サクラ
柔らかな朝の光が
瞼を濡らして
涙の跡、頬に触れる
貴方を見ていた
部屋の隅にわたあめ
甘い匂いがした
コーヒーの匂い
ため息揺らす前髪
キスばかりしないで
誤魔かすためのキスを
優しく触れた
貴方の唇を少し噛んだ
貴方も気づいてたんでしょ
淋しさだけ満たして
何処にもないものばかり
探してたみたい、私
口に出せない代わりに
いつも作ってくれた
透明な真珠
ふわりと浮かんで弾けた
部屋の明かり消して
何も見えなくていい
冷たい温もりが
2人の居場所を教えてくれるの
もう溶けない雪を
春の空に降らせた
指先濡れた
私にはまだ少し苦かった
「さよなら」は悲しいって言うけど
「好きだよ」より救われた
あのまま離れずにいれば
その胸元に花びら咲いていたでしょう
心を揺らした声や
顔さえぼやけていくけど
貴方のキスの仕方
きっと忘れられないわ、私
春 伊ノ守 静 @sei_anemone
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