第7話 またかっ!
「ぬぅ……」
この日、ジェラールの体調はすこぶる悪かった。
頭痛、寒気、発熱。
医者ではないジェラールでも自身を襲う体調不良を容易に推測できた。
「また風邪を引いてしまったか……」
毎日あれほど野菜を食べているのに風邪を引いてしまうだなんて、悪い夢でも見ているようだった。
この頃にはジェラールの中で野菜の立ち位置が万能薬的な何かに変わりつつあった。
痩せるし、身体にいいし、満腹になるし、ただ、食感だけはもう嫌だし。
ふと、思う。
そう言えば、運動を頑張った後は大抵の場合が体調を崩してしまうな……。
野菜を食べれば食べるほどに痩せなくなってきたような……。
実は辛い事をすればするほど、それがストレスとなり痩せ辛くなってしまうのではないか?
いやいやいやっ! 待て、自分っ! つい先日、一瞬の気の緩みから大変な事になってしまったばかりではないかっ! 冷静になれ!
そんな自問自答を繰り返す精神状態であった。
もう何が正解で何が不正解なのか分からない。
右も左も前も後ろも分からない。
自分がいったい誰なのかさえ……いや、それはさすがに分かるようだ。
そこまで自分を見失っちゃいない。
今、自分がやるべき事は……。
体調の回復を早めるために、たっぷりと睡眠をとって野菜をたくさん食べる事くらいか……。
ジェラールはベッドに横たわり、再びまぶたを閉じた。
そこには当たり前の静かな闇が広がっていた。
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