2021.03.016 バナナ泣き 

 長らく見てきたアニメ『バナナフィッシュ』もついに最終回。原作はかなり古いと思っていたが、まったく古さを感じさせない展開だった。


【ネタバレ注意です。これから見る人はブラバしてくださいね】


 アニメ用にリライトされているのかもしれないが、緊迫感あるストーリーは引き込まれた。ラストにはアッシュと英二の友情にうるうるきている俺だったが……。


「うわあああ~ん。アッシュ~!!」


 隣で号泣するふうちゃんに若干ひいている。住む世界が違うと別れに顔を見せないアッシュ。そんな彼の気持ちを誰より理解した英二の手紙。


 自分より強い君を僕は守りたいと思った。力も強いし頭もいいし体も大きな君を守りたいと。流れる運命から守りたいと思ったんだ。


「うわあああ~ん。アッシュ~!!」


 手紙を読んだアッシュは空港へ向かう決心をする。運命は変えられるのだ。だが一瞬みせた隙をギャングのナイフが襲った。


「うわあああ~ん。アッシュ~!!」


 英二は知らない。図書館でひとり、手紙を見つめながら死にいくアッシュを。どんなに離れていても僕らは親友だ。必ずまた会えると信じて、飛行機は飛び立つ。


「うわあああ~ん。アッシュ~!!」


 図書館の日差しのなか、倒れたアッシュは幸せそうな顔をしていた。今までの悲しみや苦しみから解き放たれたように笑顔だった。


「うわあああ~ん。アッシュ~!!」


「うるさいなっ!!」俺は満を持して言った。「そこまで泣くなよ。うるっとして、しんみりするシーンだってのに泣きすぎだよ。何なの、何でそんなに泣いちゃうわけっ!?」


「だっでェェ……パパは分かんないよ。ぐすっ。パパは男だから、男どおしのあっさりした別れだと思ってるかもしれないけどさ……ぐすっ……私はカップリングでびでるがら」


「はあ?」


「だから、アッシュと英二は性別を越えて結婚すると思って見てるから、私」


「……なに?」


「だから、そうゆう目で見てるから泣けるんだってば。でも私はBLは大嫌いだったんだけど、バナナフィッシュだけは違うのよ」


「……うん。なんかもういいや」


「だからさぁ、ギャングでボスやってたら心から理解される人なんか英二しかいないでしょ。それがたまたま男の子だっただけでさ」


 成長したのだな、娘ちゃんよ。パパも涙が止まらないよ。だが父親にそんな解説はしなくていいんだぞ(笑)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る