第5話 一週間後



「リョウスケ! すぐ客を連れて戻ってくっからよ! アタシの部屋はそのまんまにしておいてくれよな! 」


「ええ、104号室はそのままにしておきますよ。サラさんの部屋も皆さんのもね」


 俺が壁の出口の前にいるカルラさんにそう答えると、サラさんも棘の戦女のパーティの女性たちも皆が嬉しそうな表情を浮かべた。


 あの無口な片眼のクロエちゃんですら口もとが緩んでいる。


「ありがとうございますリョウスケさん。ご好意に甘えて一週間も居座ってしまった上に狩りまで手伝っていただき、更には部屋までそのままにしておいていただけるなんて……これほど良くしていただいた方に、初めて会った時にあんな酷いことを言った私が恥ずかしいです」


「サラさん、あの事はもう忘れましょう。狩りにしても皆さんのおかげで効率よくできましたし、魔石も譲ってもらったのでお互いに利益があったことです。部屋だってどうせレフさんやカルラさんがお客さんを連れてきてくれるまで誰も使わないんですから。気にする必要はありませんよ」


 俺は申し訳なさそうに頭を下げるサラさんに、笑みを浮かべながらそう答えた。


 彼女たちとはもこの一週間色々と、それはもう色々とありだいぶ打ち解けた。最初目も合わせてくれなかった彼女たちだが、今では気軽に声を掛けてきてくれるようになったほどだ。


 マンションに泊まった初日に、初めて風呂に入った子が何人ものぼせてシュンランとミレイアと俺とで介助に追われたりしたしな。


 そのうえ3日目にCランクの魔物狩りに挑もうとするカルラさんに請われ、一緒にオーガや風豹に擬猿を狩ったりもした。昨日なんてオーガの巣を見つけて、止める彼女たちを引き連れ襲撃しに行ったし。


 やっぱり人数がいると狩りの効率が圧倒的に良くなるわ。サラさんとクロエちゃんという、強力な攻撃のギフト持ちが2人もいるというのも大きい。


 森の魔物以外にオーガの巣にあったハンターから奪った武器や防具に金品など、かなりの収穫になった。その時の装備などをカルラさんにあげて、代わりに魔石も全部譲ってもらったから、4日間でCランクの魔石が100個くらいになった。結果的に一人の時よりはるかに楽に稼げた。


 そんな一緒に戦った戦友というのもあるのだろう。夜は大部屋でシュンランとミレイアを連れて、彼女たちと一緒に夕食を取ることが何度もあった。みんな話をしてみるといい子たちばかりでさ、クロエちゃんなんてお礼なのか果物を黙って差し出してきて可愛かったな。


 話の内容は王国のことと部屋のことばかりでさ、綺麗な部屋とトイレとお風呂に感激してたよ。キッチンも料理をするのが楽しいってさ。こんな生活をしたらもう街には戻れないって口を揃えて言ってた。



「いやぁ狩りに同行してもらって助かったよリョウスケ。オーガの巣に一人で飛び込んでいった時は頭おかしいやつだとか思ったけどよ、あっけなくキングを狩って出てくるんだもんな。逃げ回るオーガを狩るだけだったから楽勝だったぜ。お宝も大量に譲ってもらったし、素材もたんまり手に入った。それにCランクの魔物を狩る自信もついた。ギルドに戻ったらアタシたちのパーティも昇格間違いなしだぜ。てかよ、お前強すぎだろ」


「あはは、昨日はすみませんでした。ずっと探していた巣が見つかったので興奮しちゃって。まあ洞窟の中は俺の得意な地形なのでどうってことなかったですよ」


 俺は半ば呆れた顔で言うカルラさんに、頭をかきながらそう答えた。


 外で戦うよりはるかに楽だったな。洞窟の岩で壁を作って、そこにキングと護衛のオーガを閉じ込めて千本槍の一撃だったしな。キングを狩ったらオーガたちは一斉に逃げ出して、外に用意しておいた罠やカルラさんたちの攻撃で次々と狩られていった。


