10●気になる結末、この物語はまだ終わらない。

10●気になる結末、この物語はまだ終わらない。




 本日、2020年12月4日。

 あの作品の漫画本最終巻が発売されました。


 ですから“あの作品”の結末は、皆様すでにご存じでしょう。

 しかし、本稿における架空の作品『K滅のY刃』はまだ完結していない……という設定とさせていただきます。

 私自身、まだ“あの作品”の結末は知りません。


 そこで、結末のパターンをいくつか想定してみることにします。


 いまさら無意味ですって?

 いやいや、それはわかりません。

 漫画本の第23巻が、本当に最終巻になるのか、それはまだ、誰にもわからないことですから。

 パラレルワールドの続編……なんてことも、よくある話ですし、ね。



【想定される結末類型】



一、人類が完全勝利する。


 先に本稿の第4章で述べた結末です。

 詳しい説明は本稿の最後(次の章)にいたします。



二、鬼たちが完全勝利する。


 ありえない結末……ではありません。

 戦いの推移によって、鬼軍団がK殺隊を圧倒してゆけば、人類側に、こう考える輩がはびこり始めます。

「どうやら鬼が勝ちそうだ、今のうちに鬼側に転んで、鬼になってしまおう」

 敗けたら鬼に喰われます、それなら、命のあるうちに“喰う側”に回ってしまおうという計算です。

 人類、なだれを打って鬼化します。

 鬼化しなかった人類は、定められたエリアに閉じ込められ、鬼のエサとして家畜化される運命となるでしょう。



三、ワクチンと血清で、鬼を人間に戻す。


 最も理想的かつ決定的な結末です。

 鬼を「殺すべき悪」と断罪せずに、「鬼にさせられた人間」と人権を認めてやり、その治療策としてワクチンと血清を開発、鬼がみな人間に戻れるよう、医学的なケアをしてあげるというものです。

 これこそ、人類の理性の勝利でしょう。

 ただ、それでもやはり鬼は許せないという“鬼殺党きさつとう”が政界に登場し、元鬼もとおにの市民を差別・迫害するかもしれません。

 そしてもうひとつ、鬼を人間に戻す治療薬を手にした人類は逆に、“いつでも人間を鬼に変える技術”も手に入れたことになります。

 人為的かつ計画的な、鬼製造の陰謀に対処しなくてはならないでしょう。


 とくに、鬼を兵器として利用しようとたくらむ人間たちこそ、用心しなくてはなりません。


 そうですね、これ、『BLOOD+』の設定を連想しますね。

 医学的な視点を踏まえて、吸血鬼テーマを見事に処理したことに驚かされます。

 吸血鬼を扱った物語の最高傑作ですよ、きっと。


 どこか、コロナ禍とその対策にイメージが被りますが、根本的な解決策はやはり、ワクチンと血清(特効薬)に帰結するはずです。

 これが最も正義に近い解決でしょう。


 真に、鬼と戦うのは武力ではなく、医学の力なのです。



四、鬼と人類が平和共存する。


 ウソみたいですが、方法はあります。

 鬼軍団とK殺隊の本当のトップ、両巨頭が会談し、取引ディールを成立させた場合です。

 まさか皆様、鬼のトップがK辻М惨さん、K殺隊のトップがU屋敷K哉さんで納得されてはいないでしょうね。

 さらなるラスボスが、人知れず両者の上位に君臨していたとしても、全く不思議はないのですよ。


 なんとなれば……

 鬼はみな、もともとは人間です。ヒトが鬼に襲われて、鬼に変化したのですから。

 しかし、その系譜をさかのぼっていけば、最初の最初に、人を襲って鬼にした、オリジナルな鬼…一番鬼ファーストデーモン…とでもいうべき存在があったはずです。

 それこそが、本物の鬼。

 人類が鬼に勝つためには、本物のラスボス、鬼たちのおおもと、人間ではない純粋な鬼たる“一番鬼”が何者であるかを突きとめて、倒さなくてはなりません。

 そうしないと、鬼たちを全滅させたと思っても、“一番鬼”が生き残っていれば、いくらでも新たな鬼が増えてしまうからです。


 これはもう大変なことで、延々とこれから何百年も“鬼殺し”を続けても、終わりが見えそうにありません。

 そこで人類側のボスと一番鬼が手を結んで、鬼と人類が平和共存してゆく妥協点を探り、取引を成立させる……という展開が考えられます。


 問題は、鬼は人間を喰わなくては生きられない、ということです。

 鬼は提案するでしょう。

 今後、天然物の人間は一切喰わないと約束プロミスしよう。そのかわり、必要最小限の人間を養殖して、我々の食料とすることを容認してもらいたい……と。

 人工的、いや鬼工的な“養殖物”ならよかろうというわけです。

 この取引が成立したら……

 鬼は“鬼の国”に引っ込んで人類との関係を断つ代わりに、鬼の国の中に“飼育園ファーム”を設けて、赤ん坊から十代までの、鬼の食材専用となる人間の子供たちを“養殖ファーミング”することになるでしょう。

 人類、これを非難できません。人類だって牛や豚なんかを飼育して喰ってるじゃないか、となりますから。


 そうですね、これ、『プロミスのNランド』の世界設定? みたいですね。

 『プロミスのNランド』、食人鬼と人類の戦いに新たな関係性を持ち込んだ、近年最もユニークな視点の傑作だと思います。



      *


 さて、続いて第五の結末が想定されるのですが……













※付記

「誰が喋って良いと言った?  貴様共のくだらぬ意思で物を言うな  私に聞かれた事のみ答えよ」

「黙れ  何も違わない  私は何も間違えない  全ての決定権は私にあり  私の言うことは絶対である  お前に拒否する権利はない  私が“正しい”と言った事が“正しい”のだ」

 これ、鬼のボスのセリフらしいですが……

 どこかの大統領、こんなこと言ってなかったっけ?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る