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 どうしてあの時、シェアトを助けなかった。


 どうしてあの時、最後の瞬きを自分に使った。


 どうしてあの時、否定しなかった。


 どうしてあの時、力が無かった。



 思い出せば思い出すほど、闇は腕を飲み込んで、声のない声が侵食する。


 力さえあれば、私でなければ、シェアトを救えたかな?

 アレクを、クリソを、救えたかな?


 きっと、救える。

 だって、宙の精霊この魔眼は因果すら捻じ曲げる。


 あったことなかったことにできる……!


 闇へ身を投げれば、何かが両腕を掴んだ。

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