転生してＬｖ１になったけどスキルや装備を引き継いだので最強です ～誰も知らない知識で異世界無双～

第165話：女王アリ退治

　次々と巣穴から出てくるビッグアントに対し、それぞれ動いて倒していく。

「さすがに1匹1匹倒してたらキリが無いわね……そうだ！　フィーネ！　あたしがまとめるから一掃しちゃいなさい！」

「え……？　あ、うん。お願い」

　フィーネはすぐに詠唱を開始。

　その間にラピスが弓を構えてスキルを放つ。

「いい感じに密集してるわ……そこ！　《グラビポイント》！！」

　集団に放たれた矢が１匹に命中。一撃で倒したがスキルの効果は続く。

　矢を中心に周囲のビッグアント達が次々と吸い寄せられていく。その場から動こうと藻掻くが、その間にも他の個体が吸い寄せられて密着するため邪魔になり、その個体が脱出しようと動いてもまた別の個体が邪魔をする。

　矢の周辺は大量のビッグアントが集まっていた。

「行くよ！　《フレイムジャベリン》！！」

　詠唱が終わって炎の槍が完成し、それを密集している場所に向けて発射。そして密集している所へと命中した瞬間、爆発して何匹のもビッグアントが四散した。

　ああいう感じにまとめて吹き飛ばすのがなかなか気持ちいいんだよな。

「よし！　これならいけるわ！　フィーネは詠唱の準備お願いね！　あたしがかき集めるから！」

「うん！　お願い！」

　いい感じに数を減らしているが、減った分だけ巣穴から出てきて増加している。その間にもラピスが矢を放って倒してはいるが、全てをカバーできるわけではない。数が多い分、どうしても倒しきれずに抜けてくる個体もいる。

　そこで俺とリリィが前に出て防ぐわけだ。

「やぁぁぁ！」

　リリィが近づいたビッグアントを数匹まとめて蹴散らす。大剣ならばリーチがあるし、リリィのパワーならビッグアント程度なら一撃だ。

　まるで無双ゲームのように倒していくその光景はなかなか豪快なものだ。

　俺も前に出て数を減らしているが、増援は止まることなく巣穴から出てきている。

　ビッグアント自体は弱くて大したことはないが、このように数で攻めてくるのが厄介なモンスターである。

「ピィィ！」

「そろそろ行けそうなのね？　皆さん離れてください！　ホーちゃんが準備できたみたいです！」

　テレシアの呼びかけに全員がすぐに反応して退避した。

　全員が離れると、ドラモは高く飛び上がり火の玉を生成。それを放つと前方に大きな炎の竜巻が発生した。

「すごいわね……あれだけ居たモンスターがまとめて消えちゃうんだもん」

「だよね。フレイムジャベリンより何倍も広範囲に巻き込めるし。すごいなぁ……」

　燃え盛る炎の竜巻を見ながらラピスとフィーネは憧れの目で眺めていた。

「だったらフィーネもあのスキルを覚えたらいい。杖系統のスキルならファイヤーストームは習得できるぞ」

「そ、そうなんですか？」

「とは言ってもまだ前提スキル取ってないし。まだまだ先の話になるけどな」

「ならもっと沢山のモンスターを倒して早く習得できるように頑張ります！」

「うむ。その調子でガンガン狩ろう。おっとそろそろ増援がくるぞ」

　ファイヤーストームで一掃することはできたが、巣穴からはまだまだ沸き続けている。

「んじゃ行くぞ」

　それからも同じ戦法で戦い続け、安定して狩り続けることができた。

　最初は無限にも思えた増援も倒し続けていると減り続け、巣穴から出てくる量も激減していった。

「あれ。もう出てこないわね」

「倒しきったんでしょうか？」

「いんや。まだ残ってる」

「……え？」

　すると次の瞬間、巣穴を破壊して地面から巨大なアリが出現したのだ。

「な、何あれ！？　今までのよりもずっと大きいわ！」

「あれはビッグアントの親玉……クイーンアントだ」

　クイーンアントはビッグアントよりも何倍も大きく、羽の生えたモンスターである。

「キシャァァァァァァァァァ！！」

　同胞を殺されて怒っているのか、俺達に向けて敵意丸出しで威嚇してきた。

「さーて大詰めだ。あいつを倒して終わらせるぞ」

　クイーンアントは羽を動かし始め、飛び立とうとしていた。

　だが……

「逃がさないわ！　《ソニックアロー》！！」

「！　《ファイヤーアロー》！」

「ピィィィ！」

　地面から離れて浮いた時、それぞれがクイーンアントに向けて攻撃。

　ラピスとドラモが放った攻撃で羽が破壊され、フィーネが放った火の矢が顔面に命中。

　クイーンアントはそれ以上飛び立つことなく地面へと落下した。

「よくやった。後は俺達に任せろ。行くぞリリィ」

「おう！」

　地面で藻掻くクイーンアントに向かって２人で向かう。

「ギ……ギ……ギィィィィ！」

　羽を失ったとはいえ、まだまだ戦えるだけの力は残っている模様。落下してからすぐに体勢を立て直してから威嚇してきた。

　近づく俺達に牽制するように動いて攻撃してくるが、それをかわして懐へと潜り込んだ。

「ふんっ！」

「やぁぁ！」

　俺とリリィの攻撃が直撃。さすがに効いたようで、クイーンアントは苦しそうによろけた。

　だがまだ致命傷にはなっていない。すぐに反撃してきたのでかわして少し距離を取った。

「さっさと終わらせよう。次で決めるぞ」

「じゃあ全力でぶった斬ってやる！」

　すぐに動いて間合いへと入っていく。

　クイーンアントも苦し紛れの反撃をするが、それをかわして密着できそうなぐらい距離を縮める。

「トドメだ……《爆気龍壊拳》！！」

「《パワースラッシュ》！！」

　それぞれの放ったスキルが直撃。

　さすがに耐えきれなかったのかクイーンアントは地面に倒れ、しばらくすると完全に動かなくなった。

　ボスクラスのモンスターとはいえ所詮はアリ。この程度なら俺達の敵じゃない。

「クイーンアントが出てきたってことは、この巣穴は打ち止めだな」