 カルラさんたちは正直言って強い。俺がいなくてもCランクの魔物を狩る実力はあったと思う。そう思えるほどにサラさんの『水』のギフトと、クロエちゃんの『炎』のギフトは強力だった。それに加えカルラさんも『身体強化』のギフト持ちだ。これは精神力が続く限り筋力を倍にできる能力らしく、使い続けたことによって今では3倍にまでできるようになったと言っていた。


 そのうえ荷物持ちの女の子の中に、『収納』のギフト持ちもいる。これは黒い穴を出現させ、その中に魔物の素材を保管することができる能力があるらしい。聞くことによると黒い穴の中は、畳2帖分くらいの空間があるらしい。そのおかげで彼女たちは滅びの森の中で長期間狩りができるそうだ。


 そんな彼女たちが今までDランクのパーティだったのは、新人の女の子が多いからだと言っていた。大所帯のパーティな以上、全員の戦闘力を平均するとCランクの魔物を狩りの対象にするには不安があったそうだ。そこでオーガの群れを単独で倒したという俺に付き添いを頼み、狩りでの連携を確認しつつ自信をつけていったというわけだ。



「オーガキングに加えて50はいたオーガの巣がどうってことないって……さすがのアタシもドン引きだぜ」


「強い強いと思っていたが巣に飛び込むとはな。無茶というかなんつうかよ」


 カルラさんもレフさんも痛々しい視線を俺に送ってくる。


 本当に外で戦うより楽なんだけどな。


「そうよ、昨夜その話を聞いて私もレフもどれだけ驚いたか。リョウスケもシュンランとミレイアに怒られたんでしょ? 」


「ええ……まあ」


 俺はベラさんんの言葉に、隣で椅子に座っているシュンランとミレイアをチラリと見た。


 昨日の夜にオーガキングのいる巣を襲撃したと言ったら、めちゃくちゃ怒られた。ミレイアなんて泣きながら怒ってた。一夜明けた今も二人は不機嫌なままだ。


「ベラ、涼介に何を言っても無駄だ。昨夜大喜びしながらオーガの巣を襲撃したと報告してきたくらいだからな。この男は自分の身の安全より、どれだけ効率よく魔石を稼ぐかしか考えてないのだ」


 シュンランが半目で俺を見上げながら言う。


「そうです。涼介さんは家で待つ私たちの気持ちをまったく考えてくれないんです」


 ミレイアは頬を膨らませ怒っている。


「うっ……」


 返す言葉も無い。


 あーあ。ベラさんたちが来てから、彼女に譲ってもらったというショートパンツに薄い綿のTシャツ姿でずっといたのにな。怒っているからか、今朝はいつもの厚い生地の部屋着に戻っていた。もうあのダボダボのショートパンツの隙間から見えるパンチラも、揺れまくる胸と胸ポチは見れないのかな。


「ふふふ、それもこれも二人のためでしょ? このマンション? だったかしら? その部屋を作るのに大量の魔石が必要らしいじゃない。リョウスケは早く二人の足を治したいのよ。無傷で帰ってきたんだし、無茶をしたともいえないでしょ? もう許してあげなさいよ」


「そ、それはそうだが……」


「それはそうなんですけど……」


「ごめんな二人とも。なるべく心配かけないようにするから」


 だからまたあのダボダボのショートパンツとTシャツ姿に戻ってくれよ。


「まったく、私たちのために無茶ばかりして……気持ちは嬉しいが、涼介が無事に帰ってきてくれる方がずっと嬉しいことを忘れないでくれ」


 シュンランはため息を吐いた後に、俺の腰に腕を回して俺を見上げながらそう言った。


「足なんて治らなくてもいいんです。涼介さんさえいてくれれば……」


 ミレイアも俺の腰に抱きつき、腹部に頬を擦り付けながら懇願するような目を向けている。


「ああ、俺は二人を残して絶対に死なないから。約束する」


 俺はそんな二人の肩を抱きしめそう答えた。


「かあぁぁぁ! またかよ! 見せつけてくれちゃってよ! 二人ともいい男捕まえやがって! 羨ましいぜ! 」


「ハイハイ、イチャイチャするのは私たちが帰ってからにして。それじゃあ私たちは街に戻るわね。換金した後にすぐに素行の良いハンターに声をかけて連れて戻ってくるわ。でも本当にあんなに格安にしてもらっていいの? 」


「ええ、皆さんのおかげで改善点がたくさん見つかりましたから。カルラさんとレフさんがハンターを連れてきてくれたら、お二人のパーティ全員の賃料は半額にしますよ」


 大部屋は広すぎると指摘してもらったから、2段ベッドを増設して定員を10増やして30名にすることにした。利用した人の感想を聞いて適正賃料もわかった。普通のパーティが一週間で狩る魔物の数と、素材の量も把握できた。その結果、長くても一週間しか滞在してもらえないことも。


 そうなんだよ。マンスリーマンションと言いながら、1ヶ月滞在してもらうのは物理的に不可能だったんだ。狩った魔物の素材を街まで人力で持ち帰ることを失念していた。


荷車リアカーがあればいいんだけど、滝のある川辺近くの各街に繋がっているという広い森道なら、荷車を使って運ぶことも可能らしいんだけどね。神殿までは道が無いからまず無理だ。そうなると持って帰れる素材の量も限られる。


ちなみに馬車じゃなくて荷車なのは、馬はこの世界にもいるが滅びの森に連れてきたらすぐに魔物に襲われるからだ。高価な馬を森に入れる馬鹿はいないそうだ。ただハンターの中にはテイムのギフトを持つ人間がいて、魔物をテイムして運ばせてる人もいるらしい。


 この問題を解決する方法としては、滞在したパーティ同士でレイドを組んで帰ることにより、荷物持ちだけじゃなく戦士にも荷物を持って帰らせる方法もある。そうなれば滞在期間を二週間くらいまでは伸ばせると思う。


ただそういった調整ができるようになるほどの客が増えるまでは、一週間単位の滞在者が増えることは間違いないだろう。そうなるまではハンターたちが連れてくる荷物持ちの人数も増えると思う。そのために大部屋をもっと作る必要があることもわかった。


 そんな色々な事に気付かせてくれたレフさんとカルラさんのパーティには、お礼に半年間。新規のお客さんを連れてきてくれたら、賃料を半額にすることにしたんだ。


 ちなみに通常の賃料は、1Rが1泊銀貨1枚またはDランク魔石1個で、大部屋は一人1泊小銀貨1枚だ。1Rは2名まで入居可能で、2人で住む場合は小銀貨5枚またはEランク魔石1個追加になる。みんなに安すぎるって驚かれたよ。俺が安く設定するつもりだと言っていたにも関わらず、1Rは街の最高級の宿と同じ一人銀貨2枚。大部屋は一人小銀貨3枚になるのは覚悟していたらしい。


 でもそうなると長期滞在してくれるハンターはいなくなる。それじゃあこっちも収入が計算できない。どんなに良いマンションを作っても、入居者がいなければ収入は0だ。銀貨2枚の部屋10部屋を作っても、5部屋しか借りてもらえないなら銀貨1枚で満室の方がいい。安いと思ってもらえれば、それだけで宣伝になるしな。マンション経営はどれだけ空室を出さないかが重要だ。


 ただ安いには理由がある。入居してもらうには条件があるんだ。


 まずは絶対にハーフを差別しない人であること。そして素行が良い人であること。そして入居契約は一週間単位であること。退去時に1Rは清掃費用として小銀貨5枚をもらうことだ。


 1泊だけじゃ掃除やなんやらでコストが高くなるからな。掃除して元の状態に戻して次の人が気持ちよく借りれるようにすることを『原状回復』というんだけど、それをしないといけない以上は最低でも一週間は滞在して欲しい。


 まとめると


 ・1Rは1泊銀貨1枚(もしくはDランク魔石1個)。二人まで同じ部屋に住むことは可能で、その場合は1泊銀貨1枚と小銀貨5枚(もしくはEランク魔石1個)。最低一週間の契約で、退去時に清掃費用として小銀貨5枚いただく。


 ・大部屋は一人小銀貨1枚。こちらは退去時の清掃費用はもらわない。その代わり入居者である各パーティから1名に掃除当番になってもらう。


 ・1Rも大部屋も賃料及び清掃費用は全て前払い。魔石での支払い歓迎。


 となる。


 こういったことを紹介するハンターに説明して納得してもらうのを条件に、レフさんとカルラさんのパーティは半年間半額で利用できるようにしたというわけだ。大部屋はもともとが破格だから対象外だけど。


