第46話:巨乳の竜人族
俺が購入した家は居心地がよく、ある程度慣れてきた。やはり自分の部屋が持てて風呂付きというのが気に入った。
さすがに姉妹は慣れるのに少し時間が掛かるみたいだ。
掃除などは任せて欲しいと向こうから言い出してきたので、そういうのは姉妹が担当することになった。
それはそれとして、今日も冒険者ギルドに報告しに行くことになった。
しかし建物に入ろうとすると、中から女性の大声が聞こえてきた。
扉を開けて中に入ると、受付で何やら言い争っていた。
「ですから……今のランクでは無理なんですニャ!」
「なんでだよー!? アタシは強いんだぞ! これくらい簡単にぶっ飛ばせるぞ!」
「そういう問題じゃないんですニャ~……」
どうやら受付に居るレイミと、大剣を背負ったポニーテールの女の子と言い争っているみたいだ。
なんだなんだ。何が起きているんだ。
「さっきも言いましたが、Fランクで依頼を受けることは出来ない規則になっているんですニャ」
「じゃあどうすればいいんだ!?」
「まずは討伐をしてギルドに貢献をする必要があるんですニャ。ある程度の成果を残せばEランクにランクアップできるんですニャ」
「ならこいつをぶっ飛ばせばいいんだな!?」
ポニテの女の子は手に持っている紙をレイミに見せた。
あれは依頼書だろうか。
「ですから~……今のリリィさんはまだFランクなので依頼を受けることが出来ないんですニャ……」
「じゃあどうすればいいんだよ!?」
「まずは討伐でランクアップをしてからでないと……うう、もう5回目だニャ~……」
レイミは涙目になりながら肩を落としてしまった。
話がループしてやがる。なんか大変そうだな。
「な、何なのあれ」
「さぁな」
「あの人が背負っている剣、大きいですね……」
「あんなのまともに振り回せないだろうに。デカけりゃいいってもんじゃない」
ポニテの女の子が背負っている剣はかなり大きい物だった。
女の子が使う剣にしてはデカすぎる。まさか飾りじゃないだろうな。
「あっ! ゼストさんだニャ!」
えっ。このタイミングで俺にくるの?
「えーと……大変そうですね」
「ゼストさーん! 助けて欲しいニャー!」
「な、何で俺に助けを求めるんですか……」
「私1人だけでは限界なのニャー! この方に何度説明しても理解してくれないのニャー!」
途中から話を聞いていたが、やはり苦労しててみたいだな。
ギルドの仕事も大変そうだな。
「だって分かんないんだもん! とりあえずこいつをぶっ飛ばせばいいんだろ!?」
「ですから……その依頼書はCランク以上の冒険者しか受注できないんですニャ……」
「ならどうすればいいんだ!?」
「まだFランクなので、まずはランクアップを目指してモンスターを討伐して頂くしかないのニャ……」
「じゃあこの紙に書いてあるモンスターをぶっ飛ばせばいいんだろ!? アタシは強いんだからこのくらいなら倒せるぞ!」
「うう……誰か助けてニャ~……」
マジで大変そうだな。さすがに可哀そうになってきた。
仕方ないな。
「あーちょっといいか。そこの人」
「うん? なんだ?」
俺がレイミの元に近づくと、ポニテの女の子がこっちに向いてきた。
「なんか揉めてるようだけど何があったんだ?」
「こいつをぶっ飛ばしたいんだけど、なぜかダメって言ってくるんだよ!」
そういって依頼書を見せつけてきた。
ふむふむ。レッドベアの討伐依頼か。
受注ランクはCとなっている。これはCランク以上じゃないと受注できないやつだな。
「なんでこいつを討伐したいんだ?」
「だって強そうなんだもん。アタシは強いんだからこれくらい簡単にぶっ飛ばせるぞ!」
「……それだけの理由で?」
「うん。だって強くなりたいんだもん」
「…………」
なんだろうなこの子は。一度決めたらひたすら突き進むタイプなんだろうか。
