第6話

そこから、凛は何度かツイートをしてインプレッションが3だと「うん」2だと「いいえ」なのではないかと気づき、そうツイートすると3で返って来た。


そこからTwitterで意思疎通する関係が始まった。おはようとツイートすると3。

今から仕事に行ってくるね。とツイートすると3。

仕事で帰りが遅くなりそうなときは、まだ帰れないんだとツイートすると2。


そんな毎日あることを報告してはインプレッションでお返事が返ってくる。

誠と暗号のように数字でやりとりしているとはいえ、直接繋がっている。それが嬉しかった。たとえハッキングという犯罪を見逃しても、被害者はわたしだ。わたしが黙っていれば誠が捕まることはない。


何てことないやりとりを繰り返す日々。仕事も変わらない。それでも、誠とのやりとりは毎日に光を当ててくれた。夜はぐっすりと眠れたし、仕事も集中しては誠にツイートで話しかけ、また仕事に戻ることで仕事を流していた。


それくらい誠とのやりとりにはまっていた。帰ってくるお返事はいつも優しく、心配してくれていた。相談したら的確に返事してくれた。


誠に対するイメージと、帰ってくる返事はリンクしているように感じた。ハッキングされているとはいえ、誠と繋がっている。誠とお話しをしている。そう思っている事実が私を元気付け、精神面も徐々に安定していった。


そしてついてに、わたしは会いたいとツイートしてみることにした。返事は3だった。

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