第12話 己の罪は、己が
閻魔=
それはそうと、あの少年のご処断は、お決まりでございますか?
神 =
うむ、決めたよ。人を傷付けた事は、やはりのことに許されるべきものではない。
何より許せぬのは、自ら生命を絶ったことじゃ。わしに救いを求めることなく、暴走してしまいよった。もう既に、お前の元に向かわせておるよ。いつもの如くに、罰についてはお前がの。
閻魔=
分かりました、厭なことはすべてわたくしの職務。それでは、地獄の門にて待つことに致します。それにしましても、ここのところ、理解に苦しむ罪を犯す者が多くなりました。
神 =
そうよの。嘆かわしいこと、だて。
「おふたりさあん! ごはんですよ。食堂にいらしてください」
あらあら、お二人が部屋を出られていきます。どうやら食事の時間のようです。そ
れにしてもテレビを付けっ放しとは。あ、バタバタと妙齢の女性が。職員でしょうか、テレビのスィッチを切っていかれました。主の居ない部屋というのは、静かなものです。今まで流れていたいかめしいといいますか、イガイガとした空気が落ち着きを取り戻していきます。
神 =
ねえ、お前。あの少年は、如何しておるかの?
閻魔=
はい、神さま。申し訳ございません、ご報告もせずに。やはりのことに、等活地獄行きも致し方のない仕儀かと心得ます。如何なる事由があろうとも、自ら生命ちを断つことは許されざることにございます。
神 =
そうよのう。どうだろうか、少年の罪を一等減じさせることはできないものかね。ひと言囁いておくれでないか。
閻魔=
恐れながら、それは致し兼ねます。そもそもこの定めは、神さま、あなたさまがお作りになられたことです。
[己の罪は、己が一番良く知っておる。しからば、その罰は己に決めさせよ]
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