第七話 言わなきゃいいだけ

俺の日常は、母親が死んでから大きく変わった。まず俺は、ろくにあったこともない親戚に預けられた。その親戚たちは、すごく優しくしてくれたけど、はっきり言って居心地が悪い。はじめて会う従兄弟も、毎日毎日ギャーギャー言っててうるさい。


でも、呪いにかかったことによる変化はほとんどなかった。なんか最近少し性格が悪くなってる気がするけど、そんなもんだ。この呪いは、いわゆるテレビで見る、『聞こえたら、終わり』とか『目があったものは必ず死に至る』とかそんなんじゃない。言わなきゃ何も起きないし、俺は平穏に暮らしていける。毎日楽しく生きられるんだ。そう考えたら、簡単なことじゃないか。大したことない。そうも思い始めていた。



ーーー本当の呪いはこんなものではない、ということも知らずに。

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