第2話 一歩を踏み出す勇気

 "一歩を踏み出す"、私は宇宙の様に大きな勇気が必要だと思う。

 一歩踏み出すって、未知の領域に一歩踏み入れる事。


 私は経験した。

 私はソフトテニスを15年続けてきたけど、未だに未知の世界はある。


「上田恵、ストレート展開になったら前衛に注意しろよ、攻めるんじゃなくて、ボールを上げろよ。何度言ったらわかるんだよ、できねぇやつだなぁ。」


 何度も、何度も、何度も。

 正直私は自信がない。自分を信じられないんだ。自分を信じれば、自分に裏切られるのが怖いの。


 このままでは、全国一位なんてただの笑い事。


 だから今日、私は新たな領域に一歩踏み入れる決意をした。


 試合でストレート展開になったら"敢えて攻める"。それが私の未知の領域。


 え?意味がわからないって?簡単に言うと、誰の意見も聞かない!って事。私は私だけの声を聴く。自分を信じる、ではなく、自分は何を訴えたいのか耳を傾けてあげる、だけ。


 私は、自分のプレーがしたいと訴えている。

 

 私は知っている、人は皆生まれながらにして自由に飛び回れる翼が生えている。翼の大きさや色、そして飛べる高さは人それぞれ。


 だけど私はこうも知っている。大人になるまでに多くの人は翼の大きさや色、飛べる高さが矯正されてしまう。


 私は今この瞬間矯正されそうになっている事に気がついた。


 だから抵抗する!なんであんたに私の翼を預けなきゃいけないの!だから攻める。


 もちろんコーチには、ボロクソ言われた。話のわからない奴だと。それでいいの。


 もう怖くない、"お前に私の気持ちなんて分かってたまるものか!"って攻める攻める。コーチのお口はあんぐり。


 心を固定していた鉄の鎖が崩れ落ちる音がして、私はようやく"私なりの"プレーができる様になった。


 とてもいい経験だ。これは何の味だろう、そうだな、面白い味だ。

 


 

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