第3話

それから、何度かイベントに足を運んだ。凛が応援していたYouTuberはステージイベントも行っていた。凛が客席から見る誠と優は誰よりも輝いて見えた。凛は身長が低い。立ち見で後列からだとなかなか二人が見えなかった。


そんな時、イベント中に誠が言った。

「顔が見えないなぁ。」


会場がざわめいた。誰のことだろうか?凛も誰のことだろう?と思いながら会場のざわめきと共に目配せをしたがもちろん分からなかった。


ステージイベントが終わり、グッズ販売に向かう。凛は体調が少しずつ悪くなっているのを感じていた。買いたいグッズを購入し、そのまま足早にその場を去る。


イベントを名残惜しそうに歩く他の視聴者さんと比べるといくらか早いスピードで歩幅を進めていた。そうしていると当たり前のように前を歩いていた人に追いつく。凛は足を止めることができなかった。だからそのままのスピードで、僅かに避けてその人を追い越す。


そうしてようやくその場を去り、帰路に着いた。

帰りの新幹線では落ち着きを取り戻しており、今日の感想をツイートしながら思い出に浸っていた。


家に帰ればまたいつもの毎日が待っている。このご褒美があるから毎日頑張れるなと思い、心躍らせながら明日へ向かうのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る