最幸の幕引き
ロッキーズ
第1話 人生の味
「もう一回球だしお願い!」
「恵、あんたまめが潰れてグリップが血だらけじゃない!?」
私はソフトテニスで高校のインターハイ全国優勝を目指している。そのためには、どんな辛い事もやり遂げて見せる。
毎日血を吐く様な努力、命を失うのかもしれないとさえ思ってしまった事もある。先生からのダメ出しで自信をなくしてしまう事はよくある。私は鋼のメンタルなんて持ち合わせていない。
何故こんなにも命をかけているのかって?それはもちろん、人生を謳歌するためです。
辛い経験も悲しい経験も嬉しい経験も全部、人生の味だから。
今感じている味を歳をとった後に振り返るともっと素晴らしい味になる、そう本に書いてあった。
だから私は目指すよ。全国一位。
「ちょっと早くボール出して!」
「わかったよもう!」
私のわがままを聞いてくれる7人の仲間。いつだって一緒だ。これからどんな事が起きようと、必ず支え合う。
「上田恵!お前またネットかよ。我慢だ足りないんだよもう。やる気あるのか?」
コーチの怒鳴り声。あの声や視線には魔力があるのか?いつも恐怖を感じる。あの声を聞くと体が硬って動けなくなってしまう。
実は、私は怒られ役。役職ではない。コーチは自分のお気に入りには怒こらない、お気に入りの子と私が同じミスをしても私だけ怒られる。
コーチの考えている事はまるで分からない。私のプレーを否定し、やる気のない奴扱いをして来る。
私は辛かった。辛い味がした。
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