第130話:古代兵器
「コダイヘーキ? 何それ?」
「すごく危険な物に思えるけど……」
「強いのか?」
「………………」
予想外のワードが出てきてきたな……
こんな所でその話が出てくるとは……
「お、おい。今の本当か? 本当に古代兵器なのか?」
「オレはそう聞いている。確かにそう言っていた」
「マジかよ……」
「信じられない気持は分かる。でもオレは見たんだ! とんでもなくヤバそうな代物を作ろうとしてる場面を!」
本物の古代兵器なのか……?
たかが盗賊がそんなものを手に入れられるようなものなのか……?
「ねぇ。さっきから言ってるコダイヘーキって何なのよ。さっぱり分からないわ」
「ああそうか。知らない人も居るのか。まぁ伝説の代物だしな……」
「だったら教えなさいよ。そんなもの聞いたこと無いんだし」
「う、う~ん……そうだなぁ……」
ランドールは困惑で表情で悩んでしまった。
「ザックリ言ってしまうと、破壊神を倒す為に作られた……といわれる代物なんだよ」
「破壊神? どっかで聞いたような……」
「あっ! もしかして……」
「フィーネは知ってるの?」
「前に聞いたことあるよ。ほら、レオルドさんが話してくれたじゃない! その時の話に破壊神という名が出てたよ」
「あー……そういえばそんなことあったわね……」
懐かしいな。あの時にこのゲームの歴史部分の話が出てきたんだよな。
「ゼストは知っているの?」
「攻城戦で使われる物だよ。基本的には戦況を一変できるぐらいの性能はある」
「へぇ。なんか強そうね……」
「? アタシはさっぱり分からないぞ……」
「あの時はリリィは居なかったしな。後で教えるよ」
確かにこのゲームには古代兵器と呼ばれる物が存在はする。しかしランドールが言っているやつは俺の知っている古代兵器なんだろうか。
詳しく聞いてみるか。
「ランドールが聞いたという古代兵器はどんな名前で呼んでいたか覚えているか?」
「えーと……何だっけか……。確か……アーデ……アテラー……いや違う、アティーラだったかな……?」
「…………!」
まさか…………
「それはひょっとして…………〝アティラリ〟のことか……?」
「! そうそれだ! そんな名前だった!」
「…………」
マジかよ……
よりにもよってそれか……
「ゼスト? もしかして知ってるの?」
「あ、ああ……」
もし本当にアティラリだったら面倒なことになるな。
盗賊ごときが入手できるような代物じゃないはずなんだが……
「どんな物なの? 強いの?」
「威力と範囲は上位クラスなんだよ。だが問題はそこじゃない。
「あるもの……?」
アティラリ単体だけでもそれなり面倒なんだけど、とあるものとセットで運用されるとかなり脅威になりえる。
ランドールが言っていた虐殺なんて簡単にできる。
今の俺に対処できるかどうか……
「あるものって何なの?」
「ん? お前らが見たことあるやつだよ」
「え、ええ!?」
「そ、そうなんですか?」
「???」
あの凶悪なコンボは全プレイヤーが恐れていたぐらいだしな。専用の対策を用意するのが必須と言われる程やばかった。
その脅威が訪れようとしているとしたら……
……いや。深く考えるのよそう。
今はそれどころじゃない。
「おいランドール。エンペラーは本当にアティラリを作ろうとしているのか?」
「少なくとも何かの兵器を作ろうとしているのは確かだ。それを使って戦争を仕掛けようとしてることも……」
たかが規模の大きい盗賊集団だと思っていたが、予想以上に厄介な連中みたいだな。
いや。本当にただの盗賊集団なのか……?
「だからオレは逃げ出した。奴らが大量虐殺者に見えて怖かったんだ……。オレはあんなの望んでない……! この世の中を変えらえると信じていたのに……」
「でも盗賊には違いないだろ。そんな奴らを信じる方が悪いんじゃないか?」
「ははは……耳が痛いな……」
簡単に信じてしまったランドールも悪いのは確かだが、動機はそこまで不純なものじゃない。結局は騙す方が悪いんだからな。
手段は褒められたものじゃないが、目的は責めるようなことじゃない。こいつなりに改革しようと思っていたんだろう。
「全部話したら気が楽なった気がするよ。聞いてくれてありがとうな……」
「それで、お前はどうするつもりなんだ?」
「あいつらを止めたいが、オレ一人ではどうしようもできん……」
「…………」
「いや……何とかしないとな。この身が犠牲になろうとも止めて見せる。それがオレのかされた罪だしな……」
そういって立ち上がる。
しかし病み上がりだからか足元がおぼつかない。
「ここから出ていくよ。オレがいると不安になろうだろうしな。世話になった。じゃあな……」
そしてヨロヨロと歩きながら部屋から出ていった。
「あの人あんまり盗賊っぽく無かったわね……」
「うん……」
「あいつそんなに悪いやつじゃないのかな」
ランドールの心情を察したのか3人とも同情的だ。
明らかにまだ体調悪いのに無理しているのが伝わってきたからな。さすがにあの姿を見て責めるようなことはできないだろう。
「今の人の話は本当なんでしょうか? 兵器だとか物騒な言葉が聞こえてきましたけど……」
「アティラリの存在を知っていたからな。信憑性は高いと思う」
「なら戦争を起こそうとしている事も……?」
「十分可能だろうな。古代兵器さえあるのなら盗賊程度でも国相手と戦えるんじゃないか」
「そ、そんな……」
とはいえそう簡単には作れるはずがない。古代兵器はエンドコンテンツ級に素材集めが大変だからな。
どれだけ強力だろうと、完成してないのなら意味が無い。
「これからどうするんですか……?」
「気にはなるけど今は何もしないよ。ランドールの口ぶりだとまだ完成してないみたいだしな。今はあくまでリーズを優先する」
「ここに来たのはそれが目的だもんね。早くリーズって子を見つけないとね」
そうだ。今回の目的はリーズなんだ。それ以外は後回しで構わない。
今はリーズを探すのに集中しよう。
………………
しかし……エンペラーか……
そういえばレオンさんが言っていたっけ。このリヒベル国は盗賊と手を組んでいる噂があるって。
あの噂が本当だとすれば、その盗賊はエンペラーなのか……?
………………
リヒベル国か……
きな臭くなってきたな……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます