旅行
夜。
ベッドで彼女を抱きしめた。
「もう、苦しいよ」
彼女は二泊三日の旅から帰ってきたばかりだ。
「そんなんじゃ、一人暮らしできないよ」
「いいもん。結婚するんだもん」
「はいはい」
そういうだけで、彼女は振りほどこうとはしなかった。
「次は絶対一緒に行く」
「うん、そうして。私も嬉しい」
今日の彼女の匂いは、いつもと少し違う。
旅館の匂いだ。
だけど、いつもの匂いも混ざっている。
それは、私と一緒のシャンプーの匂いだった。
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