七話 体育祭(1日目)前編
その後、数回のホームルームを経て、体育祭当日を迎えた。
体育祭は、一年から三年の各クラスがトーナメント形式で対決して、優勝を決めるというものになっている。俺と倫也は、初日サッカー、二日目、バスケをやることになっている。
開会式を終え、すぐに競技が開始された。
「第一試合、一年C組対三年D組の試合を始めたいと思います」
第一試合、俺達の対戦相手は齊藤先輩率いる三年D組だった。
「今回は勝たせてもらうぞ?」
「なに言ってるんですか?負けませんよ。こっちには倫也もいるんですから」
「今回は、必勝法があるんだよ」
「?」
試合が開始され、すぐに齊藤先輩が言っていた必勝法というものが何なのかが分かった。それは、俺と倫也に三枚のマークを付け、プレーに関与させないようにしていた。
「先輩方ぁ。そんなマークで俺が動けなくなるとでも思ったんですか?」
俺は激しく左右の揺さぶりをかけた。初心者の先輩方は、おもしろいぐらいにフェイントに引っ掛かった。だが、齊藤先輩は、一筋縄ではいかなかった。
「近藤、パス!」
「おう!」
近藤からパスを受け取り、先輩と1対1の場面を作った。
「先輩、1対1で俺の事止めたことなかったですよね?」
「そうだが?」
「じゃあ、今回の結果も見えてますね?」
「それは、どうかな」
齊藤先輩は威勢のいいことを言った割に、あっさりとかわされキーパーと1対1になった。シュートモーションにはいった時に、ベストのタイミングでスライディングが俺のシュートコースを阻んだ。俺は、ループでその足をかわし、その体勢のままシュートを放った。ボールはゴールに突き刺さり、1対0と先制に成功した。
その後、試合は一時硬直状態に入ったが、それが崩れたときに、ポンポンとシュートが決まり3対0というスコアで試合が終了した。
「先輩。今日も勝たせてもらいましたよ?」
「うっせ。でも、お前、サッカー部入るんだろ?」
「はい。選手権前に」
「おい!今から入れよ」
「嫌ですよ。まだまだ弱小じゃないですか。生意気言いますけど、俺が楽しいって思えるようなチームを作ってから言ってくださいよ」
「言ってくれんなぁ。よっしゃ、任せとけ。お前をワクワクさせられるチーム、俺が作ってやんよ!」
「ま、期待してますよ。先輩」
俺は後ろ手で手を振りながら、体育館に向かった。
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