第10話
「陛下、明日の養老会との会合にあたってお召し物の提案をさせて頂きたいのですが」
「……」
「陛下?」
「軍服ではダメか?」
「いえ………あの、……軍服とは軍人が着る物であり、軍人とは陛下、ひいては国の為に外敵との戦闘行為や国内の治安維持に務める者達のことですから、陛下がお召しになるのは少し違うような……?」
「ダメか?」
「……それは…まあ非公式の会合ですから、細かいことを口やかましく指摘する者はいないとは思いますが」
「ならば軍服だな」
「あの……一応理由を伺ってもよろしいでしょうか」
「ふふん、そんなものは決まってるだろう。"合わせ"だ」
「"合わせ"?」
「シュラも明日はあの真白い軍服で来るのであろう?ならば横に立つ私も揃えねばなるまい」
「……いえ……、説得力を持たせる為にも、陛下には動きやすさと飾り気の無さに重点を置いた由緒あるドレスを」
「やはりダメなのか?」
「うぐ…………まあ、有事の際を考えれば………しかし……」
「よし!ならば実際に着て確かめてみようではないか。似合う方を来ていこう」
「はい……仰せのままに……」
「私としてあの白すぎる軍服の隣に並ぶにはやはり闇のような黒こそが良いと思うのだがしかしお揃いというのもまた悪くないなしかしこの国の軍服はなぜこんなにも色彩豊かなのだろうか━━━━━」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「あの、シュラ様。その格好は?」
「ん、これか?あの化け狸共を相手取るなら隊服より戦闘服の方がいいかと思ってな」
「………そうですか」
「……なんかまずかったのか?」
「………はい、それはもう」
「?それってどういう………
ってステラ、お前なんで軍服なんか着てるんだ?それも儀礼用の……………って怖っ!なんで怒ってんだお前?━━━━━」
(私だけ緊張して馬鹿みたいですね…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます