第14話

 さてと、お二人の姿は……。ああ、お見えになりました。左隅の奥深い場所に陣取っておられます。2人用のテーブルに、向かい合ってお座りです。大きな窓が設置してありますので、全体が明るい雰囲気ですよ。天井にある2基の大きなシーリングライトも、昼間は不要なようです。バルコニーが見えます。何脚か椅子が置いてありますが、陽気の良い日には満席になるほどの人気だそうです。


 そうそう、お二人でございますが、お蕎麦を食してらっしゃいます。職員さんのお話ですと、昼食は軽めにされて夕食はしっかりと摂られているようです。神さまは和食系で、閻魔大王さまは洋食系を好まれるとか。ですが、ほとんど毎日のように、互いのおかずを少しずつ交換されているとのことです。

 朝食は、どちらもトーストにコーヒーだそうです。コーヒーと言いましても、昔でいうコーヒー牛乳だとか。そして、ヨーグルト類もしっかりと召し上がれているそうです。


神 =

とんでもないこととは、少年事件の凶悪化のことかね?

閻魔=

それもございます。が、家族間の殺傷事件が、過去にも増して凶悪化しているのでございます。兄弟殺し、そして親殺し、といった具合でございます。家庭の崩壊ゆえか、家族間の繋がりといったものが希薄になっております。

神 =

ふーむ。核家族化と称される時代に育った人間が、親になってからのことなのか?

閻魔=

世代的にはそういうことに、なるのでございましょうか。世相が快楽主義を希求しておりますのでございます。

神 =

ふーむ、嘆かわしいことでは、あるの。

閻魔=

はい。誠に、その通りでございます。


神 =

で、あの少年のことは?

閻魔=

はい、お待ちください。今、資料を持ってこさせますので。これ青鬼や、あの少年の資料は揃えてあるか?

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