2021.06.06 ハンガーゲーム
「鏡見てると本当に自分が可愛く見えるから駄目よね。実物より美人に見えるわ」
バイトに行く準備でメイクをしながら娘ちゃんが言った。アイラインがきっちりしていてハンガーゲームの主人公カットニスみたいだ。
「森の魔女が親友の鏡に向かっていうセリフみたいだね(笑)」
「毒リンゴ食わされたい?」
「……いや、実物のほうが可愛いよ」
「鏡も、録音した声も実物より良く感じるから、困るのよね」
「とにかく凄い自信だね(笑)」
ハンガーゲームをご存知だろうか。日本ではあまりヒットしなかったが、世界的にはヒットし続編含めて四作もの映画が作られた。
この主人公カットニス役のジェニファーローレンスが美人であるのは間違いないが、化粧をすると35歳に見えてしまう。アイラインが怖いのが原因だと思う。
貧困する12の地区に別れた世界。中央には独裁国家があり富裕層が住んでいる。
長い戦争があった後にこの国家は二度と争いを起こさないよう、各地区から子供を2人ずつ選出させ、最後の一人になるまで殺し合いをさせるという見せしめをしている設定。
テレビで全国民がリアルタイムで観戦することで平和が保たれている。何言ってんの? と思うだろうがそういう説明だった。
単なる娯楽なのか自分たちより不幸な人を見るのが気持ち良いのか、地区を対立させたいのか理由はよくわからないデスゲームである。
ある日カットニスの妹が、第12地区のメンバーとして選ばれてしまう。12~18歳の子の中から選ばれるというルールだ。
前夜、12歳で選ばれたら死ににいくようなもんだからカットニスは妹に「選ばれるわけないわよ」と励ます、が直ぐに抽選に当たる。
選ばれたら怖いと震える妹に、市場でもらったブローチを手渡す。このお守りがあれば大丈夫よというが凄い確率で妹が当たる。
苦難というかデスブローチというか(笑)。
カットニスは立ち入り禁止の森で狩りをする弓の名手である。すぐに飛び出して妹の代わりに志願を宣言をする。
見ている富裕層はそういう話が好きだから大歓迎。応援で盛り上がる要素があると、スポンサーがついて収益が上がるからだそうだ。
志願はアリなのか、と驚くのはまだはやい。俺は試合開始後に四~五人で同盟を組む連中がいることに驚いた。
24人参加のデスゲームが開始されると同時に3分の1近くがその場で殺しあい、人数が減っていくのに……同盟はアリなのか。
こんなペースで殺しあうなら、本当に一時的な同盟であって落ち着いて会話なんかしていられないと思うのは俺だけだろうか。
疑心暗鬼になるはずの一時同盟チームなのに仲良く殺しを楽しみ、カットニスを追い詰めるシーン。木に登り紐で括って寝るカットニス。
降りてきたら殺そうと、木の下で仲良く寝るチーム(笑)。蜂の巣を落とされて撃退される。このように残念な流れが続くのだが、実際は子供どうしなのだから仕方ないのだ。
厚化粧で35歳に見えたのがいけない。他にも18歳まで訓練してきたプロもいるなんていうからハードルがあがってしまったのだ。
よく比較されるバトル・ロワイアル。あの藤原竜也は素晴らしかった。森の中から現れた彼は全身血染めの包帯を巻いていた。
棒を杖によたよたと歩みながら、一度は杖を掴む手を空振りする。なんて自然で役になりきった演技だろうか(笑)。
ドリフターズの爆発コントをリアルにしたようなその姿に、俺も娘も腹を抱えて大爆笑した。何度みても笑える永久保存したい名シーンだ。
バトロワは二作目が駄作すぎたが、ハンガーゲームは四作もある。勝者のみで始まる本格的な第75回ハンガーゲームもある。
異例の展開でカットニスと共にピータという同地区の男の子も生き残った。二人が電車で地元に帰るエンディング。
「戻ったら僕たちは?」
「分からない。きっと忘れたほうがいいよ」
「……忘れたくないよ」
地区の皆さんと妹に手をふり歓声を浴びるカットニスとピータ。忘れたくないよ(笑)。ハンガーゲーム2、ハンガーゲームレジスタンス、ハンガーゲームレボリューション。
四作を見て一番の名シーンは、ピータの「忘れたくないよ」に決定します。長い時間取れないかたは一作目ラストだけご覧ください。
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