第51話:新スキル習得
あれからパーティの動き方などを教え、実践で学ばせていた。3人ともそれなり動けるようになりに慣れてきたようだ。
最初はリリィには心配したが、結構マシになってきた。以前のように自分勝手に動くような事は一切しなくなった。
元々実力はあったんだからしっかり動ければ前衛として十分活躍できる。今後にも期待できるといった感じだ。
そんなこんなで実践をしていると、ラピスが立ち止まって冒険者カードを眺めていた。
「あ。レベルが上がったわ。これで10ね」
「おー。ラピスも10になったか。フィーネはどうだ?」
「は、はい……あ、私も10になりました」
「いいね。ほぼ同時に上がったわけか」
順調にレベルも上がってきている。これならもう少し高難易度な場所にも連れていけるな。
「10までは割とすぐ上がる。けど10からはどんどん上がりにくくなるからな。覚悟しておけよ」
「そうなのね。でもまだまだ強くなりたいわ。少し楽しくなってきたし、どこまでいけるか試してみたいもの」
「ほう」
まぁ実際、レベル10まではチュートリアルみたいなもんだからな。
これから楽しくなってくる時期だ。
「そうだ。そろそろいい感じに熟練度も溜まっているだろうし、ここらで新しいスキルも習得してみるか」
「あ、そういえばあれから手を付けてなかったわね」
「熟練度を貯めたかったからな。だからひたすらそれに専念したかった。けど今なら習得可能なスキルも増えているはずだ。2人とも見てみな」
「は、はい」
2人は冒険者カードを見つめてスキルツリーを確認した。
「見たことないスキルがいくつか増えているわ!」
「わ、私はいっぱい出てきました!」
「やはり増えているか。ならさくっとスキルを取ってしまおう。リリィは少し待っててくれ。こいつらにスキルの解説をするから」
「分かった! 待ってる!」
さてどっちから行こうか。
ここはラピスからでいいか。
「ならラピスから行こう。俺にも見せてみな」
「いきなりスキルが増えたからビックリしたわ……」
「最初はそんなもんだ」
んーと……どれどれ……
おっ。もうここまで来たか。
「いいね。重要なスキルがあるじゃん。まずはそれからいくか」
「どれのこと?」
「そこにある鷹の目というスキルだ」
「……あったこれね。これを取ればいいのね」
「ああ。それはパッシブスキルだから習得して損はない」
「パッシブスキル? 何それ?」
ああ。そうか。この説明もまだだったか。
「パッシブスキルってのはな、習得しているだけで効果があるタイプなんだ。パッシブスキルにはレベルがあって、
「へぇー。そんなのがあったのね」
「それに対してMPを消費して発動するのがアクティブスキルと呼ばれている。この中で言えばマジックアローが該当するな」
「ふむふむ」
さらに細かく分類されるタイプがあるんだが、今は話す必要はないかな。
いつか必要になった時に教えよう。
「この鷹の目というのはどんな効果なの?」
「それを取得するとな、矢の飛距離と命中率が上がるんだ。弓を使うなら必須に近いスキルなんだよ。かなり重要だから取っとけ」
「分かったわ」
ラピスがスキルツリーを操作して鷹の目を習得。
すると《鷹の目:Lv1》という項目が表示された。
「いっそのことLv5ぐらいまで上げてもいいかもな。どうせいつかはLv10まで取るんだし。まだ
「うん。8も残ってるわね」
「ならLv5まで上げるのもありだ。まぁ他にも欲しいスキルがあるから後回しでもいいけどな。そこはラピスに任せるよ」
「んー、ならゼストの言う通りにするわ。そのほうが強そうだし」
「そっか」
ラピスは操作して鷹の目に
これで《鷹の目:Lv5》になった。
「残りは3か。なら次はダブルアローだな。使いやすくて純粋に火力が高い。あると便利だぞ」
「えーと……これね」
ダブルアローを習得した瞬間、すぐ近くに別のスキルが出現した。
「え!? な、何これ? 増えたんだけど……? トリプルアロー?」
「ああそれか。前提条件を満たしたから出現したんだな」
「前提条件? 何それ?」
「ほとんどのスキルは前提条件を満たさないと習得可能にならないんだ。トリプルアローの習得条件は『一定数の熟練度』と『ダブルアローの習得』。この2つを満たしたから出現したわけだ」
「へぇー。そういうことなのね」
これはこのゲームの共通システムだ。
9割のスキルは熟練度がある程度ないと習得可能にならない。
熟練度というのはそれほど重要な要素である。
「じゃあこのトリプルアローも取った方がいいの?」
「んーどうかな。純粋に火力だけならダブルアローでも十分なんだよな。今は後回しでもいい。というかぶっちゃけ取らなくてもいい」