「やりぃ! 宿代……おっと、賃料だったな。それがあの豪華な部屋にしちゃとんでもなく格安だってのに、それをさらに半額で借りれるとかリョウスケは棘の戦女の救世主だぜ! ここの周辺は森道と違って水場が無いから他のハンターに荒らされてないし、そのおかげで魔物を探す時間は少なくて済むから効率よく稼げる。ここならアタシたちでも十分賃料は払える。次は荷物持ちをもっと連れてきて長く滞在するぜ! 」


「本当に助かります。大部屋も街の宿より安いですし、ここなら毎日滞在することができそうです。ですがここにくる時に疑った私たちに、なぜこんなに良くしてくれるんですか? いえ、リョウスケさんがとても優しくて良い方なのはわかっています。しかしシュンランたちの治療費を稼ぐためなら、割引などしない方がいいと思いまして……」


 サラさんは心配そうな、それでいて複雑そうな表情で俺にそう問いかけた。


「そういう風に思ってくれる方だからですよ。それに他人のために治療費を稼いでいるのはサラさんも同じじゃないですか。同じ目的を持つ心優しい人の力になりたいと思うのは普通のことだと思います。お互いに頑張りましょう。そして傷が癒えた仲間の笑顔を1日も早く見れるようにしましょうね」


 賃料が安ければ安いほどいいのに、シュンランたちのことを思ってわざわざ高くした方が良いと提案する女性だから。自分たちも仲間の治療費を早く稼ぎたいのに、そんなことを言う女性だから良くしてあげたいと思った。


 最初は色々あったしレフさんには相変わらずキツイけど、彼女はとても優しい女性だ。それに一人だけ育ちが良さそうだし、部屋のお風呂を久しぶりとか言っていたからやっぱりどこかいいとこのお嬢さんだったんだろうな。


「リョウスケさん……ありがとうございます」


 サラさんは褒められ慣れていないのか、顔を真っ赤にして俯いた。


 へぇ、こういう顔もするんだな。いつもは近寄り難い雰囲気なのにな。ツンデレタイプなのかな?


「お? サラが顔を赤くしてるの初めて見たぜ。あのサラを落とすとかリョウスケは相当なスケコマシだな! 」


「ちょっ! カルラ! そんなんじゃありません! 」


「ニシシシ! 照れるなって! こんな強くて優しい男なんだ。気持ちはわかるって。次泊まる時にリョウスケならいつでも夜這いに来ていいからな! アタシがスッキリさせてやっから! 」


「カルラ! 」


「カルラさん! 」


「あっははは! シュンランもミレイアもそう目くじらを立てんなって、半分冗談だって! さって、名残惜しいが南街に帰るとするか。みんな、また10日後にここに来るよ! 帰りはなるべく多くの魔石を稼ぎながら行くからね! ここに長く住むためにね! 」


「「「「「はいっ! 」」」」」


「じゃあなリョウスケ、シュンラン、ミレイア。世話になったな。レフもベラもまたここでな! 」


 ベラさんはそう言ってパーティを引き連れ、手を振りながら壁の出入口を潜っていった。一緒にいたパーティメンバーの女の子たちも、みんな笑顔で手を振ってくれている。


 俺とシュンランたちはそんな彼女たちを笑顔で見送ったのだった。


「んじゃあ俺たちも街に戻るか。リョウスケ、世話になったな。なんだかんだ長居しちまって悪かったな。その代わりハンターたちをたくさん連れてくるから部屋を増やしておけよ? 恐らくこの良狩り場で稼ぐまでは大部屋に住むと思うからよ。オラッ、ミリー。いつまでも落ち込んでんじゃねえよ。帰るぞ! 」


「ううっ……街に行きたくないニャ。あの綺麗なトイレとお風呂を経験したらもう街の宿には泊まれないニャ。あっ! そうニャ! 私はパーティを抜けてリョウスケのお嫁さんになるニャ! そうすれば毎日あの部屋で生活できるニャ! 」


「ええ!? ミリー! ちょっと待てよ! 」


 ずっと下を向いていたミリーがいいことを思いついたとばかりに俺の嫁になると言い出すと、隣にいたコニーが慌てた様子で引き留めた。


 あ、やっぱ気があるんだ。コニーはよくミリーのことチラチラ見てたしな。でも同じ村の一つ上のお姉さんらしくて、弟みたいに扱われてるんだよな。道は険しいぞ、頑張れよコニー。


「馬鹿言ってないで行くわよミリー。またすぐ戻ってくるんだから我慢しなさい」


「うう……行きたくないニャ……でもみんなが心配だから行くニャ。リョウスケ、私の部屋の荷物をリョウスケの部屋に移しておいて欲しいニャ」


「あはは、部屋が目的の子はお断りかな? ほら、乾パンをあげるからお客さんを連れてきてよ」


 俺はそう言ってミリーが『おいしいニャ! 』と言って、よく部屋にねだりに来ていた乾パンを3つ渡した。


 隣でコニーがホッとした顔をしている。かわいいなぁ。


「やったニャ! 乾パンニャ! 任せておくニャ! いっぱい連れてくるニャ! 」


 ミリーは断られたことなんてまったく気にせず、渡された乾パンを目をキラキラさせて見てそう言った。


 ほんと猫みたいな子だな。


「んじゃ帰るか。リョウスケ、また10日後な! 」


「シュンランとミレイアも頼まれた物を買ってくるから。またね」


 レフさんとベラさんは、俺とシュンランたちにそう言って壁の入り口を潜っていった。


「ふぅ……忙しかったな」


 俺はそんな彼らが橋を渡るのを見送ったあと、ボソリとつぶやいた。


「フフフ、確かに忙しかった。だがとても賑やかで楽しかったな」


「毎日いろんなことが起こって楽しかったです」


「そうだね。二人は女の子たちに毎日いろんな部屋に呼ばれてたもんな」


 最初の頃は設備の使い方がわからないと、同性であるシュンランとミレイアが毎日のように呼ばれて疲れ果てていた。でもその分いろんな人と仲良くなり、一緒にジャンガをしたりしてすごく楽しそうだった。


「そうだな。次は彼女たちが連れてきた客に教えてくれるそうだから、少しは楽になるだろう」


「そうしてもらえると助かるよね。さて、10日後までに改装と増設を済ませないとな。門と橋も取り付けないと。忙しくなるな」


 門は部屋のドアの鉄板を剥がし、穴を開けてドライヤーのコードで木に縛りつけた3メートル四方の門を作った。そしてキッチンキャスターの車輪を外し、門を設置する場所の地面の溝に埋め込んだ。その車輪の上に門を滑らせて引き戸のようにして使うつもりだ。


 橋に関しては太い木で作った物を門の前に立て掛けて、壁の上からロープで上げ下げして堀の上に架けたり外したりする予定だ。重たいが俺の今の身体能力なら余裕だ。


 この一週は開けっ放しの壁の出入り口と架けたままの土の橋で、朝起きて神殿の扉を開けた時にEランクの魔物が敷地に入り込んでたからな。カルラさんが部屋の魔道具の燃料代って言って嬉々として狩っていたけど。


 でもオープンしたら夜に解体所で作業する人も多いだろうし、神殿の扉は開けっ放しにするつもりだ。そうなると安全をうたっている神殿内に魔物が入り込んでくるし、倉庫にあるお客さんの素材も狙われる。だから壁の出入口を塞がないわけにはいかない。


「私たちも準備をお手伝いしますからなんでも言ってください」


「ああ、また色々とお願いするよ。それじゃ部屋に戻ろうか」


 俺はそう言って二人の椅子を押しながら神殿へと戻った。


 その後は狩りには行かず、三人でゆっくりした。そして夕方になりお風呂から出てきた二人は、ショートパンツとTシャツ姿に戻っていた。


 俺は二人の機嫌が完全に直った事に安心し、ゲーム中に押し付けられるミレイアの爆乳の感触と、二人の胸の先端にある突起を眺め至福の時を過ごしたのだった。


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