後悔日誌 GENESIS

2022.01.03 ヒーター内蔵ベスト

　あけましておめでとうございます。大晦日と三ヶ日はしっかり休みました。

　振り返ると大晦日は、モールで蕎麦と山芋となめこを買ってボーッとしてる間に、息子くんと娘ちゃん達がGUでダウンを買ってました。四千円位なのに、すっごく温かいと自慢してきます。

　大きめを着るのが流行りのようで。ハッキリ言って「肩幅デカすぎね（笑）」とか「隙間風はいって寒くね？」って思いますけど、気に入ってるのに水をさすのも悪いし、まあまあ安くて助かるので黙ってベタ褒めしております。

　元旦は嫁さんの実家へ、二日目は自分の実家に挨拶してきました。子どもたちは受験があるとか何とか理由を付けて、家から出ません。

　親だけで行って、親が親からお年玉を預かってくるシステムです。去年から、正月だからって行かなくてもいいような雰囲気になっちゃったんですよね。

　じっさい受験生の息子くんは、元旦から毎日のように朝から昼まで塾に行ってます。早朝に起きるリズムは崩さない感じでしょうか。

　こちらも早起きして分配したテレビにブースターを付けたり、家族の電気毛布や加湿器を引っ張り出したり、家のことやってました。

「息子くん、塾にジャージで行くの寒くないの。これ着たら？」

「いいよ、ダサいし。この間買ったGUのダウンあるから大丈夫だよ」

「中川大志カラーのやつ、そんな温かいんだ」

「カッコいいし、ちょー温かいよ！」

　今日は、友人とディズニーランドに行く娘ちゃんを駅まで送ってきました。色々やってると休みも一瞬で終わりますが、早朝のせいか、この冬は寒さが堪えます。

「娘ちゃん、ちょっと薄着じゃない。カイロ貼っていけば？」

「昨日買ったGUのダウンが温かいから大丈夫だよ」

「でもタイツとか履いてないと足腰が寒いでしょ？」

「いいってば、ダサいし。私もパパに似て寒がりだけど、これ可愛いし温かいから！」

「……」

　そうか、そうでしたか。おしゃれで温かいアイテムをゲットした君たちは、ダサいパパのファッションセンスを馬鹿にし、意見も無視して、毎日楽しそうに暮らしてやがるってことですかっ！！

　自分がミスター寒がりだってことを忘れていました。昔から寒いのが辛いんですよね。今年は特に寒いから――電気毛布も自分のだけ一ヶ月前に出してダニパンチ（ダニが死ぬ強力な熱さ）に設定して寝てますよ。

　私服もたしかに格好悪いです。下着を二枚着て、靴下も場合によっちゃ二枚履いて、ももひきの上に裏ボアでダボダボのズボンを履いています。着ぶくれした上に室内でもマフラーを巻いています。

「！！」

　お、俺、も、もしかして……寒いことを言い訳に、一緒に歩きたくないタイプのおっさんになってしまっていたのか。

　うちの子供たちは、素直でいい子で反抗期もほとんど無いけど、もしかしたら「こんなダサい父親に反抗したところで何の意味もない。時間の無駄だ」と思われていただけ――。

　GU（ぐう）！　もといOU（おう）！　おっおう！！　ひいっットバデット！　ウルトラライッ……ダウン！！（意味不明）

　娘を駅に送ったあと、俺は車を走らせていました。寒い朝にいつも、アレのことを考えていました。アレさえあればこんな寒さ、吹っ飛ばせるのに。アレさえあれば、薄着で生活できるのに。アレさえあれば……。

　そう、アレとは『ヒーター内蔵ベスト』であります。ビバホームではこのベストとバッテリーと合わせて五千円以内で購入できるのです。

　下調べっつーか、ずっと気になってました。これによって、俺はシャツ一枚にベストという薄着（おしゃれ）で外出できてしまうのです。

　今日初めて着てみましたが、温かいです。バッテリが少し邪魔くさい感じはしますけど、ポカポカです。

　心に余裕ができました。よくよく考えたら頼りない父親でも反抗期がないほうが全然いいです。俺の勝ちですね。