第3話:孤児院の生活

 孤児院に戻ると、リーズが出迎えてくれた。


「あ……おかえり。そろそろご飯の時間だよ」

「おっ。いいね。そろそろ腹が減ってきたところなんだよ」


 実はと言うとさっきから空腹だったんだよな。

 そろそろメシが欲しかった。


「んじゃメシ食いに行くか。何か手伝うことあるか?」

「それじゃあ……みんなの分のお皿用意するとか?」

「あいよ」

「あとは……シスタさんに聞いた方がいいかも」

「シスター? 誰なんだ?」


 誰だろう。記憶にない。


「え……? 覚えてないの……?」

「…………」


 しまった。変に思われたかな?

 けどシスタとやらがどういう人なのか全然分からん。


「あーいや何でもない。うん。シスタに聞けばいいんだよな。そうだよな。そうしようと思ってたところなんだ」

「……?」

「とりあえず食堂へ行こうか」

「う、うん……」


 リーズは困惑しながらも歩き始めた。

 ふぅ危ない。なんとか誤魔化せたかな?

 しばらくは状況把握するまでうかつなこと言わない方がいいな。

 リーズには悪いが頼ることにしよう。


 食堂へと移動すると何人かの子供たちが居た。あの子らもこの孤児院の子なんだろう。

 どの子も薄汚れた服を着ていて俺よりも若そうだ。

 多分、俺が最年長かもしれない。


 周囲を見渡すと一人だけ大人が立っていた。

 その人は年寄の女性で、せっせと食事を用意しているようだった。

 恐らくあのお婆さんがさっき言ってた『シスタ』なんだろうな。


 シスタらしきお婆さんに近づいて話しかける。


「シスタさん? 俺にも手伝うことあるかな?」

「あら。ゼストちゃん。それならテーブルにお皿を並べてくれるかしら?」

「了解」


 やはりこのお婆さんがシスタで間違いようだ。

 この人がこの孤児院を経営してるっぽいな。


 言われた通りに皿を並べることにする。

 その後にシスタが料理を並べていく。

 そうしていると次々と子供たちがテーブルへとやってきて椅子に座り始めた。


 全員が席に着くとシスタが声を上げた。


「それじゃあいただきましょうかね」

「「「「いただきまーす!」」」」


 …………


「……あれ? ゼストくんは……食べないの?」


 隣に座っているリーズが食べる前に聞いてきた。


「…………あのさ。ちょっと聞くけどさ」

「……?」

「もしかして今日の食事って……これだけ……?」

「? いつもこんな感じだよ……?」

「…………」


 俺の目の前にあるのは非常にシンプルな料理だった。

 あるのは蒸かしたジャガイモ。それと具が少ない塩スープ。

 これだけだ。


「ほ、他にはないの?」

「ないと思うけど……」

「マジかよ……」


 いくらなんでも少なすぎる。

 こんな量では腹が膨れないぞ。


「ごめんねぇ……。お金に余裕が無くて贅沢できないよぉ……」


 シスタが申し訳なさそうに話してきた。

 よく見るとシスタが着ている服も年季が入っていそうなぐらい古いものだった。


「い、いやいや。食べる物があるだけ十分だよ!」

「もう少し国からの寄付金があればいい物を食べさせてあげれるんだけどねぇ……」


 予想以上に経営難らしいな。

 ここまで貧乏だとは……


 せっかく転生したってのに、まさかこんな底辺からのスタートなのかよ……

 これは何か考えなくてはな……

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