第4話

クリスマスイブが来た。


「じゃあ、父さんと母さんは、出かけてくるからな」

「ああ」

「出かけるときは、戸締りをしていくのよ」

「へいへい」


小さい子供じゃないんだから・・・

でも、世の中ぶっそうだからな。


念を押したんだろう。


しかし、よく予約が取れたな・・・


まあいい。

さてと、出かけるか・・・


適当に服を着て、梨絵との待ち合わせ場所に向かう。


「お兄ちゃん!」

「何?」

「女の子と行くんだから、もう少しおしゃれしてよ」


確かに、普段着丸出しだが・・・


梨絵は、真っ赤なジャンパースカート。

らしいといえば、らしい。


「まっいいわ。とにかく行こう」

梨絵に腕を組まれる。


「おい・・・」

「兄妹なんだから、いいでしょ?めったに会えないし・・・」

「確かに・・」


こうして、例のちゃんこ鍋店に着く。


他に客はいない。

貸し切りは、本当か・・・


席に案内される。


「梨絵、待ってたよ」

「百合ちゃん、来たよ」


同い年くらいの、女の子とあいさつをしている。

彼女が、友達か・・・


百合という少女は、僕の方に来る。

上から下まで、僕を見る。


僕は、マネキンか?

内心そう思う。


「初めまして。佐々木百合です。梨絵さんには、仲良くしていただいております」

深々と、頭を下げる。


「こちらこそ、妹が仲良くしていただいているみたいで・・・今後とも、仲良くしてあげてください」

「はい」


笑顔で微笑む。


そして、梨絵に耳打ちして、厨房へと消えた。


「お兄ちゃん」

「何?」

「楽しもうね。私たちの聖なる夜を」


確かに、夜景の見える高級レストランで、ムードのある食事・・・

なんて、僕の性に合わない。


こっちのほうがいいや。


アクリル板とかも設置されているが、今日は無意味だろう。


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