第67話:ラブラブアーマー
あれから狩りを続行するわけにもいかず、討伐を中断して家に帰ることになった。
リリィはなんとか続けようとしていたが、やはり着慣れないローブだと動きづらかったようだ。これでは狩りどころじゃないので帰ることになった。
あの大型のローブは後衛用の装備だからな。前衛のリリィには厳しかったようだ。
帰宅してから3人がソファーに座った。
俺も正面側に座ってから話しかける。
「とりあえずだな。今日は防具を買いに行こうと思っている」
「動きやすいやつなら何でもいいぞ!」
「そうはいかん。これを機にしっかりとした防具を身につけるべきだ」
「でも攻撃なんて全部避ければいいんだし。動きやすいほうがやりやすいぞ」
うん、まぁリリィらしい脳筋思考だな。
「だが破れやすい服は論外だ。今回みたいに予想外の事態になるかもしれん。その度にいちいち騒ぎになりかねん」
「んー。でもやっぱり身軽に動けるのがいい。重い鎧みたいなのは着たくない」
「ふーむ……」
リリィは完全なアタッカーだもんな。耐える事よりも火力を重視した立ち回りのほうがいいだろう。
ならば防御力を落としてでも機動力に重視した防具のほうがいいか。
いっそのことビキニアーマーみたいなのにするか……?
「いずれにしろ、新しい防具は必要だな。このままだと狩りにならん」
「そうね。さすがにビックリしたわよ。あんな格好で来るんだもん」
「リリィさんも女の子なんですから少しは気にしてほしいんですけど……」
「何がだ?」
本人は何も分かってない様子。
これは何言っても無駄だな。
「というかラピス達も防具を買うべきだ。丁度いい機会だから一緒に買いに行くぞ」
「あたし達も? このままでも平気だと思うけど……」
「後衛だからって装備を疎かにしてはいかん。これから先、相手も強くなっていくからな」
「でもどういうのを選んだらいいのかよく分からないわ」
「んー……」
ならば俺が持っているやつで見本となる防具を見せるか。
そう思いインベントリを漁る。
「……おっ。これなんかどうだ?」
「え?」
「これをフィーネと一緒にこれ装備してみないか?」
「なになに?」
インベントリから取り出しのは、ピンク色の面積が多くハートの模様がある軽鎧だ。
「な、何それ……ピンクの鎧……?」
「うん。これは〝ラブラブアーマー〟っていう鎧なんだよ」
「ら、らぶらぶあーまー……」
俺が取り出しだこのラブラブアーマーには特殊な効果がある。
かなり珍しい効果なのでずっと取っておいたのだ。
「これはな。同じ装備を付けた人同士の距離が近いほど、性能がアップするというユニークな効果があるんだ」
「へ、へぇ……」
「その……こ、個性的な見た目ですね……」
「まぁな。 2個用意してあるから2人とも装備できるぞ」
なんせピンク色の鎧だからな。かなり目立つ色をしている。
しかもハートの模様付き。
「そ、それをあたし達が着るの……? 大丈夫なの……?」
「こう見えても意外と高性能なんだぞ。フィーネもどうだ?」
「そうなんですか?」
「ムカつくことにな……」
そう。このラブラブアーマーは見た目に反してかなり高性能なのだ。
明らかにネタっぽい見た目とふざけた名前をしているが、馬鹿に出来ないほどガチ性能なのだ。
装備した者同士が接近する必要があるという制約がつくが、それに見合っただけの能力がある。
「で、でも……その……私達は……女の子ですから」
「だよね……」
「ああ大丈夫。性別は関係なく発動するから」
「そうなの?」
「条件は『同じ装備を身に着けた同士の接近』だからね。だから同性でも問題無いんだ」
「ふ、ふーん……」
勿論、男同士でも発動する。
あまり見たくない光景だが……
「どうだ? 使ってみるか? 後衛同士なら悪くないと思うんだが」
「えと……その……じ、自分で選ぶわ」
「わ、私もお姉ちゃんと一緒に選んだほうがいいと思います……」
「そうか」
やはり不評か。2人とも微妙な顔をしている。
ラブラブアーマーは見た目さえよければいいんだけどな。かなり高性能なだけあって勿体ない。
さすがにピンク色でハート模様を身に着けたまま戦うのは抵抗があるか。俺だって進んで装備したいとは思わない。
仕方ない。普通に買いにいったほうがいいな。
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