色々ツッコミたいところはあるが、とりあえずこの場を治めないとな。
「強くなりたいなら地道に頑張るしかないんじゃないか? まだFランクなんだろ? だったら最初はホーンラビット辺りでレベル上げすればいいだろ」
「えー。強いやつぶっ飛ばせばもっと強くなれるだろ? だったらそっちの方が確実じゃんか」
「…………」
「しかも倒したら金もたくさん手に入るんだろ? じゃあこっちのほうがいいじゃん!」
……やばい。こいつは俺の手に負えないかもしれん。
女とは思えないぐらいの脳筋思考じゃねーか。
「いやいや。そうじゃなくてな。お前はまだFランクなんだろ? さすがにレッドベアに挑むのはまだ早いって」
「大丈夫だって! アタシはとっても強いんだぞ! これくらい軽くぶっ飛ばしてきてやるさ!」
「その自信はどこから来るんだよ……」
いかん。話が通じそうにない。
この脳筋女に何話しても無駄かもしれん。
「じゃあオマエをぶっ飛ばしたら認めてくれるか!?」
「は?」
何を言っているんだこいつは。
矛先がこっちに向いてきたぞ。
「だってアタシの強さを知らないから信じてくれないんだろ? だったらぶっ飛ばして証明してやるよ! それならいいだろ!?」
「いやいやいや。なんでそうなる。別にお前の強さなんてどうでもいいんだが……」
「ちょ、ちょっと待つニャ! ゼストさんはとっても強い方なんですよ? さすがにFランクのリリィさんでは敵わないと思うニャ……」
「……なんだと!?」
この脳筋女はリリィという名前らしいな。
リリィはムッっとした表情で俺を睨んできた。
「オマエ強いのか?」
「そのへんの奴らには負けないと思う」
「じゃあ勝負だ! アタシと戦え! こいつをぶっ飛ばして勝てたらさっきの依頼を受けてもいいよな?」
「お前が負けたらどうするんだ」
「今回のことは諦める! 負けたのならアタシが弱かったということなるからな!」
なんつーか潔いというか。分かりやすい性格してんな。
「ゼストさーん! お願いですニャ! 勝負を受けて下さいニャ! 私を助けてほしいニャー!」
「ええ……」
勝っても負けても俺にメリット無くね?
こんな勝負受ける意味が無いんだが……
「ゼストさーん……」
「…………」
涙目でレイミが見つめてくる。耳まで萎れてて本当に参っているようだ。
…………
……仕方ない。
「分かったよ。やってやるよ。やりゃあいいんだろ」
「!! ありがとうございます!」
「決まりだな!」
リリィは俺の正面に立って胸を張って叫ぶ。
「アタシはリリィって言うんだ! オマエは?」
「…………」
……デカい。
こいつのおっぱい本当にでけぇ。服の上からでも膨らみがすごい。
後ろから見た時は気づかなかったが、正面から見ると立派な
なんつー大きさだ。あんなサイズは殆ど見かけないぞ。
「おい! 聞いてるのか!?」
「……え、あ、ああ。俺はゼストってんだ」
「じゃあゼスト! アタシと勝負だ! 負けないからな!」
「お、おう……」
いかんいかん。何を考えているんだ。
例え誰が相手だろうが負けるつもりはない。集中しないと。
…………ん?
よく見るとこいつ、角がある……?
これはまさか……
「お前ひょっとして……〝竜人族〟か?」
「おう! そうだぞ! アタシは竜人なんだぞ!」
リリィの頭には2本の角が生えていた。あれは竜人族の特徴だ。
竜人族は優秀なステータスを持っていて、戦闘面でも輝くことが多い。
数ある種族の中ではトップクラスに強いといえるだろう。
なるほどなぁ。さっきからくる自信はこれのせいか。
確かに竜人族なら、1つや2つ上のランクのモンスターを討伐できるかもしれん。
これは面白くなってきた。あの背負っている大剣も飾りじゃなさそうだ。
さてさてどう出てくるかな……
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