第39話 「謙信の騎馬戦」色仕掛けに落ちるな!
大阪に住んでいた。
ボクが小学校5年生の時に両親は離婚した。
転校した新しい小学校では理不尽な虐めにあった・・・・・ったく理不尽やったなぁ・・・
その後、母さんはヤクザの情婦にされてしまい、アパートはヤクザのヤサと化していった。
ガラっと押し入れを開けたら、日本刀、散弾銃が立てかけてあった・笑。
・・・・いや、マジでアカンって・・・・笑。
子供心に、これは、ホンマもんのアカンやつやって思った・笑。
んな、社会の底辺でジェットコースターのような日々を送った。
・・・・・中学1年生。
ボクたち母子は逃げた。「夜逃げ」や。
逃げた先は、ヤクザの追跡を恐れて、縁も所縁もない場所を選んだ。
それが、この北陸の田舎町やった。
北陸。
加賀前田家の領地となる以前には、義経が東北へ、平泉に落ちて行った時の経路の場所や。各所に「義経伝説」が残っている。
歌舞伎で有名な勧進帳「安宅関」もこの地にある。
その後は上杉謙信と織田軍・柴田勝家がしのぎを削った歴史絵巻豊かな地域や。
・・・・その中にある、小さな都市部にある中学校にボクは転入した。
田舎に転校して驚いたことはいっぱいあった。
テレビがなかった。いやテレビはある。・・・・でも、番組がなかった。
ここではテレビのチャンネルが4つしかなかった。そのうちの2つはNHKや。民放が2チャンネルしかない。
よく、野球中継を観てて、時間が9時になると「一部の地域を除いて、野球放送を延長します・・・」ってなアナウンスが流れる。大阪にいるときには、これが何なのか考えたことがなかった・・・・が、ここがその一部の地域やった・笑。
9時になると、ブッツリと、阪神タイガースが消えた・笑。
セブンイレブンがなかった。・・・・いや、マクドも、ケンタも、ファミレスも、なにもない。
店は、夜の8:00頃にはすべて閉店する・・・・ってか、ウドン屋さんくらいしかないからなぁ・・・・
道路の信号機すら、夜の9時には、黄色の点滅信号になって「勤務しゅうりょー」を宣言する。
・・・けど、一番驚いたのは・・・
メッチャ驚いたんは・・・・ビックリしたんは・・・・
この歴史絵巻豊かな場所の中学校には、歴史絵巻にちなんだ伝統行事があった。
それが・・・騎馬戦!!やった。
「騎馬戦」
そう、体育祭でよく行われる。騎馬戦。あれや。
・・・・しかし、ここではスケールが違ってた。
体育祭なんかで
「次は、3年生による騎馬戦ですぅ~♪」
なんてなことは聞いたことがある。
が、ここでは、体育祭において「男子生徒全員」による騎馬戦が伝統行事になっていた。
全校の男子生徒が二手に分かれての騎馬戦。
1学年が40人で14クラス。
40人×14クラス×3学年。
男子生徒は総勢840人、騎馬200騎以上。
100騎 対 100騎
戦・・・・文字通り 「戦」 が展開される。
ルールは、大将騎馬の持つ「軍旗」を奪ったほうの勝利。
各騎馬は、騎乗する武者たちの「帽子」を奪われたら負け。戦線離脱となる。
舞台は川中島の合戦。
ここは、上杉謙信公のおひざ元だ。
そこから、宿敵、武田信玄公との川中島の合戦が舞台となったと思われる。
男子生徒全員を二分。
1クラス~7クラス で1軍団
8クラス~14クラス で1軍団
で分ける。
それぞれの学年に大将を配置。
そして、3年生の大将が、上杉謙信、武田信玄に扮し総大将となる。
毎年、この大将人事が決定されると、両総大将は早急に首脳部を立ち上げ、両陣営に分かれて、陣形をはじめとした軍議が行なわれる。
また、敵の作戦をさぐる「情報戦」もはじまり、体育祭までの期間は異様な盛り上がりを見せる。
・・・・・そして、この人事は女子生徒には絶対の秘密であった。
「戦は漢がするもの」
女を巻き添えにするわけにはいかぬ。
男子生徒の中での異様な盛り上がり・・・・・
それは、そのまま女子生徒に伝播する・笑。
・・・・ってか、女子生徒の方が興味深々だ・笑。
大将人事は、神の声だった。
・・・・職員室から降りてきた。
・・・・・どーも、その年の「優秀賞」のようなもので、職員から、
「この生徒は、この一年がんばりました」
そういった評価で決まるんじゃないかと思う。
・・・・・で、当たり前だけど、言ってみれば、学年で一番の「人気者」の証・・・・・しかも、「職員室お墨付き」ってことになる。
・・・・・女子生徒たちが、気にならないはずがない・笑。
学校のいたるところで・・・・
「今年の総大将は誰なのよ!!!!????」
気の弱そうな男子が、強そうな女子数人に囲まれて詰め寄られるシーンが続発する・笑。
しかし、男子生徒は、一切他言をしない。女には明かさない。
これだけは、命に替えても守り通さなければならない漢の「秘密」なのだ。
この「秘密」を女ごときに明かした者は、男とは呼べない。ましてや漢なんぞと呼べない。
次の日から、田舎お得意の「村八分」ならぬ「学校八分」の刑に処される・・・・・これは死ぬより辛い刑である。
・・・・そして、地元に生息する限り、一生涯責め続けられるのである・・・・・
皆、必死の形相で、「強い女軍団」から逃げるのであった。
例え、女軍団に拉致られ、便所に連れ込まれ「ボコられ」ようと・・・・決して「秘密」は洩らさない。
あるいは、逆に、「色仕掛け」で迫られようと、決して落ちてはならない。
このときばかりは、学校内のパワーバランスは、逆転する。
異様に「その他大勢」組の、男子生徒がモテる・笑。
普段、教室で「その他大勢」
女子生徒たちから、ハナもひっかけられない「その他大勢」男子たちが、ここぞとばかりに「色仕掛け」で迫られる・笑。
迫る「女軍団」たちも、よくわかっている。
「女」に免疫のある、クラスの「主軸」ではなく、免疫のない「その他大勢」・・・・バレンタインには、お母さんからしかチョコをもらえない男子に集中砲火をくわえるのであった。狙い撃ちにしてくるのであった。
しかし・・・・たとえ、女の魔力に免疫のない「その他大勢」男子であっても、決して落城することはない。
われらが、男子生徒たちの英雄・・・大将の名は決して明かしてはならない・・・・体育祭当日まで、決して明かしてはならぬのじゃ・・・・・
ボクは転校してきた1年生の時は馬やった。2年生の時も馬やった・・・・上に乗る武者にもなれず馬やった・・・
それも、先頭、頭、首部分にもなれず、後ろにいる「足役」だった。
が、3年生の今年、ボクはなぜだか総大将の上杉謙信となっていた。秀吉もびっくりの大出世やった。
対する武田信玄には、生徒会長の長田がなっていた。
騎馬戦では、人事権を含めた全ての権限が総大将にあった。
ボクは、柔道部の横井をはじめとして・・・・・横井は富岡の幼馴染やった・・・・・各部から屈強の人員を集め、自分の馬、参謀とし、各種の編成、作戦の協議を行なっていった。
全てを極秘にするため、軍議を開く場所を確保するのも大変だ。
なんせ、敵の「間者」がどこに潜んでいるかわからない。変なところで開けば機密が筒抜けとなってしまう。
・・・・何より神経を使うのは「女」だ。
女共には首脳部の顔ぶれ自体が秘密であって、絶対に露見してはならないのだ。
教室。
クラスでは、平静を保って授業を受けた。
・・・・ボクは「その他大勢」生徒の筆頭だ。
女子生徒の誰も、ボクが、「今年の顔」
伝統行事、騎馬戦の総大将をやるとは思うまい。
