第12話「ワタシ、おねーちゃん達とお話ししたい、もっと仲良くなりたい」
一階へ降り、リビングに行くと既に料理は並べられており、姉さんと響佳も自分たちの席についていた。
「おそいよー、おにーちゃーん?早く席着いてね」
「悪かった。次からは早くくるよ」
僕は言いながら自分の席についた。奏音も響佳の隣に座る。
今日の晩ご飯は肉じゃがと白米。どちらも出来立てで湯気を立てており、肉じゃがからはつゆのいい香りが鼻腔をくすぐる。
僕のお腹からぐうーっと音がした。どうやら僕は思っていた以上に空腹だったらしい。
家族みんなで手を合わせ、「いただきます」と言ってそれぞれご飯を食べ始める。
僕はまず肉じゃがのじゃがいもに箸を伸ばす。
少し力を入れるとジャガイモは簡単に二つに割れ、ふわぁっとまた湯気が立つ。
僕は二つに分けたジャガイモを口に運ぶ。
ジャガイモには味がしっかりと染みていて、いくらでも食べられる気さえしてくる。
次は肉だ。僕は肉を取り白米の上に一旦置いてから食べ、そのあと白米を口の中に入れる。
やっぱり肉には米が合う。米は先程肉を置いた時に汁が少し付いていたので肉じゃがの味を殺すことなくおいしさが引き出される。
僕の箸を動かす手はどんどんスピードを増していき、一気に食べ終わった。
「おかわりある?」
「すごい速さで食べるわね……量の少ない奏音より食べ終わるのが早いだなんて……」
僕が聞くと姉さんがそう答えた。
言われてからみると、まだ奏音は食べ終わっていなかった。というより、あまり箸が進んでないように見えた。
「どうした?奏音」
「えとその……おねーちゃん達とお話ししたいなって……」
奏音は照れ臭そうに言う。
僕は思わず「ぷはっ」っと吹き出す。
「ちょっと、ひどくないですか!?おにーさん!!」
奏音は立ち上がって言う。すごく真剣な表情だった。
「いや、ごめん、そんな度直球で行くのかとびっくりしてね」
「なになにー?奏音とおにーちゃん、なんか話したのー?」
響佳が僕らの会話に入ってくる、
「いやさ、奏音が『もっとおねーちゃん達と仲良くしたい!』って言ってたんだよね。まさか度直球で行くとは思わなかったけど」
僕は笑いながらそう返す。
「あはは、なにそれおっかしー!まあ奏音が仲良くしたいって言うならおねーちゃん達はやぶ傘ではないんだけどねー?」
響佳は笑ってからニヤニヤと軽音の方を見やる。
「そ、そうね。私ももっと奏音と仲良くしたいなって思ってたし……」
軽音は少し照れ臭そうに答える。もしかしたらずっと、奏音がそう言い出すのを待っていたのかもしれない、あるいは自分からいって、拒まれるのが怖くて伝えられなかったのかもしれない。
どちらかなんてどうでもいい。大切なのは、嬉しいことは、どちらも互いを拒まず、『仲良くしたい』と思っていたことだ。
「今日は一緒にお風呂入ろっか、奏音?」
「えっ……いいの……?」
響佳の提案に奏音は戸惑いどこか申し訳なさそうに聞く。
「良いに決まってるじゃーん!なんだってアタシ達は、家族だしそれ以上に姉妹だもんね!あ、もちろんけーねも一緒だかんね!」
「ええ……まあ良いけれど……」
軽音は困ったように笑いながらもその表情からは嬉しさのようなものを僕は感じた。
よかった。3人の距離は確実に縮まった。そのことが僕は今嬉しい。
「ああ、そうそう。勝くん、おかわりならあるから自分で取ってね」
軽音は僕にそう言ってから奏音と響佳と3人で仲良く談笑をしながらご飯を食べ始めた。
どうやら僕と軽音との距離は縮まらなかったらしい。
☆ ☆ ☆ ☆
ワタシは脱衣所で服を脱ぎ、浴室の中へ入る。
姉さんたちはすでに浴室でシャワーを浴びていた。
ワタシの家の浴室は一般家庭より少し広い。それがちょっとした自慢だ。
「かのーん!おそいよー!」
響佳おねーちゃんが走ってワタシに抱き着いてくる。
そしてワタシを抱きしめるおねーちゃんの手はワタシの胸へ――って!
