第33話「見えざる手」


アダム・スミス。


イギリスの経済学者で、非常に民主主義的な思想を持っており、現代でも通ずるとこのある経済理論を展開していた人だ。



「まぁ簡単に言えば、ライバルがいれば、自然と値段や質が顧客にとって良いものになるという感じかな。まるで、見えない手で操られているかのように」



確かスミスの考えってこんな感じだった気がする。


ちなみに自信はない。



「ほほう。そこから見えざる手ってのが生まれたわけなのね」


「まぁそうですね」



ということで、エマにも納得してもらいました。



「んで、パルマはその理論でゴリ押そうとしているわけ?」


「はい、エマ様」



まぁスミスの理論だと、基本的に民間と民間同士の争いを想定していて、むしろ行政などのお国は口出しするな(市場に介入するな)と言っているのだが・・・まぁいっか。


その後も会議は続いたが、正直言って、大人の話しすぎた。


それに溶け込む同い年のパルマを見て、俺も必死に溶け込もうとするが、なかなか浮いている感が消えなかった。


そんな感じで、会議は終了。


最終的に、


1、地区主導のインフラ整備に関する法案において、建設費用の半分を国が負担する。


2、上記におけるインフラの運営は、地区が行うものとし、国は一切関わらない。


3、あくまで公共性を重視する。



この三つを規則とし、同時にインフラ整備に関する法律も作られた。


この法は、何がインフラ整備となるかを示したもので、この法に書かれていることに関して、建設費用の半分を国負担となる、というものだ。


運営に関しては、地区が行い、得た利益を予算に計上する。


赤字になった場合が怖いけど、とりあえずこれで良いとしよう。


管轄は、インフラということで国土交通省にまかせた。


いやぁ、久しぶりに行政らしいことしました()。


ちなみに、行政のトップ様(エマ)はあくびをして暇そうにしてましたけど。


この無能さ、そのうち革命でもおきそうですね。むかしのイングランドみたいに。

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