第79話:次の狩場へ
あれから洞窟を出て、外で待機していた馬車まで戻った。
そして全員で馬車に乗り洞窟を無事に通過することが出来た。
「ハッハッハ! 本当に死神が居なくなってるとは! 信じられん!」
ブライアンは馬を操作しながら若干テンション高めでそんなことを言っている。
「だから言ったでしょ。もう倒したって」
「すまんすまん。単に逃げ帰っただけだと思ったんだ。無傷で戻ってきたからな」
そういや洞窟から戻った時に、まるで幽霊を見たかのような表情で顔を向けてきたからな。やっぱり信じていなかったらしい。
証拠のソウルイーターを見せてやっと信じてもらえそうになったのだ。
「しかしゼスト殿も人が悪い! そんなにも実力があるのなら言ってくれればよかったのに!」
「いやだから。信じてなかったじゃん……」
「仕方ないだろう。君達はまだDランクなんだし。信じろと言う方が無理がある」
「まぁそうだけどさ……」
「流石レオン殿が推薦しただけはある。これだけ頼りになるのなら安心できるな」
一応、護衛も兼ねているからな。次の街までこのまま馬車に乗ったままだ。
「そういやどこに行くんだ? 行先聞いてなかったけど」
「ああそうか。まだ言ってなかったな。このまま進めば〝シュベル〟という街に行けるんだ。明日には到着予定するはずだ」
「シュベルねぇ……」
活気があって割と大きな街だったような気がする。そこで売買をするつもりなんだろうな。
この馬車には荷物が多く積まれているしな。
「確かゼスト殿はアイアンスパイダーの糸を求めているんだったな?」
「うん。全員分の素材が欲しいからね」
「ならワシに任せたまえ。交渉して多めに仕入れるように努力しよう」
「マジで? それは助かる」
「レオン殿にもそう頼まれたからな。多少赤字なっても必ず必要分を確保するさ」
これで素材分はこの人に任せればいいかな。
となると……確かシュベルの街付近には……
ふーむ……もしかしたら
今のうちに日程を詰めていくか。
「シュベルに居る間は俺達やることあるかな?」
「そうだなぁ……。ワシは交渉と荷物運搬に忙しいからな。あまり出番は無いかもしれん」
「だったら1日自由行動でいいかな? 出発するのは2日後ってことで」
「ふむ? 別それでもいいが。何かあるのかね?」
「ちょっとね。とある場所に行きたいんだ」
丁度いい機会だ。せっかく東側に行くんだからあの狩場に行きたい。
3人にもいい経験になるはずだ。
「まぁいいだろう。こちらもゼスト殿の予定に合わせて動くことにするよ」
「決まりだな。感謝するよ」
これで次の行先は決まった。
そんなやりとりをしつつ馬車は進んでいった。
あれから馬車に揺られ続け、俺達はシュベルに到着。街の中へと入った。
そしてブライアン以外は馬車を降りることになった。
「では2日後に合流するということで。何あったらディナイアル商会の名を出してワシを探してくれ。この街から出るつもりは無いからすぐ見つかるはずだ」
「分かった。色々ありがとう」
ブライアンは馬車に乗ったまま街の奥へと進んでいった。
それを見送った後に周囲を見渡した。
「さてと。とりあえず宿でも探すか」
「あれ? 今からどこかに行くんじゃないの?」
ラピスが首を傾げて聞いてきた。
そういや皆にはまだ話してなかったな。
「今から行くと帰りには日が沈んでるだろうしな。だから早朝早くに行くつもりだよ」
「そうだったのね。でもどこに行くつもりなの?」
この街から遠くない場所にある狩場がある。そこに行くつもりなのだ。
「スケルトン狩りさ」
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