王子様の王子様
三郎
1話:出会い
リーリエ女学園。由緒あるお嬢様学校であるこの学園の高等部二年、
身長182㎝、スラッと伸びた長い手足、色気のあるハスキーボイス、中性的な顔立ち、それを映えさせるショートカットにした黒髪、類稀なる運動神経の良さ—
彼女のあだ名は王子。そう。いわゆる女子校の王子様である。
そんな彼女の側にはいつも姫と騎士が居た。
「…明日から二人と登校時間ずらそうかなぁ」
そう呟いたのは
ツインテールにしたサラサラの長い髪、低身長、童顔で可愛らしい顔立ち、人を癒すような可愛らしい声——
——に、似合わない男勝りな性格、荒い口調、謙遜しない態度。それ故に、見た目は姫でも中身は山賊などと言われる始末。しかし本人は気に止めることなく我が道を行く。故に敵も多いが、同時に隠れファンも多い。
「それ、毎日言ってますね。もも」
もものお決まりの台詞を聞いて苦笑いする、水蓮とさほど身長の変わらない長身で黒髪ロングの女性は
この学園の生徒で三人を知らない人はいないと言っても過言ではないだろう。
「…あの、リーリエ女学園の方ですか?」
「ん?」
彼女達に声をかけてきたのは彼女達と同じ制服を着たセミロングの女子。リーリエ女学園の制服は初等部、中等部、高等部で違いがあり、学年ごとにリボンの色が違う。女子生徒のリボンは赤。一年生だ。
「私、今日からリーリエの生徒になるのですが…その…道に迷ってしまって」
「じゃあ、一緒に行こうか」
「ありがとうございます。私は
「私はリーリエ女学園高等部二年の結城水蓮。こっちは私の幼馴染の姫野ももと、菊井のばら。私達は幼稚園からずっとあの学園に通ってるから、学園のことで何か分からないことがあったら何でも聞いてね」
「はい。ありがとうございます」
親切な先輩に出会えて良かった。そうホッとする美桜だったが——
「水蓮様!おはようございます!」
「おはよう」
学園に入ると黄色い歓声に包まれる。まるで王族を迎えるように、すれ違う人達が道を開けていく。
「…あの、結城先輩って…一体…」
「通称、リーリエ女学園の王子」
「お、王子…?」
「そう。で、こいつが騎士」
「き、騎士…?」
「…周りが勝手につけたあだ名です」
「そして私が姫だ」
「あぁ、姫野だからですか?」
「可憐なお姫様だからに決まってんだろ」
「見た目だけでしょう」
「見た目だけって言うなよ。中身も可憐だろ」
「何処がですか…おてんば娘」
リーリエ女学園の王子、騎士、そして自称姫—彼女達は、リーリエ女学園では知らない人は居ないほどの有名人だった。そんな彼女達と一緒に登校してきた転入生もまた、瞬く間に有名人になっていくのであった。
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