「そうなの? 強そうだけど」
「もっと強いスキルはいくらでもあるからな。それにダブルアローとあまり差が無いんだよ。俺なら放置かな。つっても判断するのはラピスだからそこは任せる」
「なら止めとくわ。もう少し他のスキルも見てみたいし」
残りの
あとはそうだな……
「おっ。ブラインドアローあるじゃん。これも便利だぞ」
「どういう効果なの?」
「当たった相手に確率で暗闇状態にするんだ。暗闇状態になると、視界が極端に減るという厄介な状態異常なんだよ」
「へぇー。それ良さそうね」
「だろ? もし上手く暗闇を付与できれば近づかれる心配はほぼ無くなるからな。後衛には便利だと思う」
「それはいいわね。そういうスキルが欲しかったのよ」
迷うことなくブラインドアローを習得した。
これで残りは1。
「あとはどうしよ……」
「目ぼしいのは取ったし、後はラピスの好きなようにすればいいと思う。鷹の目をLv6にするのもいいし、あえて何も習得せずに余らせておくのもありだし」
「うーん……そうねぇ……」
スキルツリーを眺めながら悩むラピス。
少し悩んだが答えはなかなか出ないようだ。
「う~ん……どうしようかしら……」
「時間はあるんだし。焦る必要はないさ。あとでゆっくり考えればいい」
「そうね、そうするわ。今はこれで行くことにするわ」
これでラピスの分は終わりっと。
さーて。次はフィーネか……
「んじゃフィーネの番だな。杖はスキルが複雑でラピスより悩むと思うから覚悟しとけよ?」
「え、えええ!? そ、そうなんですか?」
「冗談だ。そんなに怯えるな。俺が教えてやるから安心しろ」
「は、はい。お願いします!」
とは言ったものの、杖系統のスキルは本当に複雑だからな。それこそ十人十色でこれといって答えがあるわけじゃない。これだけで何時間も悩む人も珍しくない。
どれどれ……
「んー………………まずはこれかな。MP回復力上昇。これはさっきも言ったパッシブスキルで習得しているだけで効果があるタイプだ。MPの回復速度が上がるから、それだけスキル回しも早くなる。取って損はない」
「は、はい」
フィーネはスキルツリーを操作してスキルを習得。
《MP回復力上昇:Lv1》の項目が表示された。
残りの
「本当ならLv5ぐらいまで上げたいんだけどな。でも他のスキルも欲しいしな……」
「Lv5にした方がいいですか?」
「んーむ…………すまん。ちょっと時間くれ」
「わ、分かりました」
フィーネのスキルツリーには未習得のスキルが20種類近く表示されている。杖は一番スキルの種類が豊富だからな。
あれもこれも習得すると、あっという間に
どうするかな……
…………
……これにするか。
「んじゃファイアーウォールだ。これは火の壁を作成するスキルで、相手を近づかせないように出来るんだ」
「えーと…………これですね。分かりました」
「あーそうか、INT上昇も取っとけ。これのLv3が前提条件になってるスキルがあるからな」
「すぐにLv3にしていいんですか?」
「したほうがいい。これも取って損はないからな」
「分かりました」
これで残りは4か。
マジで迷うな……
「んー…………お、フローズンシュートがあるじゃん。これもあったほうがいい」
「どういうスキル何です?」
「これはな、発動すると氷が地を這って直線に進むんだ。そして当たった相手の足元を凍り付かせて移動を封じることが出来るんだ」
「なるほど! 便利そうですね!」
「まぁ飛行モンスターには通じないんだけどな。でもそんなに遭遇することはないし大丈夫」
「これなら他の人の援護も出来ますね」
「そういうことだ」
ダメージはそんなに高くないが、移動を封じるという強力な効果があるからな。個人的にオススメのスキルだ。
「まだ3つ習得出来ますけど、何にしたらいいですか?」
「んーむ……………………」
どれにしようかな。どれも欲しいが
う~ん…………
「……すまん。これ以上は頭がパンクしそうだ。あとはフィーネの判断に任せるよ」
「ご、ごめんなさい。無理させちゃって……」
「重要なスキルは大体取ったし、あとは自分が欲しいのを選べばいいと思う」
「それなら取っておくことにします。この中に無いスキルもまだあるんですよね?」
「そうだな。今は熟練度不足で習得できないスキルも多い」
「ならそれに備えて余らせておきます」
「悪くない判断だ」
ふぅ。ようやく終わった。ちょっぴり疲れた。
でもこれで2人も強くなれたはずだ。後は実践だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます