第60話:ゴブリン退治終了

 ゴブリンジェネラルを倒した後、みんなが居る位置まで戻ってきた。


「まだ生き残りが居るかもしれないから念のために警戒は続けるぞ」

「さ、さすがね……」

「ん? どうしたラピス」

「あんな大きな相手でも簡単に倒しちゃうんだもの……。さすがゼストだわ」

「何だよ今更」


 ジェネラルは確かにこのレベルで挑むような相手ではないが、今の俺は転生特典でステータスが上がってるし武器も最適な物を装備しているからな。これくらいなら大して難しくない。


「つーか他人事みたいに言ってるけどな。ラピスもあれぐらい倒せるぐらいに努力するんだぞ」

「あ、あたしが? 出来るかしら……」

「というかそれぐらい出来ないなら一人前の冒険者として認めないからな」

「き、厳しいわね……」

「当たり前だ」


 ゴブリン相手だと舐めてかかるとああいう大物が出て来たりするしな。この程度で死なれては困る。


「だ、大丈夫だよ! 私も頑張るから!」

「そうね。フィーネも一緒なら出来そうな気がするわ」

「アタシも居るぞ! みんなと一緒なら心強いし、どんな奴でもぶっ飛ばしてやるさ!」

「うん。リリィもすごかったもんね。もっと強くなればいけそうな気がするわ」


 確かにこの3人のパーティなら少しレベルアップすれば、協力して倒せるようになるだろう。

 だが……


「何を言ってるんだ。1人ソロで討伐するのが目標だぞ」

「えっ……」

「わ、私も1人じゃないと駄目なんですか?」

「当然だ。フィーネもそれぐらい強くなってもらわんとな」

「お姉ちゃんと一緒では駄目ですか?」

「駄目だ。杖系統でもソロ討伐は十分可能だからな。いつまでもラピスに甘えるわけにはいかんだろ」

「そうですけど……」


 フィーネは不安そうな表情でラピスを見つめる。

 ラピスも同じような表情で困惑していた。


「俺だって出来たんだからお前らも出来るはずだ。というかレベル上げてしっかり装備整えれば倒せるようになるさ」

「それぐらい強くはなりたいけど、時間掛かりそうだわ……」

「大丈夫だって。お前らは確実に強くなってきてる。そのぐらい強くなれるさ」


 初めて会った時はスライム1匹すら苦戦してたからな。それに比べたら見違えるように成長した。

 このままいけばSランクも夢じゃない。


「リリィも強くなりたいんだろ?」

「もちろん! 今はまだアタシだけだと無理だけど、いつか絶対1人でぶっ飛ばせるぐらい強くなってやるさ!」

「ほらリリィを見ろ。こんなにやる気じゃないか。見習ったらどうだ」

「う、うん。そうね。それぐらい出来なきゃダメよね。フィーネを守れるぐらい強くなると決めたもん」

「お姉ちゃん……」


 不安になる気持ちは分かる。誰もが通る道だ。

 けれども冒険者としてやっていくならこれくらいの覚悟は必要だ。


「ま、しばらくが俺が見張っててやるから。お前らは休んどけ」

「そうさせてもらうわ……」

「ありがとうございます……」

「さすがに疲れたぞ……」


 3人は力が抜けたように座り込んでしまった。

 しばらくは動け無さそうだ。


「き、君はすごいな……」

「ん?」

「あんなバケモンを相手したばかりだというのに平然としてるなんて……」


 ショーンとロイが驚いた表情で話しかけてきた。


「いやいや大したことないさ。あのくらいの強さを持ったモンスターならいくらでもいるしね。ダース単位で襲ってくることも珍しくない。この程度なら瞬殺出来なければ話にならんさ」

「冗談だろ……? そ、そんな危険な場所があるのか……?」

「君はどんな地獄を経験してきたんだ……?」


 まぁ転生前の経験だけどな。

 懐かしいな。あの頃はレアドロップ目当てで必死に周回してたなー。

 当時は必死にプレイしていたが、今とはなってはいい思い出だ。


 それからショーンとロイから今回の事で謝罪をしてきた。

 逃げ切るつもりでいたが、逃げた先に俺らが居たということだった。だからトレインするような結果になってしまったというわけだ。

 こればかりは運が悪かったとしか言いようがなかった。


 大量のゴブリンやゴブリンジェネラルを倒した取り分も全て俺らに譲ってくれるとのことだった。彼らなりの誠意らしい。

 特に問題無かったのでありがたく頂くことにした。




 あれからしばらく見張りを続けていたが、ゴブリンはほとんど湧かなかった。なので終了時間まで待機することにした。

 終了時間になると、ゲイルがゴブリンの集計の為に訪れてきた。

 ゲイルは山のように積まれたゴブリンの死体を見て驚いていた。


「す、すごいな。これ全部君達がやったのか?」

「一応は」

「それにゴブリンジェネラルまで居るのか……。よく討伐できたな。あれはCランク以下だと厳しいモンスターのはずなんだが……」

「ジェネラルが居ることは知ってたんです?」

「いや。報告には無かった。きっと森の奥深くに生息してたんだろう」


 そもそも個体数もかなり少ないからな。全部を見つけることは無理だろう。

 俺達は運悪く遭遇してしまったというわけか。


「こちらとしても予想外だった。まさか2匹も現れるとはな。けど君達の活躍で被害を食い止めれたよ。感謝する」

「いえいえ。仲間の皆が頑張ってくれたお陰ですよ」

「本当に素晴らしい結果だ。君達のような優秀な冒険者が居てくれて助かったよ。報酬は期待していいぞ」

「ありがとうございます」


 こうしてゴブリン退治は終わりを迎えた。

 こっちとしても得るものが多くて来て良かったと思う。全員のレベルも上がったのでいい経験値稼ぎが出来た。

 もうそろそろワンランク上の狩場に連れて行ってもいいかもしれんな。

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