2023.01.20 共通テスト

 先日、全国共通テストへ娘ちゃんを送ってきました。土曜日に車で娘ちゃんと嫁さんを乗せて1時間ちょっと。


 大学の校門に高校の教師さまが2人見張りに立っておられました。車内でずっとオリジナルの記憶歌みないなものを口ずさむ娘ちゃん。


 あたりには私服や制服の学生がいましたがジャージ姿で前髪をきっちり分けて天才風髪型でキャラ付けした娘ちゃん。


「頭良さそうに見えるわ」と自分でいってました。何のキャラかは分かりません。面接もないし会場には同じ高校の生徒たちばかりなので何の効果もないと思いますけど(笑)。


 なんかドキドキする俺と嫁さんです。娘ちゃんを降ろしたあと近場でコーヒーでも飲もうとイオンに車を止めました。


「前のテストの時は終わってすぐ怒りと涙で爆発したから、電車でひとりきりで帰らすのは危険かもよ」


 嫁さんはマックのコーヒーをすすりながらいいました。「寝るとき慰めたのは弟くんだったけど私が帰宅してからはずっと怒ってたんだから、何を言っても無駄だった」


「まさか、考え過ぎじゃない?」


「私だとぶちギレるのよ。頑張ってっていえば、もう頑張ってるっていうし、切り替えてっていえば、何をどう切り替えるんだって怒鳴るんだもん」


「名前を呼んで応援する以外はないのか。弟くんはどうやって慰めたんだろう」


 確かに公募推薦で落ちた日は半端なく落ち込んでいて俺も会社を早退して娘ちゃんを連れ出し焼き肉を食わせた記憶がある。


 そのあとは二人で映画〈雀の戸締まり〉を観て帰ったのだ。考えたら元気になるまで大変だった気がする。息子くんはカーテン一枚でそんな娘ちゃんと同じ部屋なのだ。


「まず……落ち込むのは当然だって言ったらしいよ。ほら、あいつサッカーで負け続きでよく挫折感味わってるから(笑)」


「へぇ、当たり前のことを繰り返しいうもんね、弟くん。それが良かったのかな!?」


 部活やってるやつは精神的に打たれ強くなるのかもしれない。強くなりすぎた人とは仲良くなれない気もするけど。


「それで、気分が悪いのも当然、だから気分が良くなるまで休んでいいんだよって」


「うんうん」


「お姉ちゃんなら、それから始めたって絶対に間に合うから大丈夫だよって言ったらしい」


「い、イケメンだね」


 凄いじゃないか、弟くんも。みんなまゆから蝶になるときがくる。それは挫折感とトラウマを知って、しなやかさを身につけるときだと思う。


 生きていれば息をするのも生きているのも辛くなるような地獄のような気分を味わうこともあるかもしれない。


 出来ることと出来ないことを学ぶ。それでも前の自分に戻りたいとは思わない。自分を探してジタバタすればいい。


 十代はすぐに終わる。でも十代のときほど生きていることを実感することはない。腹の底から笑うことも死ぬほど泣くこともなくなる。


 失敗すること、後悔することは十代の特権だという人がいる。永遠に思える一瞬がある。自分一人で初めて行動するのだから。


「……だからさ、映画みてくるわ」


「えっ?」このイオンモールにはシネマックスが入っているのは入口でみていた。


「初めてなの……だから、わたし映画を映画館で一人で観るの初めてなんだよ」


「知らなかった。アラフィフの嫁ちゃんは、産まれて初めて映画をひとりで観るの?」


「う、うん」今さら何のカミングアウトだろうかとも思ったが少し照れたような顔だ。「なにぃ? 必要に迫られなかったんだから仕方ないじゃない。わたしは忙しいのよ」


「誰もせめてないけど。なんの映画を観るの? 八時間はイオンで潰せないと思うけど」


「雀のやつ観てくるわ。あなたは娘ちゃんと一回見たでしょ。二度は観ないよね」


「じゃ俺はアバターみていいかな。スリーディーだし三時間二十分も時間を潰せるから」


 イオンの商品を全部みてイオンで昼飯を食べて映画をみてコーヒーを飲んで近くのケーズ電気をみてセカンドストリートをみて、娘ちゃんを迎えに戻った。


 ヘトヘトになって疲れた。娘ちゃんも疲れて腹ペコだ。嫁さんと娘ちゃんは雀の戸締まりの感想を話ながら車内で盛り上がった。


 アバターの話は一度も振られなかった。誰も興味がないようだが何気に面白かった。いつか続編も観てやろうと密かに目論む俺だった。


 共通テストどうやったんと思うが感想などない。正解か誤りか答えが分からず、正解だと思われることを書いてきただけだから(笑)。


 



















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