第3話
「パパとママは、ふたりで食事するんだよね?」
「ああ。夜景の見える高級レストランで、素敵な聖夜を過ごすらしい」
そんな年齢でもあるまいに・・・
「歳は関係ないよ、お兄ちゃん」
僕がやっても、絵にならないけどな・・・
「親父とお袋には、会ったのか?」
「ううん。それなら今回は、会うつもりないよ。クリスマスが終わったら帰るから」
「寮に?」
「うん」
なら、どうして帰ってきた?
「仕方ないから、お兄ちゃんと過ごしてあげる」
「断る」
「彼女いないでしょ?」
「いない。そういうお前は彼氏はいないのか?」
「私、女子高だよ」
男っ気がないのか・・・
「だから、私がお兄ちゃんの彼女ね。で、お兄ちゃんが私の彼氏」
「やだ」
「わがままだね、お兄ちゃん」
そういう問題ではない。
ないのだが・・・
「・・・で、どこで過ごす?手料理振るまってくれるのか?」
「自慢じゃないけど、私は料理は全然だめだから」
小学生の頃は仕方ないが、高校生になれば、大人としてある程度は作れると思うが・・・
口にしないでおこう。
「僕が作るのか?」
「お兄ちゃんに、上手く作られたら、私の立場がない」
どんな立場だ・・・
確かに、僕の作る料理を食べたら、恥ずかしくて二度と料理が出来なくなる。
そうなれば、梨絵の未来の家族に申し訳ない。
「だから、あそこ」
梨絵は、指さす。
そこには・・・
「ちゃんこ鍋?大丈夫なのか?」
「うん。あそこのオーナー、私の友達のお兄ちゃんなんだ」
「元力士?」
「うん。だから、貸し切りだよ」
こうして、クリスマスイブを待つことになる。
梨絵は、おじいちゃんと過ごすらしい。
親父とお袋には、あまり会いたくないようだ。
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