第五話 母親の運命

ハア、ハア、ハア、

俺は息を切らしながら駅に入っていった。すると警察に、

「こちらです。」

と言われ、事故現場の13番線のホームに案内された。


母親は、緊急救命措置を行ったが、間に合わなかったらしい。全身に白い布がかけられ、まだ生々しい感じだった。もはや涙は流れず、俺はただ呆然と立ちすくんだ。

「お顔見ますか?」

駅員が聞いてきた。俺ははい、ともいいえ、とも取れるように首を振った。見ても見なくても母親が死んでしまった事に変わりはない。


警察は、はい、と取ったらしかった。白い布が剥がされ、中から母親の顔が現れる。そこにいたのは俺の知ってる美人で色白な母親ではなかった。


目も鼻も口もわからない状態だったからだ。


俺はそこで初めて母親は死んだという事実をハッキリと理解した。寒いからなのか、はたまた悲しいからなのか、悔しいからなのか、怖いからなのか。俺の顔は涙と鼻水でベタベタになった。


その時、母親の顔が黒く見えたときの音が聞こえた。不気味な音だ。

俺の脳内に、急に声が流れてきた。

『お前は呪いにかかった。一ヶ月以内にホームに行ったとか、電車に乗ったとか言わなければ、お前の呪いは解ける。ただし言ってしまった場合…お前はまたここに来なくてはならない。死ななければならない。』ーーー

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