第7話:冒険者ギルド
冒険者ギルドに入ると、まばらに人々が行き交っていた。みんな冒険者なのだろう。
それを横目に受付カウンターへと向かう。
カウンターに到着すると、猫耳の女性が話しかけてきた。
「いらっしゃいませニャ~! 何かご用ですかニャ~?」
おお。猫人族だ。
この世界には様々な種族が存在する。その一つが目の前にいる猫人族だ。
頭には触り心地が良さそうな猫耳が生えている。
この種族はトップクラスに人気で選ぶプレイヤーも多かったのを覚えている。
「えーと。冒険者になりたいんですけど」
「…………ッ! もしかして君がなりたいんですかニャ……?」
「はい」
「…………」
「…………?」
なんだなんだ。急に黙り出したぞ。
俺のことをジロジロと眺める猫人族のお姉さん。
まるで警戒してるかのような……?
「ど、どうしたんですか?」
「…………いえ。何でもないですニャ。では冒険者登録をするので少し待ってくださいニャ」
「はい」
今の間は何だろう?
急にテンションが下がったような気がする。
俺の恰好がおかしいんだろうか。
でもそういう感じには見えなかったけどな。
少し待っていると、お姉さんは銀板を持って俺に渡してきた。
「これは冒険者カードなのニャ。冒険者として証明するために必須の物なので絶対に無くさないでほしいですニャ」
「ほうほう」
だが銀板をよく見ると何も書かれていなかった。
これではただの薄い板だ。
「何も書いていないんだけど……」
「それに自分の血を垂らすのニャ」
「やってみます」
指を齧って銀板に血を押し当てた。
すると――
「おお! 文字が出てきた」
「それは貴方の情報ですニャ。そこにレベルなどが表示されるから常に参考にするといいですニャ」
なるほどな。
これがステータス画面になるわけか。
―――――――――――――――
ゼスト
ランク:F
レベル1
STR:5(+10)
VIT:3(+10)
INT:2(+10)
AGI:5(+10)
DEX:4(+10)
―――――――――――――――
ほう。これが今の俺のステータスか。
やっぱりレベルは1になっているな。
全てのステータスが+10されているのは転生特典だな。
今は+10しかないが、レベルが上がる毎に上昇量も上がるらしい。
「あとはその冒険者カードでスキル習得もできますニャ。レベルが上がったら確認するといいですニャ」
「ふむふむ」
まぁこの辺のシステムは熟知しているし、特に問題はないかな。
「次はランクについて説明しますニャ。ランクは『F』から『S』まであるニャ。初めて冒険者になる方は全員『F』からスタートすることになっていますニャ」
「ランクを上げるにはどうしたらいいんです?」
「基本的には
「なるほど」
要はどんどんクエストをこなしてモンスター狩りまくれってことだな。
「でもFランクでは依頼は受けられないので注意してほしいですニャ」
「えっ。どうして?」
「基本的に依頼はEランクから受注できるようになっていますニャ。なので最初はモンスターを討伐するしかないですニャ」
「へぇ~」
それなりにモンスターを狩れるぐらい強くないと信用が得られないってわけだな。
まぁ最初はモンスターを狩る予定だったし。しばらくはひたすら討伐かな。
「説明は以上ですニャ」
「わかりました。ではモンスター狩ってきます」
「あっ……」
「えっ?」
すぐに移動しようとした瞬間に呼び止められた。
「…………」
「…………?」
……さっきから何なんだろう。
俺を見る目が変だ。
「あの……まだ何か?」
「い、いえ……何でもないですニャ……」
「はぁ……」
まぁいいか。さっさと行こう。
それにしても何だったんだろうなあの目は。
俺の事を見下してる……というわけでも無かった。
不安そうにしている……とも違うな。
う~ん……
…………
……ああそうか。
あの目は……
憐れんでいる目だ――
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