第114話:新たな武器

 あれから数日経った。

 そして武器が完成すると言っていた日になり、全員で工房に向かうことにした。


 工房に入るとレオルドさんがすぐに反応してきた。


「おお! 待っていたぞ!」

「ということは……」

「うむ。既に完成してある。少し待っていろ」


 そして部屋の壁に立て掛けていた武器を手に取り、俺達の元へとやってきた。


「まずは嬢ちゃん達からだな。ほれこれだ」


 ラピスには弓、フィーネには杖をそれぞれ渡してきた。


「へぇ。少し綺麗になってるわね。ありがと!」

「ありがとうございます!」


 どちらの武器も前とあまり変化はない。前に言っていた通り、少し手直した程度のようだ。

 性能はこのようになっていた。


 ――――――――――――

 □ハンターボウ

 攻撃力:150

 適正レベル:10


 ・DEX+15

 ・クリティカル率+30%

 ・クリティカルダメージ+35%

 ・スキルダメージ+20%

 ――――――――――――


 ――――――――――――

 □アークワンド

 魔法攻撃力:150

 適正レベル:10


 ・INT+15

 ・クリティカル率+30%

 ・スキルダメージ+30%

 ・MP+15%

 ・MP消費量-10%

 ――――――――――――


 純粋にそのまま強化されたといった感じだ。

 大きな変化は無いが強力なのは変わりない。またしばらくはこのままでも大丈夫だろう。


 次にレオルドさんが手に持ってきたのは大剣だった。それをリリィに前に差し出す。


「さて……リリィと言ったな。これが新しい武器だ。少し手間が掛かったが十分な仕上がりになったはずだ」

「おお……」


 手に持っている大剣はなかなかの迫力ある見た目をしている。

 リリィが今まで持っていたやつよりも小さくなっていてサイズダウンしているが、それでも一般的な剣よりも大きいだろう。


「リリィ持ってみろ」

「うん!」


 リリィは大剣を手に取って振り上げる。

 重そうなサイズなのによく持てるもんだな。


「おー! すげー! 軽くなってて持ちやすいぞ!」

「前に見せてもらったやつは大きすぎて扱いにくそうだったからな。それで少し小回りが効くように調整してみたんだ。そのお陰で重量も減ったんだ」

「なるほど」


 とはいえ、やはり俺からしてみたらまだまだ大きすぎる。あれを扱えるのはリリィみたいな一部の人しか無理だろうな。


「……うん! 気に入ったぞ! これすごくいい! 強そうだし何でもぶっとばせそうだ!」

「よかったな」

「…………」


 そうだ。ついでに性能も見てみるか。

 どれどれ……


 ――――――――――――

 □インパクトソード

 攻撃力:700

 適正レベル:30


 ・STR+30

 ・確率で相手をスタンさせる

 ・スキルダメージ+30%

 ・スキルでダメージを与えた時、確率で相手の防御力ダウンさせる

 ――――――――――――


 ほうほう。これも強力な性能をしているな。

 前の武器に比べたら攻撃力は下がっているが、適正レベルを満たしたことでペナルティが無くなっている。結果的に前よりも威力が増したはずだ。


「これ……本当にアタシが貰ってもいいのか?」

「当たり前だろ。その為に作ってもらったんだから」

「うむ。それは君に合わせて制作したんだ。遠慮なく受け取るがいい」

「…………」


 リリィは手に持っている大剣を見つめたまま動かない。


「リリィ? どうかしたのか?」

「…………ううん。何でもない」


 何だろう。気になることでもあるんだろうか。


「……うん。作ってくれてありがと! これでまた強くなれそうだ!」

「礼には及ばんよ。儂にとってもいい経験になったし。あれこれ試行錯誤してて楽しかったしな」


 これでまた狩りに行けるようになるな。

 次はどこに行こうか……


「でも本当にタダで貰っていいのか? これすごく強そうだぞ」

「前にも言ったが既に報酬は貰っている。この程度ならいくらでもやってやるわい。感謝するならゼストにしてやれ」

「そっか! 分かった!」


 そういってすぐに俺に近づいてきた。


「いつもありがと! これで悩んでたこともふっとんだよ!」

「え――」


 疑問に思う間もなくリリィはさらに近づき……


 俺に思いっきり抱き着いてきた。


「「!!」」


 顔いっぱいに広がる柔らかい感触……これはまさか……

 これが……これがリリィが持っている天然のエアバッグ……!

 なんつー柔らかさだ……


「ちょ、ちょっと! やめなさいよ! ゼストが苦しそうよ!」

「ダ、ダメですよそんなことしたら! 私だってしたことないのに……!」

「えーいいじゃん。ゼストにはすごく感謝してるし」

「だ、だからって……」

「と、とにかく離れて下さい!!」


 …………さすがに少し苦しくなってきた。

 抜け出そうとしてもリリィの力が強くてなかなか離れられない……!


「……そういうことは帰ってからやってくれねぇかな」


 レオルドさんの呆れたような声がした後、ようやく解放されたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る