第84話:ギミック
「よくやったなお前ら。初めてにしては上出来だ。割と早くギミックに気づけたしな」
「ってことは、今のが正しいやり方なの?」
「そうだ」
「よかったぁ……」
十字架を背負った巨大スケルトンは他と違い、少し面倒な手順を踏まないと倒せないモンスターなのだ。
ただ攻撃しているだけでは倒せない。
「最初に気づいたのはフィーネだったな。よく気づいたな」
「はい。他のモンスターと違って見たことない物を背負ってましたから。これだと思いました」
「まぁ分かり易かったしな。結構目立つし」
「でも一番のヒントをくれたのはお姉ちゃんでした」
「え、あたし?」
キョトンとするラピス。
そんなラピスに笑顔を向けながらフィーネは続ける。
「最初は普通に壊そうと思ってたけど、リリィさんでも壊せないって知ってから諦めかけてたの。でもお姉ちゃんが取っちゃえばいいって言ってくれたから気づけたんだよ」
「そ、そうなのね! あたしはテキトーに言っただけなんだけど……」
「でもお姉ちゃんのお陰だよ。ありがとう!」
「ま、まぁ役に立ってよかったわ」
ラピスの一言で突破口を思いつけたのは間違いないだろう。
フィーネ1人だけだと気づけなかっただろうし、ラピスもフィーネの言葉が無かったら思いつかなかっただろう。
本当に仲のいい姉妹だ。
「今やってみた通り、奴の倒し方は簡単だ。一度倒してからあの十字架を剥ぎ取ることだ。あの十字架がある限り、何度でも蘇るからな。倒してから取るのがポイントだ」
「そうなのね。なかなか面倒ねぇ」
「だから知って欲しかったんだ。ああいうギミックが備わったモンスターが存在することを」
この狩場に連れてきた一番の目的はこれだ。
単に倒すだけなら簡単だが、中にはああいう特殊なモンスターも存在する。
「確かに今まで見たことないモンスターでしたね。何度も蘇るのでビックリしました」
「今回は分かり易かったし大して強く無かった。しかしこれから先、面倒なギミックを持った強敵と遭遇することもあるだろう。だからそういう奴と遭遇した時に慌てずに対処するんだ。今やったみたいにな」
「そうね。初めてあんなのに出会ったら逃げるしか出来なかったと思うわ」
「だからこそここの連れてきたんだ。いい経験になっただろ?」
「はい。今日はここにきて良かったと思います」
これで初見殺しなモンスター相手にやられる可能性は低くなったはずだ。
こういうのは実践で学ばせるのが手っ取り早いからな。単に攻撃だけすればいいわけじゃないってことを、身をもって知ったはずだ。
いつかは複雑なギミックを備えたモンスター相手にも戦って貰おうと思っている。
それまではもう少し場数を踏ませるつもりだ。
「…………2人ともすごいな」
元気の無い声で喋ったのはリリィだった。
「リリィ? どうかしたか?」
「…………」
リリィの様子がおかしい。いつもの元気が無く、明らかに落ち込んでいる。
「このままだと……アタシは強くなれないのかな……」
別の人のように落ち込んだリリィに困惑する。
一体何があったんだ……?
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