2021.02.01 覚醒ゼータの鼓動

 今は動けない。それが運命さだめだけど、諦めはしない。もう目覚めたから。(Zガンダム、オープニングより抜粋)


 会社でちんたらと仕事をする午前11時を過ぎたあたり、携帯がなった。誰も居ないはずの自宅からだ。


「ババァ! 起きたら誰も居なかったんだけど、やばいよぉ。学校休んじゃった」


「無断欠席かよ……学校から電話は無かった?」


「えっ、寝てる間にあったか知らんけど」


 どうしてこうなったか、分からない。だが……まだ、まだ終わらんよ。私はクワトロバジーナ、それ以上でもそれ以下でもない。


「と、とにかく○○高校の電話番号LINEしてくれるか。電話するけど、これから行くことは出来る?」


「短縮だから、今から行ったとしても一時間しかない……休むほうがいいかも」


「分かった。お腹が痛いので家に戻って、寝たことにする。それしかないっ」


 高校一年の娘ちゃんが、狼狽えていたので勢いでこんなことになってしまった。最近はネットフリックスと漢字検定二級とバイトのせいで体内時計がぶっ壊れているようすだ。


 かくいう俺もネトフリでゼータガンダムを一気に見たせいで頭を宇宙に汚染されている。


 娘ちゃんの高校は、緊急事態宣言解除まで一時間遅く始まるため、家族で一番最後に家を出ることになっていた。


 俺が家を出るタイミングで楓ちゃんに、声をかけるのが日課になっていた。いつものように、起きてるのか聞いたら返事があったはず。


 曇り空に静かすぎる朝。重なりあった運命の歯車。時の鼓動に揺られた楓ちゃんは……二度寝した!


 著作権法によると、抜粋による使用は講評や考察でならオッケーだったはずなので念のために言っておく。Zガンダムの映画三部作は駄作、テレビ版をお勧めする。星はひとつ。


「私が悪いのは分かってるけど、夕飯作ったりバイトしてるから私は悪くない気がしない?」


「えっ……でも、なんでママに電話しないの。普通父親から電話が来たら、高校だって何だろうって思うよね」


「ママは三十回電話したけどに出ないし、むしろママが悪いし、ママのせいだと思ってる」


「それは自分が悪い気がするけど」


「パパのせいのような気がするけど! 今日は夕飯、パパが作りなよっ!!」



 逆ギレ、作ったら作ったで怒るくせに。空が落ちてくる……地球の引力に縛られた人間は、スペースノイドの気持ちなど分からないのだ。


 ジオン・ダイクンの遺志は、ザビ家のような欲望に根差したものではない。ジオン・ダイクンがジオン公国を作ったのでは無い。


 現在ティターンズが地球連邦軍を我が物にしている事実は、ザビ家のやり方より悪質であると気付く。


 人が外に出たのは、布団が人間の重みで沈むのを避ける為だった。そして、布団から出た人類が、その生活圏を拡大した事によって、人類そのものの力を身に付けたと誤解をして、ザビ家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。それは不幸だ。もうその歴史を繰り返してはならない。


 外に出ることによって、人間はその能力を広げる事が出来ると、何故信じられないのか?


 我々は布団を人の手で汚すなと言っている。ティターンズは布団に魂を引かれた人々の集まりで、布団を食い潰そうとしているのだ。


 人は長い間、この布団と言う揺り籠の中で戯れてきた。しかし! 時は既に人類を布団から巣立たせる時が来たのだ。


 その後に至って何故人類同士が戦い、布団を汚染しなければならないのだ。布団を自然の揺り籠の中に戻し、人間はお外で自立しなければ、布団は水の惑星では無くなるのだ。


 このパパの頭皮さえ砂漠に飲み込まれようとしている。それほどに布団は疲れ切っている。


 今、誰もがこの美しい布団を残したいと考えている。ならば自分の欲求を果たす為だけに、布団に寄生虫のようにへばりついていて、良い訳がない。


 なんでこんな話で、せっかく読んでくれている人を置き去りにするようなまねをするのか。俺に聞きたいだろう。


「それは……Zガンダムとは、急に喧嘩したり裏切ったかと思うと恋に落ちたり、人を置き去りにする、そういう作品だからだ! そして目覚めたら起きろっ。今は動けないなんて歌っている場合じゃないっ」

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