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「かなり、状況がひどい。手術する必要がある」
「わかった! 」
彼らは患者の状況を見て直ぐに手術が必要だと判断した。院内の廊下を全力で駆け抜ける。
彼らは手術室へと入った。計測機器が患者の身体に次々と取り付けられ、手術用の道具類一式が一列に並べられる。緊急オペが始まろうとしている手術室には、目の前の人の人生をここで終わらせるわけにはいかないという医師たちの意地のような熱い執念が立ち込めていた。
「これより緊急オペを開始する」
咲也はそう宣言すると、念力で道具を手に取って必要な手術を始めた。医師たちは外傷の状況を見ながら必要な処置を手際よく行い、ナースたちが道具の交換と患者の容体を機器でチェックしている。道具は医師たちが使う念力魔法で宙を飛び交っている。
「大丈夫ですよ。いま助けますからね」
咲也は誰にいうわけでもなく呟く。彼は救える命は全て救いたいという信念のもとに、目の前の患者を救おうと全力で戦っている。
二時間近くが経過した。彼らは手術を続けていて、患者の容態はようやく安定し始めていた。
「よし、これでもう大丈夫でしょう」
一人の医師がそう言う。他の医師たちも患者の容態を確認して、安定に向かっているのを確認し、同意した。
手術中だと言うことを知らせるランプが消えた。咲也たちは患者を別の場所へと移した後、手術で着いた汚れを取って手を洗っていた。すると、そこにスタッフがやってきた。
「足立先生、患者様のご家族がいらしてます」
「直ぐに行きます」
咲也は優しくスタッフに返事を返した後、急いで手を拭いて通路を駆け出した。
咲也が手術室前の自動ドアを出るとそこには患者の家族がいた。様子を見るに患者の妻と息子と娘の三人で、彼女らは心配そうな表情を浮かべながらドアの向こうから現れた咲也を見つめた。
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