同じ「その他大勢」組の、紺野、沖永たちと、いつもの窓際に陣取って外を見ていた。
関川がやってきた。
ボクの前机に腰掛けた。
「話は伝えといた」
関川が言う。
うん。と頷いた。
関川は野球部だ。エースだ。キャプテンだ。
3年生のキャッチャーに、ボクの馬役・・・後ろ足をお願いしたかった。それを関川に頼んでいた。
総大将の「馬」の人材は、そのまま、全軍の参謀本部を兼ねる。大事な人材だ。
なんせ、「戦」の間中、武具をつけたボクを乗せて、盤石な姿勢を保たねばならない。
参謀としての知恵と、大将騎馬としての強さ、体力を持ち合わせる必要がある。
文武両道の大事な人材を集めねばならん。
全ての人事は「総大将」に権限があった。
総大将の「馬」、親衛隊の人事。・・・・全ては職員室からの白紙委任だ。
敵は、長田生徒会長だ。
バスケット部キャプテンだ・・・・ってことは、バスケット部の人員は敵側だと思った方がいい。バレー部も同様だ。同じ陣営、同じクラスとはいえアテにはできない。・・・・情報が洩れる可能性がある。
我が軍の最大有力派閥は、野球部だ。・・・・キャプテンの関川が同じクラスだったのは助かった。
柔道部主将の横井が、富岡の幼馴染だったのも助かった。さっそく総参謀長として旗下に入ってもらった。・・・・なんたって、この学校で一番のツワモノといっていい。
柔道部、野球部、陸上部人材で、親衛隊、攻撃部隊主力を構成していく。
ここは横井のツテでようやく確保したアジトだ。
柔道部の、表部室とは違い、隠れ部室だという、誰も知らないポンプ室・・・・
張られたロープには、道着がぶら下がっている。
・・・・すえた匂い。男子中学生の汗の匂い・・・・そして、カビ臭さ・・・・さらには湿気が・・・・
とにかく最悪の場所だった・笑。
それでも、秘密軍議を開くには、もってこいの場所だ。
1年大将、2年大将、参謀・・・司令部全員が顔を合わせていた。
長テーブル。
ボクは上座に座っていた。
両サイドに、ずらりと、参謀・・・・各学年大将が陣取る。
「どうやら、敵軍は、単純に1年隊、2年隊、3年隊と軍を編成し、隊ごとの波状攻撃をかけてくると思われます!」
情報部に任命した、2年大将の河本が直立不動で報告した。・・・・・そう、陸上部の後輩だ。一緒に新入部員だった仲だ。
・・・・しかも、入った時にはボクより足が速かった、あの河本だ。
けんめいに、敵の情報を探っていた。
「フン、長田らしいわい・・・・」
ボクの馬役で参謀総長、柔道部の横井が吐きすてるように言った。
敵の総大将、武田信玄役の長田とは小学校も一緒だった。ストレートな直情型のヤツなのはよくわかってると言った。
・・・・なにより、横井の口ぶりに、長田への嫌悪感があった。
地元有名企業の御曹司。
バスケット部キャプテン。
成績優秀。
完全無欠の生徒会長。
・・・・・しかも、長身・・・・・イケメン・・・・・
ワーキャー・・・・と、女どもの嬌声の的・・・・
もっさりとした柔道体形の横井が嫌悪するのは、よーーーーーーくわかる・笑。
ってか、長田は・・・・
バスケット部、バレー部以外の・・・・この学校の「非主流派」生徒たちにとっては、目障り以外の何ものでもない。
・・・・言ってみれば、ボクをはじめとした、この陣営は・・・長田をはじめとした主流派に対して、正面から、正々堂々と刃を向ける「非主流派」生徒たちの希望の星軍団なんだろう。
その空気は、痛いほど感じていた。
サラブレッド 対 駄馬
地元の貴公子 対 流れ者の関西人
虐めっ子親分 対 イジメられっ子の期待の星
・・・・そんな、各種の形容詞が乱舞していた。
「アホな奴よのう・・・・」
ボクは呟いた。
1隊、1隊の波状攻撃だと・・・・・?
それでは意味がないのだ・・・・・・
なぜ、各学年に大将がいるのか・・・・さらにその上に総大将がいるのか・・・・
それは、この騎馬戦が体育祭の「華」であるからだ。この学校の・・・・この地の伝統行事であるからだ。
ただ、たんに攻撃するだけなら・・・突っ込むだけなら、ただの騎馬戦でしかないではないか・・・・
この騎馬戦は伝統行事なのだ。だとすれば「勝った負けた」単純な勝負事ではなく、・・・単純に勝敗を決するに意味があるものではないのだ・・・・・
最も重要なのは、その決着に至る過程といった物語性なのだ。
・・・・そんなこともわからんのか、貴様は生徒会長であろうが・・・・この単細胞が!
・・・・ならば・・・・ならば、ボクが物語をつくってみせる。歴史を作って見せる!そして、勝つのじゃ!
フフフフ・・・・・ファッハッハァ~~~!・・・・とは、心の中で笑った。
上座。
腕を組んで目を閉じていた。
黙って各々の報告、意見具申を聞く。
目前で、学年大将、参謀たちの激論がかわされている。
「敵が、一気に総攻撃に出るのであれば、我が軍も、それに呼応すべし!!」
「否!わが軍は、全軍を防備とし、守り勝つが正しかろう!!」
意見は出そろった。
決すべき時である。
カっと目を開く。
口を開く。
「下知を下す」
一同が静まり返ってボクを見る。
「3年隊を全て防御部隊とする。・・・・さらには、3年隊から屈強な6騎を選び、親衛隊とする」
3年隊全てを守備に回し、敵軍の攻撃の防御とする。
敵は、1年隊、2年隊、3年隊の波状攻撃・・・・つまり、隊ごとに攻撃をかけてくる。
であれば、1部隊を防御専用部隊として完全に専任させておけば、その局面局面では、戦力は互角になる。
そして、1年生と3年生では、まったく比較にならないほどの体力差がある。
ならば、我軍の防御を3年隊とすることでほとんど損傷がでないはずだ。相手が2年隊であっても、それは同じであろう。
・・・・問題は敵の3年隊だが・・・・攻撃と防御が同じ戦力なら、防御側が圧倒的に有利であるのは戦の常識。
「攻城戦」は、攻撃側3倍の法則。
防御を固められた場合の責め側には、守勢の3倍の戦力が必要とされる。これは軍学の基礎である。
・・・・であれば、3年隊、全てを「防御部隊」としてしまえば、理論上は、相手全軍を相手にしても守り切れることになる。
敵軍、1隊、1隊が攻めてきたところで、何を恐れることがあろうか。
・・・・もし、もしも・・・・万一・・・・敵軍が、この防御陣を突破してきたとしても、そこには我軍の精強な親衛隊が待ち受ける・・・・
これで我軍の負けはない。
・・・・ニヤリとボクは笑った。
「おぉぉ・・・・・」
ため息交じりの声。
なるほど・・・・・と、感嘆した、恐れ入ったという我が軍の首脳陣の顔、顔、顔、そして顔。
「次に攻撃隊であるが・・・・」
敵は3隊による波状攻撃をかけてくる。
・・・・・であれば、常に1隊が攻撃をしかけ、残りの2隊が退却中であったり、攻撃準備中であったり、防御役にまわったりするわけだ。
つまり、敵軍には
「防御専任部隊」が存在しない。
ならば、どこかで、攻撃中の1隊とは別の、残り2部隊を足止めできれば・・・・あるいは誘い出せれば、敵総大将、武田信玄・長田は丸裸になる・・・・・
「会田!」
はっ!と、1年大将が返事をした。
軍議を重ねていくうちに、言葉遣いもそれらしくなってくる。皆がこの伝統行事の主役に選ばれたことを誇りに思い、そして陶酔していた。
「1年隊は全てを攻撃部隊とする。全員の掌握に努めい!」
「はっ!」
「河本!
