで……」


「え? 頑張っていた? 」


「涼介……どこの馬鹿が真冬にこんな薄着でいると思うのだ? バスローブ姿でのマッサージもそうだ。私たちが好きでもない男に、あんなことをする女だと思っているのか? 」


「……思ってないです」


 そういうとだったのか……あ〜、俺は馬鹿だ……彼女たちは精一杯GOサインを出していてくれていたんだ。あのミレイアまで……それを俺はご褒美だなんだと浮かれて、なぜ彼女たちが薄着なのか考えもしなかった。


 なんということだ……一時のラッキースケベに心奪われウキウキしていた裏にこんなサインが隠されていたなんて!


「私もミレイアも涼介に惚れている。いつまで待たせるつもりなのだ? まさかまた女に恥をかかせるわけではないだろうな? 」


「そんなことはしないよ。俺だって二人が好きなんだから。シュンラン、目をつぶって」


「んっ……」


 俺は目を閉じたシュンランの唇に、そっとキスをした。


 そして唇を離すと、シュンランが頬を染めながら下を向き口を開いた。


「涼介……私も酔ったようだ。ミレイアと同じように部屋に運んでくれないか? 」


「ああ、部屋に運ぶよ」


 俺はそう言って彼女を抱き上げ、キスをしながらリビングの奥にある俺の部屋へと彼女を運んだ。


 そして部屋の引き戸を開け中に入り、シュンランをベッドへと優しく寝かせた。


 俺は顔を真っ赤にしているシュンランに覆い被さり、再びキスをしながら彼女の服を脱がせていった。


 そしてショーツ1枚となった彼女の身体を見て、俺は息を飲み込んだ。


 170と少しくらいある長身のシュンランの真っ白な身体。お椀型の形の良い胸。そしてすらりと伸びた長い足。その辺のモデルも裸足で逃げ出すような完璧な身体がそこにあった。


「りょ、涼介……恥ずかしい……」


 シュンランは俺の視線に気づき、腕で胸を隠し顔を背けながら恥ずかしそうにしていた。


「ごめん。あまりにも綺麗だったから」


 俺はそうシュンランに謝り、再びキスをしながら自分の服を脱ぎ捨てていった。


 そしてキスをしながら手に収まるちょうど良い大きさの張りのある彼女の胸を揉み、やがて彼女の太ももへと手を伸ばした。


「んっ、あっ、涼介……そこは……んっ……」


 シュンランの太ももの付け根は準備ができていた。俺は普段は聞くことのない彼女の可愛い声に興奮しながら、乳房を口に含みその先端を舌で転がしショーツも脱がせていった。


「あっ、はっ、りょう、んっ、そんな……もう……早く……避妊薬は……んっ、飲んでいるから……」


「シュンラン、愛してる。大切にするから」


 俺はシュンランの乳房から口を離し、彼女の足の間に身を入れペニグルをゆっくりとシュンランの持つ鞘へと差し入れていった。


 シュンランは初めてだった。だが戦闘など激しい動きをしていたことからその証は破れていたのか、それほど痛がってはいなかった。


 それでも俺は早く終わらせてあげようと、狭くきついシュンランの鞘の中にペニグルを全て差し入れた。その時だった。


 な、なんだこれは!?


 俺は鞘の形がおかしいことに気づいた。


 この段差は……鱗? ああ……間違いない。これは鱗だ……


 なんとシュンランの鞘は狭いだけではなく、鱗の形状をしていた。


 シュンランは竜人族のように首や背に鱗や翼がないと言っていた、でもまさかこんな所に鱗があるなんて……


 これはなんという名器の持ち主だ。


 俺はあまりの気持ち良さに耐えつつ、ペニグルをゆっくりと突いて戻してを慎重に繰り返した。


「んくっ……涼介……あっ……だ、大丈夫だから……もっと速く動いても……んっ……」


「大丈夫だシュンラン。ゆっくり愛し合おう」


 無理だ。激しくしたらすぐ終わってしまう。


 俺は早いと思われたくない一心で、シュンランとキスをし舌を絡めながらゆっくりと動いた。


 そして限界まで耐え、もうダメだと思った時に一気に突きを激しくして彼女の中で果てた。


 それでも普段の俺からしたら相当早かった。でも経験したことないほど気持ち良かった。


 それからしばらく俺たちは繋がったままキスをし、余韻に浸っていた。しかし彼女が少し動くだけで俺のぺニグルはすぐに復活してしまった。


 それに気づいたシュンランは、俺の耳元でもっと愛して欲しいと言った。俺はその言葉に甘え、今度こそ彼女を満足させようと何度果てても前から後ろからとぺニグルを突きまくった。


 この日。俺はシュンランに心だけではなく、身体までも溺れたのだった。





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