「ひゃっ!? ふえっ、あう・・・・・・。ちょ、おねーちゃん!? 揉み方がいやらしいんだけど!?」
おねーちゃんはワタシの胸に顔をうずめたり揉んだりしてくる。
「いいじゃんー!一緒に入るのって確か小学生以来じゃん!」
おねーちゃんは手を止めず、はしゃぎながら言う。
「ふにぇえええ・・・・・・あうっ・・・・・・」
思わずいやらしい声が出てしまう。
「ちょっと響佳、やめてあげなさいよ」
さっきまでシャンプーをしていた軽音おねーちゃんが混ざってくる。
「おねーちゃんもやってみなよ!この子アタシたちより断然大きくて柔らかいよ!」
「え、そうなの・・・・・・確かにぱっと見大きそうだけど・・・・・・触ると違うってわかるのかしら・・・・・・?」
響佳おねーちゃんの発言に軽音おねーちゃんが興味深そうにまじまじと揉まれ続けるワタシの胸を見る。
「ちょっと二人とも!? やめて!?」
ワタシは何とか響佳おねーちゃんを振りほどき、少し距離を置いて腕で胸を抱くようなポーズを取った。
「えーいいじゃんかーもっとおっぱい揉ませてよー!」
響佳おねーちゃんは名残惜しそうに言う。でももう揉む気はないように感じた。
・・・・・・ちょっと軽音おねーちゃんが揉みたそうに見ていたのは見なかったことにしよう。したい。
ワタシは体と髪を丁寧に洗ってから浴槽につかる。広いので姉妹3人全員同時につかることができた。
「ふぅー・・・・・・。ねえ奏音、勝さんってどう?」
軽音おねーちゃんがゆったりと背伸びをしながら聞いてきた。
「いい人だよ。優しいし、頼りになるよ」
「そう・・・・・・奏音が言うのなら、そうなのかもね」
軽音おねーちゃんはどこか遠くを見つめるようにして言う。
軽音おねーちゃんは軽度の男性恐怖症で、男性不信だ。理由は昔きいた気がするけど、忘れてしまった。
「けーねおねーちゃんはおにーちゃんと仲良くしないの? さっきもあんまり会話しないようにして他っぽいけど・・・・・・」
響佳おねーちゃんが軽音おねーちゃんが少しためらって聞く。
「やっぱりちょっと距離とりすぎよね・・・・・・家族になるんだから、もっと仲良くしたい気持ちはあるんだけど・・・・・・」
「やっぱり怖かったりするの?」
「うん・・・・・・やっぱり『何かされるかも』って言う怖さがぬぐい切れないわ」
「そっかぁ・・・・・・それなら仕方ないかもね・・・・・・ってうわぁ!?」
バシャン! と急に水が跳ねる。
「ちょ、ちょっと奏音!? なになに!?」
水が跳ねた理由は、ワタシが響佳おねーちゃんに後ろから抱き着いてさっきされたのと同じように胸を揉み始めたからだ。
暗い雰囲気はもう十分。
「さっきの仕返し!」
ワタシは笑って答える。
っていうかワタシもだけどおねーちゃんも結構あるよね・・・・・・? ていうか気持ちいな・・・・・・ずっと揉んでいたい。響佳おねーちゃんが揉みたくなる理由もわかる気がする。
「あうっ、ひゃうん・・・・・・ちょ、ちょっと、謝るから、謝るからやめ、ひゃうう・・・・・・!」
おねーちゃんは必死にワタシの手を振りほどこうとするが、うまく力が入らないみたいだった。
「どーしたのおねーちゃん? ほらほら! ――あひゃう!?」
バシャン!とまた水が大きな音を立てて跳ねる。
ワタシのものではない。というかワタシの胸に手が添えられていて、そっと優しく胸を揉んでいる。
「私も揉んでみたかったのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
「軽音おねーちゃん!? ちょっと!?」
キャラが壊れてる!? いつものおねーちゃんとは違って目をぎらぎらとさせながら胸を揉む。
「いいぞー! けーね! どんどんやれえ! ってええええええ!?」
軽音おねーちゃんはワタシと響佳おねねーちゃん、両方の胸を揉みしだく。
「こーのー本性を現したなーけーねぇ!」
響佳おねーちゃんは軽音おねーちゃんの胸を揉む。
湯船では30分くらいずっと水が跳ね続けていた。
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