2年隊も全て攻撃隊とする。・・・・さらに屈強な騎を選んで特別隊の編成をせよ。数は4割。これが我軍の攻撃隊主力だ。それは河本自らが直接指揮。残りは全て会田の指揮下に入れよ。
念のため、その指揮として副将を決めておけ!」
「はっ!」
敵は、全軍を攻撃隊とし、1隊づつの波状攻撃をかけ本陣めがけて突撃してくる。・・・その、敵の攻撃隊は我軍3年守備隊で完全に抑え込む。
・・・・そしてだ。
残りの退却中であったり、攻撃準備中だったりの2部隊の正面に、こちらの会田率いる攻撃隊をこれみよがしで展開してやる。
そうすれば、敵には本来「防御部隊」という意識がないのであるから、眼前の敵に色めき立ち、突っ込んでくるに違いない。
その時、敵の総大将・長田は丸裸となる。
そこを、河本率いる別働隊、攻撃隊主力で、戦場を迂回し総大将のみを獲りに行く。
これが、我軍の作戦だった。
完璧だ・・・・これで我軍の勝利は間違いない!
教室。
今日もボクたちは窓際にいた。
クラスの中央には、志村たちバレー部閥、バスケット閥が陣取っていた。
志村は、クラスの中心だ。
1年生の時、志村が学年大将をやっていた。・・・・学校が、職員室が認めた人気者の証だ。
志村の周りに女の子たちも数人いる。
・・・・ボクたちの窓際とは違って華やかなもんだ。
そこに、高原 舞 もいた。
もう、志村と高原は付き合ってることも隠さない。
毎日、仲良く登校してきていた。
ボクは・・・・クラスでは、「昼行燈」よろしく、落ちこぼれを演じた・・・・いや、事実、落ちこぼれやったけどな・・・・笑。
同じ「その他大勢」組の、紺野、沖永と窓際族を演じていた。
関川の野球部閥も一緒にいた。
・・・・そして、放課後。
最高司令官・・・・この学校を二分する、総大将として軍議の日々を送った。
高原を見ていた。
・・・・ボクが、今年の「総大将」だと知った時、高原はどんな顔をするんやろう。
もちろん、誰にも明かさなかった。
奈緒子先輩にすら明かさなかった。
授業が終わった。
・・・・今日も、これから軍議や。
廊下を歩く。
放課後の喧騒。
右に左に生徒たちが咲いている。
詰襟の学生服。
ズボンのポケットに手を入れて歩く。
・・・・前から歩いてくる・・・・・背の高い学生服。
長田やった。
対峙した。
ポケットに手を突っ込んだ身長163cmのボク。
スッとした姿勢。身長185cmの長田。
周りの男子生徒たちの時間が止まった。
緊張感が走る。
女子生徒たちは、何も変わらない。
嬌声を上げながら通り過ぎていく。
目が合った。
睨み合うことはない。
長田が笑っている。微笑んでるようにさえ見えた。
「お前ごときが、オレの相手を務めようというのか・・・・・? 関西からの余所者風情が・・・・・
貴様ごときが、この地を治めるオレの相手をするというのか・・・・・?」
余裕の笑みを向けてきた。
学校の廊下。
ボクと長田。
上杉謙信と武田信玄の対峙が続く。
アジト。ポンプ室。
しけった。すえた匂いや。
我が軍、首脳部全員が集まっていた。
何度も、軍議を重ねシミュレーションを行った。
まさか予行演習をするわけにもいかない。机上のシミュレーションがすべてやった。
おそらく、本番では計算どおりにはいかないはずや。
長テーブル。
上座。
立ちあがった。全員を見渡した。
視線が集まる。
口を開く。
「とにかく、冷静に命令を聞くことを心せよ!」
両軍、総大将にはマイクが渡され、それで命令を伝達することになる。実際、その場の興奮、雰囲気などで、暴走することは想像できた。・・・・毎年、そんなことが起こる。
「よいな!!!いかなる場合も命令をよく聞け!!
・・・・そして、・・・・何より、・・・・我ら、学校の「非主流派」の意地をみせてやろうぞ!!
虐げられてきた、我ら「その他大勢」組の意地を見せてやろうぞ!!
ここは、合法的に、長田らを葬ってしまえる場ぞ。
長田を・・・・信玄公を完膚なきまでに打ち果たすのじゃ!! 」
「おおぉーーーー!!」
全員が勝どきを上げた。
人事は尽くした。
あとは、天命を待つのみ!
・・・・神様・・・・どうか・・・・奇跡のプレゼントをください・・・・・笑。
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