第119話:竜人の里
森を抜けた後、小さな山を登って遠くを眺める。
すると遠くには大きな集落があるのを発見した。
「あそこがアタシが暮らしてた場所だ! あと少しで到着するぞ!」
「へぇ。あれがリリィの故郷か」
リリィが指さした先にはそこそこ規模の大きい集落が存在していた。そこは山に隠れるような環境になっていて、案内が無いと辿り着けないような場所にあった。
普通の人はまず発見することすら出来ないだろうな。
「あ、あそこがリリィの住んでた場所なのね……ようやくゴールが見えてきたわ……」
「お姉ちゃん大丈夫……?」
「あたしはまだ平気よ……。フィーネこそ大丈夫? まだ歩ける?」
「う、うん。私も平気……」
2人ともさすがに疲れが見えているな。
ここに来るまでにモンスターと連戦してたし、ずっと歩きっぱなしだったしな。無理も無いか。
「そろそろ日が暮れそうだし、今日中に辿り着きたいな」
「じゃあ山を下りたら急ぐぞ! ここらへんは強いモンスターは居ないから楽だし!」
さすがというか、リリィはあまり疲れた様子がない。
俺達の中では誰よりも動いていたはずなのにピンピンしているな。これも竜人ならでは体力なんだろうな。
「ラピスもフィーネも行けるか? 少し休憩しようか?」
「もう少しで到着だしこのまま行くわ。ゴールが見えたからかやる気が出てきたし」
「まだ大丈夫だと思います。ここまで来たのなら最後まで頑張りたいですし」
「そうか。この辺りのモンスターは大して強く無いし、後は俺とリリィに任せろ。面倒なモンスターは引き受けてやるから」
「うん。ありがとね」
「んじゃ出発するぞ」
リリィが歩き出すと、俺達もそれに続いて動いた。
山を下り森を抜けると、ようやく集落に辿り着くことができた。
「ここがリリィの住んでた場所なのね……」
「うん! 竜人の里とか呼ばれてるんだ」
「へぇ~」
やってきたのは大きめの村みたいな光景だった。村の中には何人かが動いていて、皆もリリィのように頭に2本の角が生えていた。
「あっ!
「……ん?」
リリィが長身の女性に向かっていきなり走り出してしまった。
その人もリリィに気が付いたようで、すぐに反応してきた。
「……おお。リリィか久しぶりだねぇ。帰ってきてたのか」
「うん! さっき到着したところなんだ!」
「よく帰ってきたねぇ。おかえり。大変だっただろう?」
「みんなと一緒だったから平気だったよ! ここまで来れたのもみんなのお陰だし」
「みんな? もしかしてあそこに居る人達のことかい?」
「そうそう! 3人ともすごくいいやつなんだよ!」
「へぇ。リリィに仲間が出来てたのか。ならアタイも挨拶しとかないとねぇ」
そしてリリィと一緒に長身の女性も俺達に向かって歩いてきた。
すぐ近くまでやってくると、笑顔になって話しかけてきた。
「アタイはここの族長をやっているカルラってんだ。ここまで来るのに苦労しただろう? 何もない所だけどゆっくりしていくといい」
「……………………」
デ…………デカいッッッッッッッッッッ!!
デカいというのは身長のことじゃない。おっぱいの大きさのことだ。
目の前には服がはち切れんばかりに胸元が膨らんでいて迫力ある光景だ。
リリィのも相当大きい部類に入るはずなんだが、目の前のこの人はそれ以上の大きさだ。
上には上が居るものなんだな。
世界は広いな…………
「ん? どうしたんだい?」
「…………あっ。いや……何でもないです……」
「こっちがゼスト! 隣に居るのはラピスとフィーネだよ!」
「ほうほう。なかなか頼りになりそうな人達じゃないか。リリィの仲間なら実力も相当ありそうだねぇ」
この人が族長なのか……
何故か一瞬で納得してしまった。
「大きいわね……」
「うん……」
ラピスもフィーネもその大きさに驚いてやがる。
目線がカルラと名乗った人の胸元に釘付けになっているもんな。
「そうだ。帰ってきたことをすぐにジークに知らせるといい。まだ家に居るはずだよ」
「そのつもり! みんなはアタシの後に付いてきて! 家に案内するから!」
「あ、ああ……頼んだ」
リリィが動き出して俺達もその後を追うように歩き出す。
その直後のことだった。
「…………ッ! リ、リリィ!」
「ん? なんだ?」
カルラが呼び止めてリリィが振り向く。
「………………」
「………………?」
しかし黙ったままお互いに動かない。
「……どうしたの?」
「え……あ……いや……その………………そ、そうだ! 後で酒を持って行ってやるよ! ジークにも伝えてくれないか?」
「分かった! 伝えとく!」
「た、頼んだよ……」
リリィが動き出したので俺達も続いて動くことにした。
今のは何だったんだろう……?
……まぁいいか。
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