2021.04.19 助太刀屋助六
「何とも言えないいい感じ」
そんなナレーションから入るのは他人の仇討ちを助太刀することに生き甲斐を感じる助六という男の物語である。
侍に頭を下げられ金を貰うのは下人にとっては気持ちの良いものだったに違いない。昨日見た岡本喜八監督映画『助太刀屋助六』を紹介しようと思う。
ナレーションで入り静止画でタイトル。軽いノリのジャズで始まる爽快アクション時代劇という確立されそうでされていないジャンル。
江戸時代、故郷の上州へ七年ぶりに故郷へ帰る助六は仇討ちを助太刀する助太刀屋を生業とする。そんな職業は存在しないからこそ大いに想像の余地がある。
後から助太刀屋のオジさんが二人出てくるのは用心棒という職業。助太刀だけを生業にするのはかなり無理がある。
他人の仇討ちを手伝うのは「何ともいえない良い感じ」だそうだ。侍の助太刀を頼まれ多額の金銭を手にしたり感謝されたり。
竿竹を持ってジャッキーチェンばりに暴れまわる真田広之がうける(笑)。人殺しはしなそうな雰囲気に好感触なキャラ。
さらに役人のお相手をさせられそうになる鈴木京香とその婆さん岸田今日子。
助六が24歳に見えないし、お仙役の鈴木京香がおぼこというのは無理がありすぎる。江戸時代はみんな老けていたのだろうか。
故郷の小さな宿場町。幼なじみの太郎は現在番太として働いていた。此処で仇討ちされたのが助六の実の父親だと分かると、三人ばかり斬らねばならぬと箱庭暗殺ゲームが始まる。
意外と平気で人殺しをする助六。年代的に出血が少ないのは規制ではないと思う。チャンバラで斬られては簡単に死ぬのは現代の海外ドラマを見慣れているとリアリティに欠ける。
「かたきっ!」斬るたびに決まった台詞が用意されているのは使えそう。
「かたきっ!」台詞だけで何人斬ったか分かるシステムは小説向きだと思ったり。
場面ごとに面白いと思わせるところはあるが、つながった時に何故か完成度が低いと感じるのは展開がよめるからだろうか。
幼少期のシーンや他の助太刀シーンを丁寧に伏線として張るべきだし、多少はお約束から観客を裏切る展開も必要だと思う。
悪役(岸部一徳)もコミカルでラスボス的には弱すぎて他愛ない。鈴木京香とのカラミも中途半端で、たいした思い出もないのに再会してすぐに口付けするのも謎だ。
岡本監督は漫画家としての才能があるようで場面の分かりやすさと絵面のインパクト、決め台詞などが見所だと感じる。
不正役人たちに挑んでいく展開。日本を代表するアクションスター真田広之が冒頭から飛んだり跳ねたりのひょうきんアクションも見所。
撃たれたふりで馬に乗せられ、お仙と共に去っていくハッピーエンド。いわゆるお約束が想像の範疇を越えない。まあ、個人的には好きな部類だが作品としての評価は低いだろう。
早朝からサッカー部の試合を2つこなして帰宅した息子ちゃんは、午後から別の友人と映画を見てきた。相変わらず、すごい体力。
「面白かったよ」
「何を見てきたの?」
「名探偵コナン!」
なんかもっとあるだろうと言いたくなるが、何故か子供たちに絶大な人気を誇るコナンくん。俺はお約束の名台詞を聞いた。
「真実はやっぱり一つだった?」
「うん。真実はいつも一つ!」颯ちゃんは体を揺らしてポーズをとった。
「やることは子供、精神年齢も子供、アニメのTシャツばかり着てる、みためは大人、口の臭い大人、キモイ探偵パパっ!」
「や……やめてくれ、お約束は」
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