一学期

一話 再会

 月日は流れ、無事全ての単位を取得した俺はエスカレーター式に高校に入学した。


「拓斗、今日から高校生だね」


学生寮の前で美月るなに声をかけられた。


「だな。でも、特別変わるとこって、制服がちょっと変わるぐらいだろ?」

「だね」


徒歩五分もしない学校までの道を二人で話しながら歩いていると、


「た……くと……?」


どこか懐かしい声が、背後から聞こえてきた。ゆっくりと振り返ると、そこには、


「はるか?」


六歳の時に、離れ離れになってしまった喜田陽夏の姿があった。身長は、当たり前だがあの頃よりも成長していて、俺とほとんど変わらないぐらい大きかった。顔は、昔の面影をほのかに残しながら、大人っぽく、それでいて可愛らしく成長していた。


「久しぶりだね……?」

「そう、だな……?」


十年ぶりの再会となると、さすがにお互いよそよそしい会話になっていた。伏し目がちに会話をしていると、


「拓海、この子は?」


横でもじもじしながら、美月が訊いてきた。


「あ、悪い。えっと、この子は、幼馴染の喜田陽夏。小さい頃、話したことあったでしょ?で、こっちは初等部からの付き合いの、小林美月。仲良くしてやってくれ」

「よろしく」

「よ、よろしく」


二人の間に微妙な空気が流れていた。その空気を払拭しようと、案を練っていると、


「おっはよう!拓斗!」


と、後ろから中等部からの付き合いの倫也が手を振り走って来た。


「よう、倫也」

「それより、こちらのお嬢さんは?」

「あぁ、幼馴染の喜田陽夏。陽夏、こいつは中等部からの親友、生田倫也」

「拓海の幼馴染かぁ。よろしく、喜田さん」

「よろしく……」


倫也が、二人の間に流れていた重たい空気を払拭してくれたところで、俺達はクラス表を見に昇降口に向かった。

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